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『異世界転生してみたら、何もおかしくない世界のおかしい国名に俺だけが困惑している2』  作者: スコ平おじさん


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第17話 一万年の終わりの地獄と、血の和合


元寇の『高麗史』のデータを陳列して、部室の連中とスレッドの住人を同時に完全フリーズさせた翌日。

名ばかりの歴史研究サークルだったはずの部室の空気は、明らかに変わっていた。


いつもならスマホをいじってダラダラ時間を潰しているはずの部員たちが、今日に限っては、何か落ち着かない様子で俺の様子を伺っている。昨日まで『ゴースト・オブ・ツシマ』の画面にかじりついていた先輩も、今日はゲーム機を机に置いたまま、腕を組んで俺の様子をチラチラと見ていた。


「……なあ、佐藤」


沈黙に耐えかねたように、先輩が口を開いた。


「昨日の元寇の話、マジで衝撃だったわ。坂東武者がそこまで戦闘狂バーサーカーだったなんて、大学の講義でも聞いたことがない。……なあ、お前本当はどれだけ歴史の真実を知ってるんだ? だったらさ、いっそのこと、この国の歴史を最初から順番に全部おさらいして教えてくれないか。俺たちの知らないファクトが、他にもあるんだろ?」


スマホを見ていた他の部員たちも、ごくりと唾を呑んで俺に注目した。やる気のなかった幽霊部員たちが、俺の放った『事実』によって、静かに、だが確実に当事者意識に目覚め始めている。


「いいですよ、先輩方。じゃあ、俺たちが学校で一番最初に教わる、あの退屈な『縄文時代』から、本当の歴史の答え合わせを始めましょうか」


俺が静かに言うと、隣の怜が待ってましたとばかりに、その知的な瞳をキラキラと輝かせた。

彼女は俺の知識の深さを100%尊敬し、信頼している。これから始まる極上の時間が楽しみで仕方ないというように、身を乗り出してきた。


「ねえ、佐藤。私、ずっと不思議に思っていたことがあるの」


怜が、大学のノートに書き留めた疑問を指差しながら、純粋な探求心を持って問いかける。


「学校の歴史の教科書って、小学校でも中学校でも、最初のページを開くと何の説明もないまま、あの不思議な形の土偶や原始人のイラストが必ずドカンと陳列されているじゃない。竪穴式住居とか、縄文土器の形とか、そんな地味な暮らしの記号の暗記ばかり。戦前の教科書では、最初はみんな『古事記』の神話や建国の歴史から教えていたはずなのに、なぜ戦後は神話を消して、縄文時代を最初のページに組み入れたのかしら。学校の先生はその本当の理由を、一度も教えてくれなかったわ」


「理由は簡単だよ、怜。あるいは先輩方。

『日本人の誇りをへし折るため』さ」


俺が穏やかな声で言い放つと、部室の空気が張り詰めた。

俺はノートPCのキーボードを叩き、管理している歴史スレッドの画面を部室の大型モニターに繋ぐ。一切の反論を許さない、客観的な科学データがそこに陳列された。


「戦後に教科書を作った連中やGHQは、日本人の強さの根源だった『古事記の神話』を禁止して真っ黒に塗り潰した。最初のページがポッカリ空いてしまったから、仕方がなく当時発掘されていた縄文時代の遺跡をそこに組み込んだんだ。

『ほら見ろ、お前たちは神の国でも何でもない、ただの地味な原始人から始まった遅れた民族なんだよ』

と、日本人のプライドを削るための罠として、縄文時代を利用したのさ。戦前の学者たちも、科学が未熟だったから『縄文人は今の日本人とは無関係の、大昔に滅びた別民族だ』と思い込んでいたしね」


「じゃあ……やっぱり、縄文時代ってただの原始人の暗黒時代だったってこと?」


怜と先輩が不安そうにモニターを覗き込む。


「いや、逆ですよ、先輩。2010年代以降の東京大学をはじめとする最新のゲノム解析が、その戦後の罠も、戦前の先入観も、すべてをひっくり返す『とんでもない大逆転』を引き起こしてしまったんです」


