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告白作戦っ!  作者: 黒原乃柚
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第52話 沙耶ちゃん抜きの告白作戦

 翌朝、高級車の中は笑いで包まれていた。

 みんな楽しそうでいいよね?

 私はMAXで暗い状態だよ。


 草壁君と沙耶ちゃんが昨日どんな話をしていたのかとても気になるんだけど。

 焼き餅を焼いているみたいで、流石に聞きづらいよ。

 私はそっと草壁君を見た。

爽やかに笑っている。てか心の底から笑ってるみたい。

 草壁君のこんな笑顔を今まで見たことなかった気がする。


「どうしたの柚衣? もう着いたよ」

 いつの間に!

 最初に『おはよう』って挨拶しただけで草壁君と何も話してないよ。

 このままじゃダメだよね。ますます草壁君との距離が遠くなってしまう感じ。


「朝から元気ないなぁ」

 沙耶ちゃんのせいだよ。

「草壁君が話しかけてくれないからふてくされてるの?」

「誰かさんとばかり話してるもんね?」

 私は嫌味を込めて言った。


「だったらもう一度ラブレター作戦やっとく?」

「やる」

「のりが悪いなあ。ここは書くって言うところ‥‥。え? 今なんて言った?」

 沙耶ちゃんが驚きの声を上げた。

「やるって言ったの」

「まさかそんな返事が返ってくるとは思わなかったから便箋用意してないわ」

 沙耶ちゃんが珍しく戸惑いの表情を浮かべている。

 私が『やる』と言う想定はしてなかったのなら、なぜ聞くの?


「どうして書くの?」

「沙耶ちゃんが書けって言ったんじゃない」

「ははははは」

 なんかもうどうでもいいって感じ。

 大事件でも起こして死のうかな?


「柚衣、なんか暗くないか?」

 たまたま通りかかった琉生が声をかけてきた。

「ねえ、琉生って私の手料理食べたことあったっけ?」

「ないが。それがどうしたんだ?」

「今度作ってあげる」

「本当か? でも、なぜ急にそんなこと言うんだ?」

「琉生って味音痴だよね? 食事に何かが混じっていてもわからないよね?」

 琉生が固まりかけている。

「今回は止めておくわ。また、今度頼む」

 琉生は逃げるように走り去っていった。


 チッ、逃したか。大事件を起こすチャンスだったのに。

 もう何もしたくない気分。

 どんなイベントもきっと楽しくないよ。


「そうだ、柚衣ちゃんに言わなければいけないことがあったんだ」

 草壁君が追いかけてきて言った。

 きっと別れ話だ。まだ付き合ってないけど。

『神様、今の私には何を言われても楽しくありません。どうか一撃必殺なことを告げられる前に私を天国にお召しになってください』

「この前の賞品のデートなんだけど、今週の日曜に決まったんだ。都合は大丈夫かな?」

『神様、さっきのは冗談です。天国にお召しにならないでください』

 私は慌てて神様へのお願いをキャンセルした。


 そうだった。草壁君と超高級ホテルでデートをするんだ!

 思いっきり忘れてたよ。私の目の前が急激に明るくなっていく。

「どうかな?」

「勿論、大丈夫です。たとえ受験の日でもデートを選びます」

「ははは。わかったよ。じゃあ、日曜日の20時に柚衣ちゃんの家に迎えに行くね」

「沙耶ちゃんは来ないよね?」

「来ないけど‥‥」

 私の真剣な眼差しに恐れおののいたのか草壁君は小さな声でゆっくりと言った。


 ようし! 希望が湧いてきたぞ。

 それからの私は絶好調。すべての授業で手を挙げて発表し、すべて不正解だった。

「なんか急に明るくなったそうね」

 昼休みに沙耶ちゃんが私の教室に来て言った。

「草壁君とのデートの日が決まったんだよ」

「あの高級レストランの?」

「そう」

「私も行くからよろしく」

「絶対にダメ! って草壁君にもダメって言われてたじゃない」

「そうだった。私は中園君とデートするんだった」

「まさか本当にデートするの?」

「あれ~心配なのかな~?」

「心配じゃないわよ!」

 琉生が誰とデートしようが私には関係ないもん。


 その日の帰りは沙耶ちゃんが草壁君と盛り上がっていてもあまり気にならなかった。

 形式上は草壁君のフィアンセは私だからね。

 この座は誰にも渡さないよ。

 ただ大きな問題は草壁君がフィアンセだと思ってないことだよね?

 私はほかの候補を選ばないための存在だったわけだし。

 でも、このチャンスを生かさないといけないよね?

 沙耶ちゃん抜きの告白作戦開始だよ。


 その夜、私は必死で考えた。中間テストや期末テストでもこんなに脳を使ったことはない。

 作戦その1。食事の最後に婚約指輪を渡す。

 女の子から渡してもいいのだろうか?

 それよりも指輪を買うお金がないよ。

 作戦その2。草壁君を酔わせて間違いを起こさせる。

 そもそも高校生のデートにお酒が出るわけないよね?

 作戦その3。大泣きして本物の彼女に昇格してもらう。

 男の人って女の子の涙に弱いよね? これで決まりだ。


 でも待てよ。超高級レストランで大泣きして、断られたらどうなるの?

 滅茶苦茶恥ずかしいよね?

 それどころか二度と草壁君の顔を見れないような気がする。

 どれもダメか。ふう。

 思わずため息が出る。


 チュンチュン。

 え~! もう朝だよ! 私寝てないんだけど~。

 そして登校途中の超高級車で本当に短い睡眠をとる私なのだった。


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