第3話 月からのメッセージ
≪ 登場人物 ①≫
◇エイジ・ミツギ 16歳 男性
OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属
◇ユイン・ユノス 18歳 男性
OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属
◇ブラントリー・フォクスター 25歳 男性
OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属
エイジとユインの部隊長
高度100キロメートル。
カーマン・ライン。
そこは宇宙と空の境界と呼ばれている。
厳密な壁があるわけではない。そこを越えた瞬間に、世界が切り替わるわけでもない。けれど、60機の所属不明HFがその高度を下回った時、戦場の性質は確かに変わった。
無音の世界が終わる。
大気が、音を取り戻す。
黒に近い藍色の空を、人型の群れが切り裂いていく。背面の制御板を展開した所属不明HF群は、軌道エレベーターのワイヤーを中心に螺旋を描きながら降下していた。
疾風のうねりが空間に響く。
薄い大気が、装甲の稜線に触れ、甲高い振動音へ変わる。高高度の希薄な空気が機体群に引き裂かれ、衝撃波の前段となる圧力の皺を作る。
所属不明HFが大気圏を滑空する。
空そのものを硬い斜面に見立て、見えない軌道面の上を機械の爪で引っ掻くようにして、高度を削っていた。
『所属不明HF群、高度98キロ。成層圏上層へ進入』
『衛星軌道レーザー、照射効率低下』
『迎撃管制、第一階層より地上防衛系へ移管』
『軌道エレベーター基部防衛システム、起動シーケンス開始』
赤道直下。
軌道エレベーター基部。
地上から天を貫く白いワイヤーの根元には、都市ではなく、要塞があった。
民間搬送ターミナル、触媒鉱物降下施設、エネルギー変換プラント、貨物分配港。それらを包むように、OMC軌道保安軍の地上防衛基地が環状に配置されている。地表に露出しているのは一部だけだった。管制塔、対空レーザー砲座、電磁投射砲、センサーアレイ、滑走路、HFサイロの装甲蓋。
その大半は地下にある。
コンクリートと複合装甲と電磁遮蔽層の下に、戦術管制室、無人HF管制区画、遠隔操縦席、弾薬庫、冷却炉、予備電源、指揮通信ノードが静かに機動の時を待っていた。
『第一戦闘配置』
『対空防衛網、全系統起動』
『民間搬送ライン、緊急遮断』
『基部周辺30キロ、封鎖プロトコル実行』
防衛管制室の正面スクリーンに、成層圏から降下する60の赤い軌跡が映っていた。
指揮卓の前に立ち、表示を見据える司令官。
管制室内に役職と命令が告げられる。
「戦術管制、敵性判定」
「所属不明HF群、IFF応答なし。OMC、CMS、民間作業機、全登録に該当なし」
「火器管制」
「地上対空レーザー砲台、冷却系起動。電磁投射砲、射撃管制へ接続。高高度迎撃弾、発射可能まで20秒」
「無人HF管制」
「第一即応群、起動中。遠隔操縦席、パイロット着座確認。AI自律制御コア、戦闘モードへ移行」
司令官は一拍置いた。
スクリーン上で、所属不明HF群が隊形を変えた。
60機が6つの群れへ分かれる。各群10機。軌道エレベーターのワイヤーを中心に、六方向へ展開。迎撃火線を分散させる隊形だった。
「迎撃する。地上防衛系に交戦許可」
「了解。地上防衛系、交戦許可」
基地の外周で、装甲蓋が開き始めた。
地表に埋め込まれていた対空レーザー砲座が、砂塵を押しのけて上昇する。分厚い円筒状の発振器ユニットと、冷却材循環パイプ、照準ミラーを備えた可動砲塔。内部で冷却ポンプが唸り、超電導蓄電器が低く鳴った。
別区画では、電磁投射砲のレールが起立した。
砲身基部のコンデンサーバンクが順次接続され、警告灯が赤から白へ変わる。高高度迎撃弾を装填した垂直発射セルの蓋が開き、蒸気のような冷却ガスが吹き上がった。
上空から所属不明HF群が成層圏を降りてくる。
明らかになる機体の輪郭。黒灰色の装甲。細い四肢。長い関節。背面に広がる刃状制御板。地球で運用されているHFとは異なる設計思想の機体だった。
大気を受け流すように機体を傾け、ワイヤーの外周を舐めるように高度を落としていく。
『所属不明HF群、高度82キロ』
『地上対空レーザー、照準捕捉』
『高高度迎撃弾、ロック』
『交戦開始』
軌道エレベーター基部の外周から、最初の光が放たれる。
熱で歪む空気を貫き、白い光条が成層圏へ伸びる。複数の砲座から放たれたレーザーが、降下する所属不明HF群へ向かう。
同時に、垂直発射砲から高高度迎撃弾が射出された。
迎撃弾は上昇しながらブースターを切り離し、成層圏へ向けて加速する。軌道エレベーターのワイヤーを避けるように誘導され、六つの群れへ分かれた所属不明HF群へ散っていく。
『迎撃弾、第一波接近』
『敵性HF群、回避機動』
『レーザー命中、2機』
成層圏上空で、白い閃光が弾けた。
