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第4話 レクリエーション

≪ 登場人物① ≫

◇ノア・シュナイダー大佐 34歳 男性

OMC軍作戦指揮官


◇ガブリエル・バングヘヴン少佐 42歳 男性

OMC統合作戦本部直轄、特殊HF戦術部隊所属

ピジョン・ブラッド隊隊長


◇ブラントリー・フォクスター大尉 25歳 男性

OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属

フォクスター小隊隊長


◇エイジ・ミツギ少尉 16歳 男性

OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属

フォクスター小隊隊員


◇ユイン・ユノス少尉  18歳 男性

OMC軌道保安軍、CAYAMBE防衛部隊所属

フォクスター小隊隊員

「両名、これから少佐殿に同行だ。ついてこい」

 作戦室から出てきたフォックスは、明らかに機嫌が悪い。


「了解しました」

 二人がそろって応じる。ユインがフォックスの顔を見た。

「隊長、どちらへ?」

「知らん」

 素っ気ない答えが返ってきた。


 ユインとエイジは顔を見合わせた。呼び出された本人すら行き先を知らず、不満を隠す気もないらしい。


「それでは少佐、案内を頼む」

 ノアが告げる。

「承知しました」

 バングは形式どおりに答え、廊下の奥へ向き直った。


 先頭を歩くバング。その後ろにノア。フォックスはバングの隣を避け、ノアの横へ並ぶ。エイジとユインは数歩遅れて三人を追った。


 ユインは歩調を落とし、エイジの隣へ寄る。

「何があったんだろうな」

「分からない。でも、隊長があそこまで露骨なのは珍しい」

「命令が気に入らなかっただけじゃなさそうだ」

「ああ」

 フォックスは、上官の判断に不満があっても、部下の前で感情を露わにするタイプではない。必要な命令なら受け入れ、それに従うのは当然とわきまえている。


 今の表情は、困難な任務を命じられた時のそれとは、明らかに違っている。

 もっと、生理的な嫌悪からくるような、根本的な理由があるとユインは感じた。


 案内表示が減り、通路脇の認証装置が増えていく。やがて行き交う軍人の姿も消えた。

 一行が着いたのは、地下作戦区画の端に設けられた小さな乗降所だった。人影も、行き先表示もない。認証端末と閉じた扉だけがある。


 端末へバングが掌を置いた。

 白い認証光が走り、扉の向こうから低い走行音が近づく。数秒後、窓のない無人シャトルが姿を現した。


「さあ、こちらへどうぞ」

 バングが、仰々しく4人をシャトルへと促す。

 五人が乗り込むと、行き先を入力していないにもかかわらずシャトルは動き始めた。

 低い振動だけが車内を満たす。


 ノアが自身の端末を確認した。

「移動経路が表示されていないが」

「乗車権限を持つ人間にしか接続先を出さないラインなので」


 バングの悪びれもしない返答に、フォックスが低く鼻を鳴らした。

「秘密にしなければ死ぬ病気にでもかかっているんですか、少佐殿」

「秘密にしておけば死なずに済む仕事をしているだけだ、大尉」

「便利な理屈ですね」

「便利だから使っている」

 上官同士の短い応酬に、エイジとユインは視線だけを交わした。


 隊長の不機嫌は、やはり、この少佐が原因だ。一度や二度のやり取りではない。エイジは、すでに何度も刃を合わせたような棘を、隊長と少佐の会話から感じ取った。


 シャトルが停止した。

 扉の先には、階層表示のない大型エレベーターが一基だけ設けられている。


「もう少しで着きます」

「まだ先があるのか、であります」

「安心しろ。地獄までは行かない」

「行き着くところは、似たようなものでしょう」

「その割には、素直についてくるな」

「命令ですから」

「ご立派だな」