俺はモニターに、現代の日本人のDNAデータと、世界中の民族の遺伝子グラフを並べて陳列した。


「現代の最先端の科学が証明してしまったんだ。戦後の教科書が『ただの遅れた原始人』とバカにしていた縄文人の遺伝子


――世界中のどこを探してもほぼ絶滅している固有のDNA

『Y染色体D系統』が、あろうことか現代の日本人の体内にだけ、今も色濃く直系で引き継がれているという冷徹なファクトをね。


俺の言葉に、怜がモニターの数値を食い入るように見つめながら、弾かれたように声を上げる。


「嘘……ハプログループDって、アジアの他国や欧米の民族には、ほとんど見られない隔離された固有の遺伝子じゃない……! これが、私たちのなかにそのまま流れているっていうの!?」


「その通りだ、怜。世界史の常識では、征服された民族は虐殺されて遺伝子が完全に上書きされて消える。なのに、俺たち日本人は、一万年以上前の縄文時代から一度も絶滅することなく、この島国で地続きで血を繋いできた、世界で唯一の『一万数千年の生きた奇跡の民族』だったんだ。

連中が俺たちの誇りを奪うために用意した『縄文時代』というページが、皮肉にも、最新の科学によって日本人の正統性を証明する最大の武器に化けてしまったんだよ」


「そんなの……とんでもない事実じゃない。本当に、ゾクゾクするほどの鳥肌が立ってきたわ」


挿絵(By みてみん)


怜がモニターの遺伝子グラフを凝視しながら、興奮を隠せずに小さく息を呑む。


「だがな、怜。その一万年以上続いた奇跡の平和な縄文時代にも、本当の『終末の地獄』があったんだ」


俺はさらに、地質学と考古学の凄絶な災害データをモニターに陳列していく。


「今から約七千三百年前。現在の鹿児島県薩摩半島沖、九州の南の海底にある『鬼界きかいカルデラ』という超巨大火山が、過去一万年間の地球上で最大級の破局噴火(ウルトラ・プリニー式噴火)を起こした。


九州南部は一瞬で消滅し、日本列島全体が火山灰で覆われて太陽が遮られたんだ。

さらにその後の大寒冷化――ミニ氷河期のような気候変動が日本を襲った。

主食の木の実も獲物も消え、もっとも栄えていた時期に二十六万人いた縄文人の人口は、この飢餓の地獄によって、わずか七万〜八万人へと激減した。

実に七割以上の先祖が死亡した、絶滅寸前の終末の地獄だ」


「そんな地獄があったのね……じゃあ、私たちの先祖はどうやって生き残ったの?」


怜がもっと先を知りたいという目で、俺の顔をまっすぐに見つめてくる。部室の先輩たちも、生々しい絶滅のデータに息を呑んで聞き入っている。


「その餓死するしかなかった縄文人たちの前に、タイミングよく大陸から渡ってきたのが、寒さに強いお米を育てる技術を持った『弥生人』たちだった。

世界史の残酷なルールなら、最新の技術を持った弥生人が、生き残りの縄文人を虐殺して土地を奪うはずだ。だが、さっき見せた東大のゲノムデータが何よりの動かぬ証拠エビデンスだ。