所属不明HFの1機が、地上レーザーの直撃を受ける。胸部装甲の一点が白熱し、直後に機体全体が炎に包まれた。黒い機影が赤い火球へ変わり、軌道を失って落ちていく。
迎撃弾が近接信管で炸裂し、破片雲が所属不明HFの群れを削る。直撃を受けた機体は姿勢を崩し、制御板を失い、燃えながら高度を落とした。
『撃墜確認、5』
『敵性HF群、隊形再編』
「火器管制、照準を散らすな。ワイヤー近傍への誤射を避けろ」
「了解。照射角補正。迎撃弾第二波、発射」
地上基地から第二波が上がる。
発射音が防衛区画の大地を震わせる。光と炎と人型の影が交錯する中で白煙が風に流され、軌道エレベーター基部の周囲を薄く覆った。
所属不明HF群は撃墜された機体の穴を、隣の機体が即座に埋める。機体同士が近すぎず、遠すぎず、迎撃火線を誘導するように乱れる事無く分散する。
『撃墜確認、10』
「成層圏内で10機撃墜」
戦術管制官が報告した。
「残存50機、降下継続。速度低下、軽微」
司令官は、スクリーンを見上げた。
「無人HF第一即応群は」
「起動完了。射出可能」
「出せ」
さらに地下深く。
既に2126年の主力となっている地上防衛仕様のOMC無人HF。
そのサイロに火が入り、魂の無い人型兵器が格納筒の中で目覚める。
所在地を極秘とされるOMC無人HF統合管制施設で管制パイロットとAIの連携により遠隔操作、機体制御が開始される。
一斉に灯る無人HFのセンサーアイ。装甲色は白と灰。コックピットブロックは有人機に比べて小さく、頭部センサーユニットは大型化されている。手足は短く、推進器と姿勢制御翼が背部に集中していた。
極秘基地の遠隔操縦席では、管制パイロットたちがシートに身体を固定している。彼らの前にあるのは操縦桿ではなく、半球状の統合操作端末と全天周モニター。AIが機体の安定と基礎戦闘を担い、人間は交戦許可、優先目標、近接戦闘時の判断に介入する。
『無人HF第一即応群、起動率80%』
『機体リンク、正常』
『遠隔操縦席、全員接続』
『サイロ射出準備』
「無人HF第一即応群、射出」
基地外周のHFサイロが開いた。
円形の装甲蓋が地響きを立てて左右に割れ、地下から白灰色の無人HFが姿を現す。リニアカタパルトが起動し、機体の脚部固定具が解除される。背部スラスターに青白い火が灯った。
第一即応隊の無人HF 20機が、サイロから空へ撃ち上げられた。
カタパルトの轟音、スラスターの咆哮、対空レーザーの発振音、迎撃弾の爆発音が、赤道直下の空を埋め尽くす。
軌道エレベーターを背にして上昇するOMCの無人HFと降下する所属不明HF。
『無人HF第一即応群、上昇中』
『リンク安定。遠隔操縦席、全機接続』
『AI自律戦闘補助、グリーン』
『敵性HF群、残存50。高度58キロ』
『交戦高度まで20秒』
遠隔操縦席のパイロットたちは既に戦闘モードへ移行している。
半球状の全天周モニターに、成層圏の蒼い空と軌道エレベーターの白い線が映る。地下の管制席に固定た肉体が、無人HFのセンサーを通じて戦場の視界を捉える。
『第一即応群、編隊展開』
白灰色のOMC無人HF群が、空中で横へ広がった。
上昇しながら脚部ユニットを折り畳み、背部推進器を主軸へ切り替える。
『迎撃軸、ワイヤー外周半径3キロ』
頭部センサーが蒼く点灯し、複眼状の光が所属不明HF群を捕捉する。腕部の兵装ラックが開き、短砲身のレールガンと近接制動用のワイヤーブレードが露出した。
『交戦開始』
無人HF第一即応群が、上昇しながらレールガンを斉射する。
乾いた炸裂音が、成層圏下層の薄い空気に散った。電磁加速された金属弾が白い筋を引き、降下してくる所属不明HF群へ向かう。
黒灰色のHF群が降下速度を殺さないまま、機体を横へ滑らせる。
数機が弾道を回避し、数機が装甲で受け、数機があえて進路を変えずに突っ込んだ。
『命中、2』
『撃墜未確認』
『敵性HF群、降下継続』
所属不明HFからの反撃。
高威力弾ではなく、迎撃機の姿勢を崩すための制動妨害弾が放たれる。白い煙尾を引きながら、上昇するOMC無人HF群の周囲で炸裂する。
衝撃波。
電磁妨害。
破片。
無人HF3機の姿勢制御が乱れた。
AIが即座に補正する。背部スラスターが噴射し、脚部ベーンが開き、機体は墜落を免れる。だが、その数秒の乱れが、交戦高度に穴を作った。
黒灰色のHFが、その穴へ滑り込む。
『敵性HF、第一防衛ラインを突破』
『距離、縮まります』
『四番から七番、追撃』
『ワイヤー近傍、射線制限』
『近接戦闘へ移行』
軌道エレベーターが近すぎる。
超高張力複合材と電磁搬送路、エネルギー導管、通信幹線、姿勢制御索の集合体として、その内部には文明の血管が通っている。
流れ弾を当てることは許されない。
無人HFの腕部ワイヤーブレードが展開し、空中で円弧を描く。黒灰色の機体がそれを紙一重でかわし、長い脚部で無人HFの肩を蹴った。
白灰色の機体が横へ流される。
姿勢を崩したところへ、別の所属不明HFがすれ違いざまに腕部ブレードを叩き込む。
装甲片が散った。
無人HFの右腕が切り離され、火花を引きながら落ちていく。