 フォックスとの会話を、もはや楽しんでいるかのように、バングは笑い、エレベーターの認証装置へ掌を当てた。

 掌紋、皮下血管、虹彩。複数の照合を終えて扉が開く。シャトル同様、内部には階数を示す操作盤すらない。

 全員が乗り込むと、目的階層は自動で設定され、エレベーターは下降を始めた。


「隊長」

 エイジが呼びかけた。

「何だ」

「少佐殿とは、以前からのお知り合いなんですか」

「今日初めて会った」

「そうなんですか」

「残念ながらな」

 心底残念そうだった。


 ユインが声を落とす。

「もう聞かない方がいい」

「俺も、そう思った」

 エレベーターが停止する。

 扉の先には、黒灰色の壁と白い照明だけで構成された一本の通路が伸びている。案内表示も人影もない。


 通路の先に巨大な隔壁が現れる。

 区画を示す上部の表示は、今まで目にしたそれと異なり簡素だった。

 部隊名も、用途も記されていない。


 統合作戦本部直轄――特別戦術運用区画、T‐09ブロック。


「特別戦術運用区画……」

 エイジは表示を見上げた。軍基地の主要区画は士官として一通り頭へ入れているが、T‐09に覚えはなかった。


 バングが隔壁の前へ立ち、引き連れた一団を振り返る。

「さあ、到着です」

 同じ声なのに、本部長室で聞いた時とは響きが違った。

 自分の領域へ戻った人間の声だった。


 たどり着くまでに幾度、あっただろうか。バングが最後の認証端末へ右手を置く。

「厳重というか、大げさというか」

「用心深いと言ってくれ」

「少佐殿の部隊に、そこまで守る価値があるとは思いませんでした」

「俺たちを守るためとは限らんぞ」

 隔壁が左右へ開く。

 隙間から柔らかな光が漏れた。


「……何だ、ここ」

 扉の先を見たエイジとユインは、そろって足を止める。

 軍施設とは思えないほど広い空間だった。


 高い天井。黒を基調とした床。中央には大型ソファと低いテーブル。壁面モニターと作戦卓、訓練器具、簡易医療設備、武器と電子機器の作業区画。


 その一方で、長いカウンターと酒瓶を備えた本格的なバーまである。

「待機室……なのか?」

「少なくとも、僕らが知ってる待機室じゃないな」

 ユインも室内を見回す。


 ノアが一歩中へ踏み入れた。

「これが特別戦術待機室ですか」

「名目上は、ですね」

「実際は?」

 バングは両手を軽く広げた。

「俺たちに必要なものは、だいたい揃っています」


「随分と手厚い待遇ですね」

「必要経費ですよ」

「豪華なバーカウンターも?」

「特に重要です」

 ノアからの確認とも取れる問いかけに、真顔で答えるバング。


「汚れ仕事の報酬が、この部屋というわけですか」

 フォックスがバーと休憩設備を見回す。

「俗物丸出しだな」

「命を安く使われているんだ。部屋くらい充実してても罰は当たらんだろう」

「開き直るんですか」

「正当な要求だよ、大尉。死ぬまで働け、その代わり寝床も食事も最低限で我慢しろ。そんな飼い主に尻尾を振るほど、俺たちは躾がよくない」

 フォックスの目が鋭くなる。

 バングは、楽しむように笑った。

 その表情は、ここでは自分が主人だと、言葉にせず告げていた。


 歩き出したユインに続こうとしたエイジは、違和感に気づく。

 人の気配がある。それも、一人や二人ではない。

 だが、誰も出迎える様子がない。


「戦争屋が勢揃いか……」

 室内を見渡したフォックスの口から、言葉が漏れる。


「そうさ。俺たちが戦争屋だ」

 バングがゆっくり振り返り、フォックスへ両腕を広げた。


「改めて挨拶させていただく。俺たちが、OMC統合作戦本部直轄の非公然特殊機動部隊――ピジョン・ブラッドだ」

 そのままエイジとユインへ顔を向けた。


 エイジの表情が変わる。ユインも目を細めた。

 記録には現れず、存在を尋ねれば否定される。兵士の間で、半ば都市伝説のように語られていた謎の部隊。ピジョン・ブラッド。