彼らは殺し合うのではなく、お互いの生き残りをかけて手を取り合い、血を分け合って完璧に融合する道を選んだんだよ。


「だからこそ、現代の私たちの身体の中にだけ、縄文の固有遺伝子であるハプログループDが、奇跡的に色濃く残されたまま今日まで繋がっているのね……!」


怜が、パズルの最後のピースがハマったかのように興奮で頰を紅潮させて叫ぶ。


「その通りだ。俺達が『侵略の歴史』だと教えられてきた弥生時代の幕開けは、実は極限の地獄から生まれた、世界で一番優しい『和の融合』だったんだ。

一万年の平和の遺伝子を持ちながら、いざとなれば世界最強の帝国の心をへし折る戦闘狂バーサーカーに目覚める。

――これが、俺達が教科書でスルーされてきた、この国の本物の歴史の『始まり』だ。少しは、自分の血のなかに眠る真実に、気づけたかい」


俺がエンターキーを叩き、最新のスレッドへそのデータを投下すると、部室の先輩たちも、画面の向こうのスレッドも、今度こそ完璧な沈黙に包まれた。

歴史を原始人と見下していた彼らの脳裏に、一万数千年の地続きの命のバトンタッチという、圧倒的なファクトが静かに胎動を始めている。


「そういえば先輩。何年か前の読売新聞の紙面に、縄文人と弥生人の『下顎窩かがくか』――つまり、顎の関節の形の違いに関する大発見の記事が載っていたのを覚えていますか?」


先輩が、ハッとしたように振り返る。


「あ、あったな! 確か、弥生人の顎の関節はシャープで進んでいるが、縄文人の顎は頑丈で古い。だから海外からやってきた優秀な弥生人の高度な文明によって、遅れていた縄文人が変えられたんだ、みたいな論調の記事だったろ?」


「ええ。ですがその論調こそが、平民の頭から誇りの背骨を抜き取るためにメディアが仕掛けた、世界一浅はかな嘘のフィルターですよ。骨格人類学的な本当のファクトを見れば、縄文人のあの頑丈な顎の関節は、彼らが遅れていた証拠なんかじゃない。一万年以上もの間、日本の豊かな大自然の恵みを余すことなく自らの知性で100%噛み締め、共生していたという、世界一強靭な『生存能力の背骨』の物的証拠そのものなんです」


「新聞を使って噓の情報を私たちに植え付けようとしたのね。」


怜がすかさずその知的な眼鏡の奥の瞳を冷徹に輝かせ、毅然とした声で補足する。


「それなら今度はこちらが世界史の常識を教えてあげるわ。石器時代から青銅器時代にいたるまで、海外のどの文明の遺跡を掘り返しても、そこにあるのは

『よその部族の頭の骨を武器で叩き割って奪い合う、大虐殺の地獄絵図』

ばかりよ。それが人類の普通の営みだったの。だけどね、我が国の縄文時代の一万年間、日本全国から発掘された何万体もの人骨の中で、武器によって殺された戦死の痕跡(傷)がある骨は、たったの1%未満

――考古学のデータ上、実質的にほぼゼロなのよ。

地球の歴史上、一万年もの間、誰も他者を虐殺せず、武器を向け合わずに平和な社会を維持し続けた理想郷なんて、この日の本の縄文時代以外に、世界のどこにも実在しないのよ!」


御剣が、静かで、だけど冷徹に核心を射抜く高貴な言葉遣いで、語りきった。


新聞の自虐記事の嘘や教科書の墨塗りの罠に惑わされず、自分たちの身体の中に眠る本物の遺伝子の絆と誇りの背骨に完全に気づき、覚醒した彼らは、真剣な顔でノートを突き合わせ、次の時代へと熱く声を弾ませ合っていた。


外の冷たい風を浴びながら、俺は次の時代へと歴史の針を進める。

サークル室の全員を巻き込んだ、俺たちの本当の事実陳列の旅が、ここから本格的に動き出す。


(第17話 終)

読売新聞の記事は覚えていますね。読んだとき凄い違和感を感じた事。歴史的大発見!なのに素直に凄いと思えない内容だった。もやもやしてたら数日してその記事が叩かれてる事を知って、あやっぱり。みたいな。そして縄文時代から繋がる染色体の事実。これは本当にびっくりしました。このお話を考えている過程でこの事実に気づきました。日本民族まじでやべえ。そりゃアメリカも中国もこいつらマジでやばい。なんとか弱体化せなっ!ってなるわな。でももう気づいてしまったので時すでに遅しです。フフッ。

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