✒ 白い鳥居 5
「 ………………なぁ、シュンシュン 」
「 ん~~何だ? 」
「 待ってる間にボトルをくすねるの止めろよ。
それは泥棒だぞ 」
「 良いだろ、別に!
これは治療費として貰っとくんだよ!
これだけ高い酒を売れば、かなりの金額になるぞ!
向こうに帰ったら好きもんにネットで売り飛ばすんだ!
マオも手伝えよ!
ボストンバッグに入るだけ入れるんだ! 」
「 ………………はぁ……。
泥棒しに来た訳じゃないんだけどな~~。
──っていうか、ボストンバッグなんて持参してたんだ? 」
「 風俗店と言えば、高級な酒の宝庫だからな。
拝借する為に持って来てたんだ! 」
「 用意周到だな。
計画的犯行じゃんか… 」
「 良いから入れるの手伝え! 」
「 オレが手伝わなくても式隷が手伝ってるじゃないかよ 」
シュンシュンの指示なのか命令なのか、大勢の式隷達がビッグサイズのボストンバッグの中に酒のボトルをせっせと入れている。
シュンシュンはビッグサイズのボストンバッグを10個は持参して来たみたいだ。
全く──、店内にある未開封のボトルを全部持ち帰るつもりかな。
それにしても、服を着るだけなのに随分と時間が掛かってるよな。
もう30分は経ってるんじゃないか?
「 シュンシュン、幾ら何でも服を着るのに時間が掛かり過ぎてないか? 」
「 そうかぁ?
女の着替えは時間が掛かるんだろ。
──あっ、コラ!
開封してあるボトルは入れるな!
開封済みのボトルは此方に集めるんだ 」
「 シュンシュン──、オレ、様子を見て来るよ 」
「 あぁ、任せる!
金庫は此方に持って来い!
金塊に変えて持ち帰るんだ 」
「 シュンシュ~~ン。
金まで盗む気かよ? 」
「 盗むんじゃない!
治療費として頂くんだ。
紛らわしい言い方をするんじゃない! 」
「 強盗紛いは止めろよ。
金塊なんてセロに頼めば幾つでも出してくれるんだからさ、金は諦めろよ 」
全く──、シュンシュンはやりたい放題だな。
オレはシュンシュンを止める事はしないで、睾水帑智愛珠が居る部屋へ向かう。
ドアの前に立って、ドアをノックするけど反応が無い。
オレは立て続けに3回もドアをノックしたけど、中からはウンともスンとも返事がしない。
外からドアを開け様としてもドアは開かない。
施錠して着替えてるのか?
着替え中にドアを開けるのは男としても人としてもどうかと思うけど、時間が掛かり過ぎてるんだから仕方無い。
オレは中から施錠されている開かないドアを蹴破る事にした。
ドアを蹴破ると、「 バンッ──!! 」って音が響く。
ドアが壊れちゃったけど、仕方無いよな?
ノックしたのに返事をしない睾水帑智愛珠さんが悪いんだからな!
そう──、だからオレは全然悪くない!!
部屋に入ると全裸の状態で睾水帑智愛珠さんが床の上に倒れていた。
刺し傷が目立つ。
何度も何度も何度も何度も繰り返し刺されたみたいだ。
「 滅多刺しかよ。
一体誰が刺し殺したんだ? 」
そう呟いたオレから右側に位置する壁に男が凭れた状態で座っている。
男からは大量の血が流れていた。
「 血を流したまま息絶えてる? 」
男は自分の首にナイフを深々と刺した状態で絶命している。
「 ──コイツ、殺りやがったのか?!
睾水帑智愛珠を殺しやがった……。
確か── “ 夫婦 ” とか言ってなかったか?
妻を殺して自分も死ぬとか有り得ないだろ……。
骨壺が1つ増えたぁぁぁぁぁ~~~~!! 」
オレは部屋を出るとシュンシュンに事情を説明した。
「 ふぅん?
なら火葬して骨壺だな。
──おい、睾水帑智愛珠の死体を運び出せ。
人気の無い場所へ運んだら、火葬するぞ。
骨壺を用意しとけ 」
シュンシュンは手慣れているのか式隷達にテキパキと指示を出している。
2回目だから慣れてるのかもな~~。
「 シュンシュン……。
未開封のボトル、拝借し過ぎじゃないか?
開封済みのボトルはどうする気だよ? 」
「 開封済みのボトルは式隷への御褒美だ。
コイツ等、舌が肥えてるんだぜ。
人間が作る酒は美味くて好きなんだと 」
「 えぇ~~?
式隷って、酒を飲むのかよ 」
「 此処での用は無くなったな。
撤収するぞ! 」
「 シュンシュン、男の死体はどうするんだ? 」
「 うん?
放っとけよ。
僕等とは無関係の男だぞ。
そうだな、折角だから全裸に剥いて放置しといてやろう 」
「 全裸って…… 」
「 全裸の妻を刺し殺した奴なんだろ?
良いじゃないかよ。
あぁ、そうだ!
序でに頭や眉毛,身体中のあらゆる毛を剃って、ツルンツルンにしといてやろう! 」
「 シュンシュン、幾らなんでもやり過ぎじゃないのか? 」
「 マオ、相手は裏社会で悪さの限りを尽くしてた反社会的な悪人だぞ。
全身の毛を剃るぐらい何だよ。
別に良じゃないか。
どうせなら尻の穴にブッとい胡瓜でも入れとくか? 」
「 止めろって……。
胡瓜を粗末にするなよ 」
「 分かったよ 」
シュンシュンが転移陣を発動してくれる。
風俗店を出る事なく、事務所に戻れるのは楽チンだな!
「 じゃあ、僕は睾水帑智愛珠の死体を火葬して来るから、マオは待ってろ 」
そう言うとシュンシュンは転移陣を発動させて、事務所から消えた。
◎ 訂正しました。
固めるんだ ─→ 集めるんだ