「そして俺がその隊長、ガブリエル・バングヘヴン少佐」


「エイジ・ミツギ少尉です」

「ユイン・ユノス少尉です」

 二人は姿勢を整えた。


「堅苦しい挨拶はここまでだ。二人とも、楽にしていい」


 エイジはフォックスの顔を見た。相変わらず、むっとしている。驚いた様子がない以上、作戦室で先に知らされたのだろう。


「隊長が不機嫌だった理由は、これか」

「たぶんな。相揉めたみたいだ」

 フォックスが小声を漏らす二人を軽く睨む。

 そろって口を閉じたエイジとユインを見て、バングだけが楽しそうに笑っていた。


「さて」

 バングが声を上げた。本部長室で使っていた抑えた軍人口調ではない。部屋の隅々へ届かせる、芝居がかった声だった。


「飼い主様から、またありがたい仕事だ」


「月まで出向いて、お偉い方々を守れとさ。目的地は遥か彼方。相手の機嫌は分からない。帰ってこられる保証もない。実に俺たち向きだ」


「しかも今回は、こちらのフォクスター小隊と共同任務だ。ところが肝心の隊長殿は、それがお気に召さないらしい」

「事実とは異なる」

 すかさず、フォックスが口をはさむ。

「どこが違う?」

「共同任務が気に入らないのではありません。少佐殿の部隊を信用できないと言っただけです」

「聞いたか。我が隊は信じていただけない。理解されない。非公式、汚れ役ゆえの悲しさだ」

 わざとらしく胸へ手を当てるバングに、周囲から微かな笑いが漏れた。


 バングは特別室の奥へ歩き始める。

「だから、少しばかり交流を深めようじゃないか。言葉だけでは伝わらない。書類だけでは信じられない。なら、互いに見せるのが早い」


「交流?」

 エイジが呟く。

「嫌な予感しかしないな」

「俺もだ」

 ユインはバングの遠ざかる背中を見た。


 バングが歩いた先に、四基の巨大な筐体が姿を現す。

 左右に二基ずつ。中央の管制卓を囲み、それぞれが独立した搭乗口を持っている。

 搭乗部は、有人HFの操縦中枢――Cellそのものを収める大きさだった。


 エイジの目が見開かれる。

「まさか……」

 次の瞬間には足が動いていた。

「おい、エイジ」

 ユインが呼ぶより早くバングの横を追い越し、最も手前の筐体へ駆け寄る。


「HFの有人機実戦シミュレーター。しかもCell完全再現型……操縦系統だけじゃない。生体入力も、全周囲映像も、衝撃制御も実機規格だ」

 側面の識別表示を追い、接続部を覗き込む。

「四基を直接同期してる。対戦用の処理系まで専用だ。これ、本当に基地の設備なのか?」

「さっきまで嫌な予感がすると言ってなかったか」

「それとこれは別だ。これは凄い。本当に凄いマシンだ、ユイン」

「分かったから、少し落ち着け」


 バングがゆっくりエイジの隣へ立ち、筐体を軽く叩いた。

「どうだ、少年。すごいだろう。オジサンたちは“特別”なんだ」


「確かに、こんな設備は見たことがありません。バングヘヴン少佐。」

「だろう? 四基とも実機のCellと同じ操縦環境を再現できる。登録機体なら出力特性も武装も呼び出せる。実弾で殺し合わず、実力を確かめるには便利な玩具だ」


「玩具にしては、いささかコスト度外視の代物ですね」

 ノアが設備を見ながら言う。

「値段を気にしていたら、いい仕事はできませんよ、大佐」

「予算の出所は後で確認します」

「探すだけ無駄でしょう」


 フォックスは筐体を一度見ただけで、すぐにバングへ視線を戻した。

「俺たちをここへ連れてきた理由は、これですね」

「察しがいいな、大尉」

 バングはフォックスと向き合う。

「OMCから命じられた仕事をこなす。そこに異存はない。だが、弱い奴らと組む気もない」

 特別室内が静まり返る。


「誰と仕事をやるか、最後はこっちで見極めさせてもらおう」

 バングがノアへ短い視線を送る。

 ノアは眉ひとつ動かさない。


「話が早くて助かります、大佐」

