第53話 最強のアイテムを探せ
いよいよ明日は待ちに待ったデートの日。
やっぱり新しいワンピースを買おうかな?
私は財布の中を確かめた。1450円‥‥。
これじゃワンピースはダメだよね?
そうだ!
私は手をポンと叩くと昔に貯めていた豚の貯金箱を持ってきた。
うん重い! 結構入ってるかも?
私は金槌を思いっきり振り下ろして豚さんを粉砕する。
結構入ってるよ! 過去の私に感謝だね。
‥‥‥1163円。これだけ? 10円玉が多かったもんね。
財布のお金と合わせても2500円くらいか。
服は諦めるか。そもそも超高級レストランに行ける服なんて高いに決まってるし。
ふう。貧乏ってホント嫌い。
仕方ないからアクセサリーでも買う? 可愛いヘアピンとか? そうしよう。それがいいよ。
一人で買いに行くのもなんだし、沙耶ちゃんと野乃葉ちゃんも誘っちゃおっと。
ここは駅前のデパート。私のアクセサリー選びに来ている。
「沙耶ちゃんと野乃葉ちゃん、ありがとう」
私は素直に礼を述べた。
「ところで、何で琉生が一緒にいるわけ?」
「春野に誘われたんだ」
私は恨みを込めて野乃葉ちゃんを見る。
「どうして琉生を誘うのよ!」
「やはり~男の子の意見が~参考になると~思ったの~」
確かにそうかもしれないけど、琉生をセレクトすることはないでしょう?
私たちが買い物を始めて、わずか10分。
「これでいいんじゃね?」
もう買い物に飽きてきた琉生が無責任な言葉を宣った。
「もう適当に決めないでよ!」
そしてさらに10分後。
「まだ決まんないのかよ」
「ショッピング始まったばかりだよ」
「俺、もう帰っていいか?」
「いいよ!」
「ダメなの~」
もしかして野乃葉ちゃんは私の買い物を利用して琉生とデート気分を味わってる?
「わたしの~リボンも選んでほしいの~」
やはりね。
これってあてになるのは沙耶ちゃんだけだよね?
「沙耶ちゃん、どれがいいと思う?」
「これがいいよ」
沙耶ちゃんが持ってきた髪飾りには髑髏がついている。
「‥‥‥私には似合わなくない?」
「そうかな? 普段とのギャップが萌えるんじゃない。ごく少ない確率で引かれるかもだけど」
確実に引かれるよー!
「うん? これもいいかも?」
沙耶ちゃんが顔より大きなリボンを持ってきた。
「本気で考えてよ!」
「誰にでもできるファッションでは勝てないんだよ。ここは一か八かの勝負に出なきゃ」
どうして一か八かなのよ? 私ってそんなに勝ち目がないの?
もう信じられるのは私の感覚だけだね。
私は必死で髪飾りを選んだ。
これ可愛いかも? 縦に花が並んだヘアピン。
みんなの意見も聞いてみよっと。
まずは沙耶ちゃんから。
「地味じゃない? それじゃ草壁君をギャッと言わせられないよ」
草壁君を驚かせてどうするのよ?
次は野乃葉ちゃん。
「これだと~草壁君が~驚いてくれないの~」
沙耶ちゃんと同じかーい!
一応、琉生も。
「別にこれでいいんじゃね? 何つけたって柚衣が可愛くなるわけねえし」
こいつにだけは聞くべきじゃなかった。
今日の帰りにトリカブトを買って帰ろうかしら。
そして5時間後、私の買い物はようやく終わった。
「もう二度とお前たちとは買い物をしねえからな」
琉生が疲れ切った声で決心を述べている。
せっかく500円もの買い物をするんだもん。これくらい時間をかけて当然よね?
でも、気に入ったヘアピンが買えてよかったよ。
似合うかな?
私たちはデパート内の喫茶店でお茶をして帰ることになった。
私の横に沙耶ちゃん、琉生の横に野乃葉ちゃんが座った。
「どうして春野が俺の横なんだ?」
「中園君は柚衣の横に座りたいんだよね?」
沙耶ちゃんが満面の笑みでからかっている。
「そういうわけじゃねえけど」
「だったらわたしと座りたいの?」
沙耶ちゃんが意地悪そうな笑みで尋ねた。
「座りたくねえ!」
「どうして? 明日は超高級レストランでデートするのに?」
この言葉にみんなが固まった。
「本当にデートするの?」
私は思わず聞いた。
「しねえよ!」
「あれ? 柚衣は気になるのかなあ?」
沙耶ちゃんは完全に楽しんでるようだ。
野乃葉ちゃんはショックを受けて動かなくなってしまった。可愛そうに。
「明日は10万円くらい用意しといてよ。中園君」
「冗談じゃねえ。そんなお金あるわけねえだろ?」
この一言で沙耶ちゃんがからかってるのだと確信する。
「おい春野? 大丈夫か? ダメだ完全に気を失ってる」
もう沙耶ちゃんやりすぎだよ!
私たちは野乃葉ちゃんの回復を待って帰路についた。
はっきり言って一人で買いに来る方がよかったかも?