『八番、中破』
『遠隔リンク維持』
『機体制御、AIへ一時委譲』
『敵性HF、2機が防衛ライン内側へ』
地上防衛基地の管制室で、戦術管制官の声が速くなった。
「第二即応群、上げろ。第一群の穴を塞げ」
「第二群、射出準備完了。射出」
地上のサイロから、さらにOMC無人HF20機が空へ上がった。
「火器管制、内側には入れるな。基部近接防衛、対HFモードへ移行」
「速いな」
司令官が低く言った。
「はい。降下速度を落としません」
「Cellを積んでないHFならパイロットは既に失神している」
「自律型無人機、もしくは特殊な遠隔制御の可能性があります」
「所属はまだ出ないか」
「照合不能です」
所属不明HFの1機が、OMC無人HFの胸部を蹴り抜く。
無人HFが軌道を失い、白いワイヤーから離れる方向へ弾かれる。すかさずその間を埋めるように黒灰色の機体が次の高度へ降りていく。
所属不明HF群は、確実に防衛火線を削り、無人HFを引き剥がし、包囲のための位置へ移動している。
基部到達予測、4分未満。
OMC軌道保安軍の迎撃は優勢とは言えず、状況は悪化の兆しを見せていた。
戦場となった空域。
その映像は、瞬く間にOMC軍部へ伝達された。
第一報は、軌道保安軍中央作戦司令部。
次に、軌道エレベーター関連防衛基地。
HF運用基地。
無人機管制センター。
海上防衛艦隊。
地下司令施設。
各地の軍用モニターに、赤道直下の映像が共有される。
『緊急戦況共有』
『対象、軌道エレベーター基部』
『所属不明HF群、降下攻撃』
『OMC無人HF部隊、交戦中』
そこには、地球の喉元で戦う人型兵器の群れが映っていた。
時を同じくOMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊の有人HF待機区画ブリーフィングルームでもその映像は映し出されていた。
壁面モニターの前に、待機及び訓練中のパイロットたちが集まっている。
その中に、フォックス、ユイン、そしてエイジの姿があった。
『第二群、交戦開始』
『所属不明HF、残存42』
『OMC無人HF第一群、損耗拡大』
『有人HF部隊、待機命令を継続』
並んでモニターから目を離さず見入るエイジとユイン、壁にもたれ腕を組んでモニターを見据えるフォックス。
その時だった。
モニター映像に、短いノイズが走った。
画面の端が歪む。
音声が割れる。
次の瞬間、映像が途切れた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
SOUND ONLY
SOURCE:LUNAR RELAY / AUTHORITY UNKNOWN
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
沈黙した黒い画面に、白いフォントが浮かぶ。
ブリーフィングルームがざわめいた。
各地のOMC軍施設。
戦況共有回線に接続されたすべての軍用モニターにも同じ画面が表示されていた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
SOUND ONLY
SOURCE:LUNAR RELAY / AUTHORITY UNKNOWN
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「戦況共有回線、外部から上書きされています!」
通信士が叫ぶ。
「遮断しろ!」
「遮断不能。認証階層を迂回されています!」
「発信源は!」
「月面中継網。ですが、正式認証ではありません。識別不能です!」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『私は月面基幹施設群統括レフトムーン・ロゥ』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
モニターのスピーカーから低く、澄んだ男の声が空間に響いた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『地球圏統合通信網を通じ、OMCおよびCMS双方の軍事・行政中枢へ通達する』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
その言葉に感情の抑揚は無く、あらかじめ作成された文書を読み上げるような正確さで続けられた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『この通達をもって、月面基幹施設群は、地球圏経済共同管理体制から離脱する』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『以後、月面に存在する採掘施設、研究施設、マスドライバー、軌道輸送関連設備、およびそれらに付随する防衛機構の管轄権は私が保持する』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