「自分はまだ、何も言っていないが」

「止める気配がなかったもので」

「任務への悪影響が出るなら止めます。そうでないなら、相互、戦力確認の良い機会です」

「結構」

 バングの笑みが深くなる。


 最初から、こうするつもりだったのだ。本部長室で反発を受け流していたのではない。不信も侮蔑も、この場へ引き込む材料にされた。

 物分かりのいい大人の対応に手応えがないと感じ、油断し本性を見落とすとは。フォックスは、バングの強かさに今更ながら気づいた。


 バングが搭乗口を二度叩く。

「なに、フォクスター小隊が弱いとは言っていない」

「俺たちの部隊の情報なら、少佐殿は知っているはずだ」

「ああ、記録だけなら、貴官の部隊が優秀なのは知っている。記録だけでは信用できないと言ったのは貴官だ」

「だから、この場で試すのか」

「互いを知るためのレクリエーションだよ」

 バングが不敵に笑う。


「墜とされるのが嫌なら、無理にとは言わない」

「ここまで来させて、それができるか」

「さあ、こちらとしては相手は誰でも構わない。フォクスター小隊の強いところを、我が隊に見せてくれればいい」


 その言葉に合わせるように、一人の女性が待機室の奥から歩み出た。

 足音も立てず、真っすぐエイジへ近づいてくる。

 軍服ではない。身体の線を隠さない私服姿。だが、明らかにHFパイロットの雰囲気があった。


 女は何も言わない。

 値踏みする視線が、エイジの顔から肩、腕、腰へゆっくり下りる。


「……何ですか」

 返答はない。

 距離が詰まる。軍人同士が話す距離ではない。

 エイジが一歩引こうとした時、女の人差し指が胸元へ触れた。軍服の上をゆっくり上がり、襟から首筋へ這う。


「っ……」

 背筋へ、ぞわりとした感覚が走った。

 振り払うべきか迷った一瞬に、指先が首へ届く。顔が熱くなった。


「何の真似です」

 フォックスの声が低くなる。


「見たところ、この中で一番強いのは、少年。君だろう」

 バングは女の振る舞いを制する事無く、エイジに語り掛けた。

「小官、ですか?」

「どうだ、ピジョン・ブラッド相手に、自分の強さを証明したくないか」

 エイジの目がシミュレーターへ向く。


 挑発だと分かっている。それでも、伝説の部隊とこの筐体で戦えることに、心が動いた。


 女の指が、もう一度、エイジの首筋をなぞる。


「部下をからかうのは、そこまでにしていただきたい」

「本人へ聞いているだけだ、大尉」

「その前に、その隊員を離れさせろ」


 その時、エイジと女の間を遮るように、身体が滑り込んできた。

 ユインだった。


 エイジの前へ立ち、女と距離を取った。怒りは表へ出さない。それでも、これ以上触れることは許さないと、その目と立ち位置が告げていた。


 女は数秒ユインを見つめ、面白そうに口元を緩めると、一歩だけ退いた。


「少佐殿」

「何だ、もう一人の少年」

「ユイン・ユノス少尉です」

「失礼、そうだった」

 ユインは一度だけエイジを見る。


「少佐殿は、この中でミツギ少尉が一番強いとお考えなんですね」

「ああ」

「自分も否定はしません。ですが、この中で一番強い少佐殿が出ないのでしたら、我が隊も一番強い彼を出す必要はありません」


「俺が一番強いと?」

「隊長なのでしょう」

「隊長が一番強いとは限らんぞ」

「少なくとも、少佐殿は自分が一番だと思っているように見えます」

 バングは怒ることも無く、続きを促すように顎を上げる。


「それで?」

「少佐殿が出ないのでしたら、ミツギ少尉が出る必要はありません。そして、隊長である少佐殿も出ないのでしたら、フォクスター隊長が出る必要もない」


「ユイン」

 フォックスがユインを見る。


 制止ではない。意思を確かめる声だった。

 ユインは短くうなずき、バングへ向き直る。


「したがって、小官がお相手します」

 一瞬、室内が静まった。


