第2話 【 初陣・圧倒的無双 】
本作品は『麒麟と龍の系譜』の前日譚(全10話完結)です。一人の少年がチート能力で南方大陸を平定する爽快サクセスストーリーです!
「ルヴァンの小僧が、私兵を率いてこちらに向かっているだと……?」
密林の東方を牛耳る南方最大の軍閥――ガロウザ領主は、酒杯を傾けながら鼻で笑った。
「揃いも揃って数百の雑兵、しかも指揮を執るのは十代のガキだ。あの小童、一族を殺されて気が狂ったか」
ガロウザが動員した兵は三千。分厚い鉄の胸甲で身を固めた重装歩兵と、訓練された弓兵集団である。対するルヴァンの手勢はわずか五百。誰もが「ルヴァンの暴走」「一方的な蹂躙」になると疑わなかった。
――しかし、戦場となった湿地帯で彼らを待っていたのは、常識を覆す惨劇だった。
「来ました! ガロウザ軍の先鋒、およそ一千が前進してきます!」
丘の境界に伏せる私兵団の目前を、ガロウザ軍が大揺れに揺れながら進軍してくる。勝ったと確信し、隊列は乱れ切っていた。
「全員、持ち場を離れるな。引きつけるのだ」
若きルヴァンは静かに命じた。その目は冷徹なまでに冴え渡り、一切の焦りがない。
(力任せに殴り合えば数の差で押し潰される。……だからこそ、敵の『驕り』を誘い、狭い抜け道へと誘導する)
ルヴァンはあらかじめ、敵が進軍せざるを得ない唯一の乾燥した細道を把握し、そこへ自軍の兵を囮として配置していた。まんまと誘い出されたガロウザ軍の先鋒が、細道にぎゅうぎゅうに押し込められる。
「今だ。……踏み潰せ」
ルヴァンが立ち上がり、左腕を掲げた。
――ドクン!
青い光が夜の密林を照らし出す。『神竜の刻印』が覚醒し、莫大な魔力がルヴァンの全身を駆け巡った。
「な、なんだあの光は!?」
「ガキの手が……光っている……!?」
狭い道にすし詰め状態となったガロウザ軍の兵たちが、恐怖に目を見張る。
「神竜の顎よ、すべてを喰らい尽くせ――ッ!」
ルヴァンが両手を一閃させた瞬間、空気を引き裂く暴風とともに、青白い魔導の炎で形成された巨大な「竜の頭首」が空間に現れた。
――ゴーッ!!!
炸裂する衝撃波と超高熱の炎。
逃げ場を失ったガロウザ軍の先鋒一千は、反撃の機会すら与えられず、たった一撃で陣形ごと吹き飛ばされた。頑丈な鉄の胸甲は溶け落ち、強烈な衝撃波が数百の兵を一瞬で気絶させ、大地へ転がす。
「ひ、ひえぇぇぇッ!?」
「化け物だ! 竜の化け物が出たぞ!!」
後方にいた兵たちが、武器を投げ捨ててパニックを起こす。押し寄せた味方が崩れ、将兵が押し合いへし合いを始める大混乱。
「全軍、突撃! 逃げ惑う敵を恐れるな、打ち払えッ!」
ルヴァンの怒号に合わせ、五百の私兵が一斉に襲いかかった。
先頭に立つのは、青い光の刃を身に纏ったルヴァン自身だ。彼が刃を振るうたび、敵の長槍は紙のように切断され、陣列が面白いように崩壊していく。
一人で一国を滅ぼし得る「チート能力」と、敵の心理を読み切った「悪魔的な誘導戦術」。
わずか一時間足らずの出来事であった。
三千の軍勢を誇ったガロウザ軍は壊滅。領主ガロウザはルヴァンの放った光の刃に膝を折り、命乞いをする無惨な姿晒すこととなった。
「頼む、命だけは……! 領地も、金も、すべてお前にやるから……!」
泥に這いつくばる敵将を見下ろし、ルヴァンは冷ややかに宣言した。
「命は奪わん。だが、お前の兵も、領地も、すべて僕がいただく。……この密林に、二度と争いを起こさせないために」
圧倒的な無双と知略による、華々しすぎる「初陣」の勝利。
「十七歳の若き神童ルヴァン、三千の軍勢を一人で打ち破る」
この衝撃的な報せは、波紋のように南方大陸全土へと駆け巡り、弱小豪族ルヴァンの名を一躍「乱世の超新星」として知らしめることとなったのである。
(第2話・完)
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【次回予告:第3話】
圧倒的なチート能力で一躍時の人となったルヴァン。彼は単なる武力にとどまらず、「内政と外交」でもチート級の才覚を発揮し、破竹の勢いで領地を拡大していく――!
明日も、19:10 に、投稿します。よろしくお願いいたします。




