✒ 白い鳥居 3
「 いやぁ~~、此方でもMBKが使えて良かった~~。
問題なく此方の裏金も使えるみたいだし、これで金銭的には困らないな! 」
「 あぁ、渡りに舟だ。
ATMで裏金を引き出してビルの一室を借りるぞ。
一時的にだが、事務所を開業して電話番号を手に入れる!
住所と連絡先をポスターに書き入れたらコピーして彼此に貼るんだ! 」
「 よし、やろう!
捜索の下準備開始だな! 」
マオと春麗は2人で捜索する下準備を始める事にした。
下準備をしている間の捜索は春麗が依り代を式神に変えて探させる事にした。
「 フフン!
今日から此処が僕等の新居兼事務所だ! 」
「 “ 新居 ” って言葉は一寸な~~。
セロに聞かれでもしたら後が怖い…。
“ 住居 ” って言ってくれよな。
事務所の名前は何にするんだ? 」
「 フフン!
良い名前を考えてあるんだ。
【 少年陰陽師★探偵事務所 】だ! 」
「 えっ……探偵事務所ぉ??
シュンシュン、陰陽師が探偵の真似事をするのかよ? 」
「 マオ、僕は式神と式隷を使えるんだぞ。
探偵業なんてチョロいもんさ! 」
「 チョロいって……。
探偵が聞いたら怒りそうな台詞だな 」
「 別に宣伝はしないんだ。
大した依頼なんて来やしないさ 」
「 随分と消極的だな~~。
シュンシュンの事だから欲深くガッポリ稼ぐのかと思ったけど違うんだな 」
「 一時的な事務所だからな。
僕等は依頼を受けてる最中なんだ。
白い鳥居を通って行方知れずになった不明者を探し出す事が目的で、最優先事項だからな 」
「 そうだな!
だけど、こんな良い場所を借りられてラッキーだよな!
1階が喫茶店になってるから飲食には困らないしさ。
どんな交渉をしたんだよ? 」
「 あぁ……1階で喫茶店が開店する10年前に、2階で火事が起きたんだと。
10年前も此処を住居兼事務所とし使ってたらしいんだが、全員が丸焦げの状態で発見されてな、借り手が付かない物件だったんだ。
1ヵ月の家賃、色々込み込みの1万円で手を打たせた。
僕の巧みな話術でな! 」
「 ………………また事故物件かよ……。
オレ、事故物件にはウンザリしてるんだけどなぁ~~ 」
「 良いだろ、毎月1万円の支払いで済むんだぞ。
有り難いじゃないか 」
「 それはそうだけどさ……。
事故物件なんだからさ、もっと値切れなかったのかよ? 」
「 はぁ?
お前なぁ!
家賃18万を1万に値切ったんだぞ!
17万も得してるんだぞ!
贅沢言うな! 」
「 セロなら家賃2.000円まで値切ると思うけどな~~ 」
「 セロフィートと比べるなよ…。
彼奴なら容赦なく値切りそうだけどな。
喫茶店で腹ごなししたらポスターを作ってちゃっちゃと貼るぞ! 」
「 おう!
その前に家具を揃えないとだよな~~ 」
「 喫茶店でパソコン借りてネット買いすりゃ良いさ 」
マオと春麗は2階の事務所を出ると階段を駆け下り、1階の喫茶店へ入店した。
「 シュンシュン… 」
「 何だよ 」
「 【 少年陰陽師★探偵事務所 】を開業して、もう1週間になるけど、何の情報提供も無いじゃん 」
「 そうだな 」
「 依頼だって1件も入って来ないしさ 」
「 別に構わないだろ。
生活資金には困らないんだ 」
「 そうなんだけど…… 」
「 マスター、特製ナポリタン追加な~~ 」
「 春麗ちゃん、可愛いのに何で男っぽい話し方するんだい? 」
「 兄貴達の所為だな。
僕には兄貴が4人居るんだ。
マオは4男で上に3人居るよ 」
「{ シュンシュン、3人の兄貴って──、セロ,玄武さん,弓弦さんの事だよな }」
「{ あぁ、そういう設定で行こう }」
「 へぇ~~。
5人兄妹とは子沢山だね。
珍しいね 」
「 1番上の兄貴は異母兄なんだ。
異母が外国人だよ。
僕達の母親は後妻になるんだ 」
「 複雑な家庭なのかな?