 エイジはユインの横顔を見る。自分を休ませるためか。フォックスを挑発へ乗せないためか。相手の実力を自分で確かめるためか。

 おそらく、全部だ。


 バングが軽く口笛を吹いた。

「言うじゃないか、ユノス少尉」

「自分の考えを、申し上げただけです」

「大尉の部下は、二人とも随分と肝が据わっているな」

「少佐殿に評価してもらうために、育てているのではありません」

 フォックスが不機嫌そうに返す。


「こちらからの相手は、そうだな。シルバーリング、お前が選べ」

 バングから指示を受け、大柄の男が暗がりから立ち上がった。


 シルバーリングと呼ばれた男は、ユインを一度見てから、奥のソファへ顔を向けた。

「おい、ピース。出番だ。相手してやれ」

「……はい、はい」

 気だるそうな声とともに、人影が身体を起こす。


 出てきたピジョン・ブラッド隊員の姿は、シミュレーター用の訓練服でも、官給された軍服でも無かった。まるでこれから、街へ出かけるような普段の服装で現れ、こちらへ歩いてくる。


 エイジは思わず、その姿に視線を向けた。

「何だよ」

 それに気が付き、ピースはエイジを見返し、言葉を放つ。

「いや……その恰好で乗るのか、と思って」

「有人機のCellは、この世で一番安全な場所だろ。ナリぐらい好きにさせろ」

 軽く言い捨て、ピースは筐体の操縦席に乗り込んだ。


 ユインがフォックスへ向き直る。

「隊長。参加の許可を」

 フォックスはユインの目を見た。

「勝つことだけ考えるな。相手の癖と、この部隊の戦い方を見てこい」

「了解しました」

「危険を感じたら、すぐ止めろ」

「模擬戦です。隊長」

「相手は何をするか分からん」


「安心しろ、大尉。壊して困る客人には手加減するよう言ってある」

 少し離れた場所でバングが笑う。

「手加するのはそちら側とは限りません。少佐殿」

 ユインが即座に返した。

「その意気だ、少尉」

 ユインはそれ以上応じず、ハッチの開いた筐体へ乗り込む。


「対戦条件は」

 成り行きを見ていたノアが、筐体の管制ブースへ目を向け、バングに確認した。

「機体と武装は同一規格。操縦技量のみで戦わせます。どちらかが、機動不能となった時点で終了です」


 Cellを再現した操縦席へ身体を沈め、慣れた動作で固定具を合わせた。

 筐体の外を表示するモニターに、エイジが映っている。

 その表情には、僅かに心配の色があった。

 それとも、最新式のシミュレーターへの搭乗に未練があるのか。


「今回は、僕で十分だ。それに、士官学校の模擬戦なら僕の方が勝ち越してる」

 その表情をかき消すように、外部通信でユインは軽口を叩いた。

「今、その話を出すのか」

「事実だろ」

 ユインの口元に、わずかな笑みが浮かぶ。


 ユインが片手を上げる。エイジも同じように返した。


 シルバーリングが管制ブースで筐体の起動を確認している。


 ピース側のハッチが閉じる。続いてユインの操縦席も、筐体の中へと押し込まれるように移動が始まった。


 ハッチが完全に閉じる。

 外の音が消えた。


 外部の映像が切り替えられ、暗くなったCell内部に、表示が一枚ずつ灯る。

 機体認証。

 操縦系統接続。

 生体情報同期。

 模擬戦闘領域構築。

 二基のシミュレーターから、低い駆動音が同時に響き始めた。

≪ 登場人物② ≫

◇ジュエル・シルバー 35歳 男性

ピジョン・ブラッド隊副隊長

通称“シルバーリング”


◇ピース・ギャラガ 26歳 男性

ピジョン・ブラッド隊隊員

模擬戦でのユインの対戦相手


◇モニカ・ベルベット 28歳 女性

ピジョン・ブラッド隊隊員

エイジをからかった女の人


≪ あとがき ≫

第2章はエピローグ含め、あと2話で終わります。


今週もお疲れ様でした。

よい週末をお過ごしください。

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