月からと思われる声が冷徹に告げる。
「月面側全チャンネルへ照会!」
中央作戦司令部では、参謀たちが同時に動き始めていた。
「CMSにも同じ回線が流れています。民間網にも一部漏れています!」
「月面基地の管理AIは?」
「応答なし。定期管理回線、沈黙!」
「映像を戻せ。軌道エレベーターの戦況を出せ!」
「広域映像は上書きされたままです!」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『これは交渉ではない』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「戦闘管制はローカルへ落とせ」
司令官が短く命じる。
「了解。地上防衛系、ローカル管制へ移行」
「無人HF管制は」
「独立回線に切替中。遅延、0.8秒」
「許容内だ。戦闘を止めるな」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『要求でもない』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
管制室の一部モニターが、ローカル戦術画面へ切り替わる。
そこには、苛烈さを増した戦闘が映っていた。
黒灰色の所属不明HF群は、軌道エレベーター基部の周囲へ降下を続けている。OMC無人HF第二群との交戦。白灰色の機体が黒灰色の機体へ斬り込む。ワイヤーブレードが空を裂き、レールガンの弾道が白い筋を引く。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『事実の通達だ』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
火の玉となった所属不明HFが、成層圏下層から海側へ落ちていく。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『地球側管理機構は、月面施設群に対する管轄権を喪失した。以後、月面設備への干渉、接近、奪還行動は、すべて敵対行為と見なす』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
地上防衛基地の管制室で、戦術管制官が報告を重ねる。
「所属不明HF群、基部外周20キロ圏へ接近」
「無人HF第二群、損耗率28パーセント」
「第三群、射出準備完了」
「基部近接防衛ライン、戦闘開始まで一分」
「第三群を出せ。第一、第二群は後退させるな。敵を基部外周で止めろ」
「了解。第三群、射出」
地上のサイロが再び開く。
白灰色の無人HFが三度撃ち上げられる。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『月は地球圏共同管理体制の命令系統を拒否する』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『私は、月面の独立を宣言する』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
その一言を最後に、音声は途絶えた。
数秒後、通信網が回復し軍事回線が再接続される。
モニターには軌道エレベーター周辺の戦況映像が映し出された。
地上へ迫る所属不明HF群。
OMC無人HF第三群が展開する軌道エレベーター基部外周の防衛ライン。白灰色の機体が降下する黒灰色の機体を迎撃し押し上げる。ワイヤーを傷つけないために射線は制限され、交戦はさらに近接化している。
空中で腕部が飛ぶ。
脚部が砕ける。
装甲片が火花を散らす。
撃墜された機体が、炎を引いて落ちていく。
地上の対空砲座が吼える。
『中央作戦司令部より全OMC軌道保安軍へ』
エイジたちのブリーフィングルームに新たな通信が流れた。
『全関連部隊、戦闘配置を維持』
『有人HF部隊は追加命令に備え待機』
通信を聞いたエイジとユインがほぼ同時にフォックスの方へ視線を向ける。
フォックスは二人の気持ちを察しながらも壁にもたれたまま、音を発せず口の動きで「た・い・き・だ」と告げ、首を軽く横に振った。
コンテナから出現した所属不明HFによる襲撃。
ロゥと名乗る人物の月独立宣言。
その目的さえ掴めないまま、拡大する戦線。
戦場となった軌道エレベーター基地は混乱を極めていた。
≪ 登場人物 ② ≫
◆レフトムーン・ロゥ
月面基幹施設群統括を名乗る謎の男
OMCおよびCMSに対し月独立を宣言する
≪ 用語・設定 ≫
■無人HF / Humanoid Fighter (人型機動兵器)
CAYAMBE防衛部隊所属の主力機。軌道エレベーターの周囲20キロ圏内の地下サイロに配備されている。
極秘遠隔操縦拠点からの遠隔操作で運用されているが、AIによる自律交戦も可能。
≪ あとがき ≫
主人公はまだ待機中です。