パリッとウインナーをサービスしとくよ 」
「 サンキュー、マスター♪ 」
「 オレもパリッとウインナー付きで特製ナポリタングラタンおかわり! 」
「 あいよ。
マオ君と春麗ちゃんが贔屓にしてくれるから、助かるよ~~。
ピーマンのスライスもサービスしとくよ 」
「 有り難う、マスター♪ 」
「 なぁ、シュンシュン 」
「 何だよ? 」
「 あれから1ヵ月も経つけど、全く情報提供が無いな 」
「 そうだな 」
「 シュンシュン……式神も見付けられないんならさ、この世界には居ないんじゃないのか? 」
「 かも知れないな 」
「 シュンシュン、暢気過ぎないか? 」
「 仕方無いだろ、暇なんだ。
マスター、ミックスサンド追加な~~ 」
「 暢気にミックスサンドなんて食べてる場合かよ!
なぁ、シュンシュン……別の方法で探した方が良いんじゃないのか? 」
「 式神だけじゃなく、式隷にも探させてるんだ。
もう少し待てよ 」
「 そう言って1ヵ月も経ってるんだけどな~~ 」
「 シュンシュン──!!
1人目が見付かったって本当かよ!? 」
「 あぁ、式神が見付けたぞ 」
「 やっな、シュンシュン!
2ヵ月目にしてやっとか~~~~。
これで残り4人だな!
で──、見付かった1人は何処に居るんだ? 」
「 あぁ──、事務所に有る 」
「 うん?
事務所に有る?
どゆこと?? 」
「 死亡してたんだよ。
火葬して遺骨は骨壺に入れてある。
形見の品も保管してるぞ 」
「 し、死んでたって──何でだよ!? 」
「 僕が知るか。
式神が見付けた時には死んでたんだ。
集団リンチでもされた様な後だったからな、意外と治安が悪いのかもな 」
「 マジかよ……。
残り4人の安否が心配だな。
無事だと良いんだけど…… 」
「 生きてようが死んでようが関係無い。
この世界に来ている──って事は分かったんだ。
地道に探すしかないさ 」
「 そうだな…… 」
「 シュンシュン──、2人目が見付かったって?!
今度は生きてるんだよな? 」
「 うん?
あぁ……まぁ……生きてはいるな 」
「 何だよ、歯切れが悪いな~~。
折角見付けれたのに嬉しくないのかよ? 」
「 薬中じゃなければ言う事なかったんだがな 」
「 薬中??
どゆことだよ? 」
「 薬物中毒者だよ。
どうやら薬物に手を出して薬漬けの日々を送っていたらしい。
見付けたのは式隷だ。
どうやら裏で薬の売人もしていたようだぞ 」
「 えぇ~~~~。
薬の売人って……一体何があったんたんだよ… 」
「 僕が知るかよ。
然し、これで残り3人になったぞ 」
「 薬中は何処に居るんだ? 」
「 逃げられても面倒だからな。
縛って監禁してるぞ 」
「 監禁って……。
“ 保護 ” で良いじゃんかよ 」
「 此方の世界に迷い込んだのは高校生だった様だが、発見した容姿を見ると10年は経ってるみたいだ。
どんな10年を過ごしていたのやらだ 」
「 そんなに!?
見知らぬ町で10年か……。
色々と辛い目に遭ったのかも知れないな… 」
「 1人目が見付かって3ヵ月か……。
残り3人も早く見付けてやらないとだな! 」
「 シュンシュン!!
ニュース見か?!
3人目が映ってたぞ! 」
「 あぁ、見た見た。
まさか、犯罪者として逮捕されたとはな 」
「 どうするんだよ、シュンシュン!
逮捕されたら刑務所行きだぞ!
