24. 潜入するのです!
24. 潜入するのです!
私はミルディとロゼッタ様が悪魔憑きの対処法のための純銀の聖水の素材を作っている間、マールウッド家に忍び込む為に偵察に行っていたのです。一応裏口から入れそうな場所を見つけたので一度宿屋に戻ることにするのです。
「ただいま戻りましたのです」
「あっお帰りアリーゼ。もう少しで純銀が取り出せるよ」
「ふふん。ワシはもう終わったのじゃ!誉めるのじゃ!」
私はあの本の通りにもう一度ロゼッタ様の頭をよしよしと撫でてあげたのです。すると「ワシを子供扱いするなと言っておるじゃろ!」と、またまた杖を振り回して大激怒されてしまいました。おかしいのです。あの本には嘘が書いてあったのですか!?読者を陥れる巧妙な罠なのですか!?
そんな事をしているうちにミルディが純銀を取り出すのが終わる。そしてその純銀とロゼッタ様が魔力を注いだ純水を混ぜあわせる。
そうして完成したのはかなり透度があり光を当てると薄く銀色に輝く聖水。これで間違いなく、純銀の聖水は完成なのです!ミルディもロゼッタ様も凄いのです!さすがは魔法鍛冶屋さんと魔女様なのです。
「それよりアリーゼ。侵入できる場所の検討はついたのかのぉ?」
「もちろんなのです!あっミルディ。縄ばしごを作ってほしいのです。少し大きめで長めのを」
「えっ縄ばしご?あのさ、あたしは道具屋じゃないんだけど……魔法鍛冶屋だよ鍛冶屋」
と文句を言いつつもミルディはすぐに縄ばしごを作ってくれたのです。やはりミルディは手先が器用なのですね!
「さぁ、あとは明日に備えてゆっくり休むのです!」
こうして私たちの作戦が始まるのです。
とりあえず夜遅くなるまで待ってから、マールウッド家へ潜入するのです。さすがに昼間から堂々と行動はできないですし見つかる可能性があるのです。
そして裏口からまずは縄ばしごを持って私が木に登り一番低い壁を飛び越えて潜入する。そのあとはその壁を越えるように縄ばしごを投げて外にいるミルディとロゼッタ様がその縄ばしごで潜入するという作戦なのです。
うー緊張してきました……でも大丈夫。上手に潜入する方法も木登りの方法も本に書いてあったのです。その木を見てミルディが心配そうに私に言う。
「アリーゼ大丈夫なんだよね……あの木掴むところ少ないけど?」
「大丈夫なのです。『野生のサルの生態と模倣』という本で、木登りのコツは完璧にマスターしているのです!よしっ、やるのですよ!」
私はヒョイッと身軽に木へ飛び乗ると、腕力に任せてスルスルと猿のように登っていきます。そして高い枝の上から思い切りジャンプし、高い壁を軽々と飛び越えました。音もなく見事な着地なのです!ただの聖女でも、本さえ読めばやればできるのですよ!
あとは縄ばしごを投げて外にいるミルディとロゼッタ様が登り潜入が完了する。周りの様子を伺う。特に誰もいないようなのです。慎重に行くのですよ。
私たちはゆっくりと屋敷の中に潜入して行く。深夜と言う時間もあって屋敷の中は不気味な程静まり返っている。なんならそこには誰もいないと錯覚させるほど、人の気配がない。
「うぅ……凄い不気味なんだけど……なんかお化けとか出そう……」
「なんじゃ怖いのかミルディ?だらしないのぉ」
「あのね。怖いに決まってるでしょ……あたしはただの魔法鍛冶屋なんだから。本当に悪魔憑きだったら何とかしてよアリーゼ、ロゼッタ様……」
「?でもミルディは武器の金槌を持っているのです!」
「これは武器じゃないから!」
そんな会話をしながら私達は足音を立てないように歩いていく。幸いにもこの屋敷にはこの時間に起きている使用人などはいないようでした。
そうやってしばらく歩いているうちに1つの応接間のような広い部屋の扉を見つける。その時、ロゼッタ様が私とミルディに合図をして静かにするように促される。
「残念じゃったなミルディ……中から悪魔特有の魔力を感じる。間違いない悪魔憑きじゃ」
そうロゼッタ様が私とミルディに言った次の瞬間、その目の前の部屋の中から大きな破裂するような爆発音と共に爆風に襲われる。
私はとっさにミルディとロゼッタ様を庇うようにして伏せる。しばらくして煙が晴れると部屋の中はボロボロになっていてさっきまで人が居たであろう形跡もないのです。
「ええ!?誰もいないのです!?」
「バカ者!よく見ろ!上じゃ!」
私が恐る恐る上を見ると、そこにはさっきまでいなかったはずの、パリッとした執事服を着た男が、まるで巨大な蜘蛛のように天井へベッタリと張り付いてこちらを見下ろしていたのです。
しかも男は、右手に握った拳銃のような魔道具を私たちに向け、今まさに引き金を引こうとしています! このままでは蜂の巣にされてしまうのです!
「ちっ、世話の焼ける……爆炎魔法ファイアブリッド!!」
男の指が動くよりも早く、ロゼッタ様の放った紅蓮の炎が轟音と共に直撃しました。執事の男はドサリと無様に床へ落下します。
……気絶しているのです。それを見たミルディが一言呟く。
「良かった……汗が止まらないんだけど……」
「安心するでないミルディ。この執事は操られていただけじゃ。悪魔の依代を何とかせん限り、なんの解決にもならん。それに少しでも警戒せんかったらあの爆発で全員死んでおったぞ」
確かに言われてみればそうなのです……気を引き締め直す必要があります。油断は禁物なのです。私たちが潜入しているのはもうバレているのです。
「とにかく今はこいつを縛り上げておくのじゃ。また操られて襲われたらたまったもんじゃないのでな」
「そうだね……もう怖いの嫌なんだけど……」
「安心するのですミルディ。私が何とかするのです!私は聖女なのです!」
「いや、その聖女なのですのゴリ押しやめてよ……」
それから私は意識を失っている執事に近づいて縄ばしごの縄で身体をグルグル巻きにするのです!これでとりあえずはこの執事は大丈夫だと思うのです。
そして、私たちは辺りを警戒しながら再び悪魔の依代を探しながら進む。その後、操られたコックさんや庭師さん、メイドさんなどと何度か戦闘になりながらもロゼッタ様の魔法でなんとか切り抜け、私たちは2階の廊下の奥にある部屋にたどり着いたのです。
「ここが最後の部屋なのです。ここに悪魔の依代があるはずなのです」
「もう縄ばしごの縄使っちゃったよ……?」
「すまぬアリーゼ。もうワシは魔力がほとんど残っておらんぞ?魔法で援護も出来ん」
「ええ!?あたしそれ聞きたくなかったぁ!!ロゼッタ様何で言っちゃうの!?」
「バカ者!静かにするのじゃミルディ!」
ミルディが1人で騒いでるのですが無視することにするのです。ロゼッタ様に頼れないとなると、どうすればいいですか?……仕方ありません。ここは私の出番なのです。ロゼッタ様にはミルディを守ってもらいましょう。