どうやって連れて帰るんだよ 」
「 脱走させるしか無いだろ 」
「 脱走って……マジか? 」
「 マジに決まってるだろ。
安心しろ、脱走させるなんて朝飯前だ。
どうって事ない 」
「 はぁ…………。
何で幼女を連れ去って拉致監禁なんてしちゃったんだよ…… 」
「 此方の世界に来てヤバい性癖にでも目覚めたんだろ。
いたいけな幼女の裸体の動画に撮ってはコレクションしてた様だぞ。
それも1人2人じゃない。
幼女は裏社会の闇ルートで幼女趣味の変態野郎共に売買されているみたいだしな 」
「 えっ?!
裏社会で人身売買されてるのか? 」
「 みたいだな。
僕等には関係無い事さ 」
「 …………………………そだな… 」
「 何だよ、誘拐されて売買された幼女達を助けたいってのか?
僕はタダ働きしないぞ 」
「 分かってるよ…。
この町の裏社会は闇が深そうだな 」
「 何処でも同じさ。
呉々も裏社会に首っ込むなよ。
僕はセロフィートじゃないんだからな。
面倒事は御免だぞ 」
「 ……………………分かってるよ…… 」
「 ──シュンシュン!
4人目が見付かったって本当か?
これで後1人だな!
今度は真っ当な暮らしをしてたか? 」
「 風俗嬢として働いてるみたいだぞ 」
「 ふ…風俗嬢?? 」
「 娼婦みたいなもんだ。
客から金を貰う代わりに身体を提供する職業だ。
知らない訳じゃないだろ 」
「 そりゃ知ってるけどさ……。
また随分と落ちたな…… 」
「 女だからな。
文無しで生きるには難しかったんだろう。
手っ取り早く金を稼ぐには身体を売る事だからな。
当時は高校生だ。
未成年の身体を隅々まで味わいたい変態野郎は何処にでも居ただろうし、相手には困らなかったんじゃないか? 」
「 10代の女子高生が見知らぬ土地で1人生き抜く為に……。
でもさ、5人と一緒に白い鳥居を通ったんだし、5人で行動すれば良かったんじゃないのか?
何でバラバラに暮らしてるんだろうな? 」
「 知るかよ。
それより、少し厄介な事になりそうなんだ 」
「 厄介って? 」
「 風俗店が裏社会と繋がりのある店でな、ヤバい輩の出入りが頻繁だ。
それに上層部の偉い奴の “ お気に入り ” らしい。
此方の世界に来てからの事情を聞くのは難しいぞ 」
「 えぇ~~~~。
でもさ、迎えに来た事は伝えないとだろ? 」
「 そうだな。
今は式隷に見張らせてるから、何か有れば知らせて来る。
5人目が見付かったら考えよう 」
「 5人目か……。
何はともあれ、生きて元気に過ごしてるみたいで安心したよ 」
「 そうだな 」
「 ──マオ、5人目が見付かったぞ 」
「 えっ、本当か?!
やったな、シュンシュン!!
これで帰れる日も近いな!
それで5人目は何処で何してるんだ? 」
「 結婚して家庭を築いてたよ。
子供も3人居る 」
「 えっ──じゃあ、元の世界には── 」
「 あぁ。
此方の事情を話しはしたが、向こうの世界に戻る気はないらしい。
家族写真と手紙を預かって来た。
実家の両親と友達の依頼人に宛てた手紙だ 」
「 そっか……。
此方の世界で生きる道を選んだんだな。
家庭を持ったって事は幸せに暮らせてる──って事なのかな? 」
「 さてな。
5人の中で1番のマトモな暮らしをしてるのは間違いなさそうだがな 」
「 シュンシュン、4人目に会って、事情を説明しないとだよな 」
「 そうだな。
子供が2人が風俗店に行って、会わせてもらえるか分からないが、行くだけ行ってみるしかないな 」
「 “ 探してる人が働いてるから会わせてほしい ” って正直に言えば良いんじゃないのか? 」
「 裏社会と繋がりの深い風俗店だぞ。
飲み物に盛られる可能性も有る。
油断は出来ないぞ 」
「 変な真似されたら潰せば良いじゃん。
正当防衛で通そう 」
「 手加減を忘れて殺すなよ 」
「 骨を砕くぐらいで止めとくよ 」
マオと春麗は【 少年陰陽師★探偵事務所 】を出ると、探し人が働いている風俗店へ向かった。




