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『異世界転生してみたら、何もおかしくない世界のおかしい国名に俺だけが困惑している2』  作者: スコ平おじさん


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第28話 墨塗りの歴史と、十二の徳目

画面の向こうのスレッドでは、今日も自称知識人やネットの論客たちが、戦前の日本をバカにする歪んだ書き込みをドヤ顔で並べ立てていた。


『戦前の日本はナチスドイツと組んでユダヤ人を迫害していた暗黒国家だ』

『修身や教育勅語なんて、国民を戦争に行かせるための軍国主義の洗脳プログラムだ。あんな古いゴミ、現代社会には1ミリも必要ない!』


放課後のサークル室。

俺――佐藤は、部室のノートPCの画面に映るその冷え切った文字の羅列を、ただ静かに見つめていた。


「――おい佐藤、これまでの地政学や国際ルールの罠から考えたら、このネットの書き込み、偏見にまみれた大嘘だよな」


長机の上の日本地図を睨みつけていた先輩が、腕を組みながら、鋭い口調で俺の画面に切り込んできた。


「学校の歴史だと、日本は戦前、人権を無視した恐ろしい国だったって記号だけを刷り込まれる。だけど、それだと昨日聞いた児島惟謙の近代的な『法の正義』を貫いた知性と、まったく計算が合わないんだよ。実際の戦前の日本は、国際社会に対してどんな人道的なシステムを陳列してたんだ?」


「素晴らしい着眼点ですね、先輩。歴史を記号の暗記だと思い込み、歪んだフィルターのままで思考停止している奴らへ、こちらのターンを陳列する時間です」


俺はノートPCを叩き、大型モニターへ当時の『松山捕虜収容所』の公式人道データを映し出した。


世界史の常識では、戦争の捕虜は奴隷のように扱われ、虐殺されるのが普通だった。しかし、日本が設置した収容所のデータは真逆だ。ロシアの負傷兵たちを道後温泉に入浴させ、パンや果物、チョコレートを与え、亡くなったロシア兵には丁重にキリスト教式の葬儀を執り行った。東郷平八郎も、ロシアの将軍が入院する病院をお忍びで見舞い、『国のために戦ったあなたをリスペクトする』と固い握手を交わしたんだ。世界が『日本こそが真の文明国だ』と驚愕した公式な国際人道データがそこにある。


さらに、俺はもう一つの巨大な物的証拠を陳列した。


学校では『杉原千畝が国の命令に背いて、独断でユダヤ人にビザを発行して救った』と綺麗事で教えられるが、本当のファクトは違う。

西暦1938年、陸軍中将だった東條英機や首相の近衛文麿らが集まった『五相会議』において、日本政府は『ユダヤ人対策要綱』という公式な国家方針を世界で最初に決定していたんだ。

その中身は、『ドイツが何と言おうが、人種差別に反対する我が国は、ユダヤ人を他の外国人と同じように公平に扱い、絶対に排斥してはならない』という世界で唯一の決議データだ。杉原千畝のビザ発給も、ハルビンの特務機関長・樋口季一郎によるユダヤ人救出も、すべてこの日本の強固な人種平等の背骨の地続きのファクトだったのさ。


「なるほど、お涙頂戴の英雄譚なんかじゃなく、国として最初から強固な人道システムを構築していたのか……!」


近藤さんが熱心にノートにペンを走らせながら、深い気づきの瞳を輝かせる。


「ええ。なぜこれほど誇るべき世界一の人道ファクトを、現代の日本人が誰も教わらないのか。それこそが、終戦後にやってきたGHQが仕掛けた『墨塗り教科書プログラム』の物的証拠ですよ、先輩方」


俺が言うと、隣に座る御剣が、手元の歴史の資料を優しく開きながら、理知的で気品ある声でスレッドの核心へと言葉を繋いだ。


「そうよ。日本人に誇りの背骨を取り戻させないために、彼らは神話やこれらの偉大な人道データを、教科書からすべて炭で塗り潰させ、消し去ってしまったの。


――でも、スレッドの皆さん。教育勅語なんて必要ない、古い軍国主義のゴミだって、今でも大声で悪口を書き殴っているけれど……。そんなに言うなら、じゃあ、少し面白いものを見せてあげるわ」


御剣は、理知的な瞳をパッと輝かせると、教育勅語に書かれている本当の中身、いわゆる『十二の徳目』を、現代の平易な言葉に翻訳してスレッドの画面へ次々と陳列していった。


一、親に孝養を尽くしましょう(親を大切にすること)

二、兄弟姉妹は仲良くしましょう(兄弟は助け合うこと)

三、夫婦はいつも和やかに仲睦まじくしましょう(夫婦は調和すること)

四、友人はお互いに信じ合いましょう(友達を信じること)

五、自分の行動は慎み深くしましょう(謙虚に振る舞うこと)

六、すべての人々に博愛の手を差し伸べましょう(他人のために尽くすこと)

七、学問に励み、技術を磨きましょう(知性を磨くこと)

八、知徳を磨き、才能を伸ばしましょう(自分の能力を伸ばすこと)

九、人格を高めることに努めましょう(道徳を重んじること)

十、社会の公共の利益に進んで尽くしましょう(公のために働くこと)

十一、国の法律やルールを常に守りましょう(法秩序を守ること)

十二、国に危機が迫った時は、公のために命を捧げましょう(国を護ること)


御剣のタイピングの音が部室に響き渡り、スレッドの画面を美しい十二のロジックが埋め尽くしていく。


御剣は、理知的な瞳をパッと輝かせると、教育勅語というシステムの裏側に隠された、本物の政治法学のデータをスレッドの画面へ次々と陳列していった。


「教科書やテレビのニュースは、教育勅語を『明治政府が国民をコントロールするために作った洗脳だ』と教えるけれど、本当のファクトは真逆よ。


当時の明治政府の官僚だった井上毅(いのうえこわし)たちが、この教育勅語に仕込んだ本当のロジックは、『政府や法律の力を使って、国民の思想や私生活を無理やり縛ろうとする国家ファシズムの暴挙を、未然に防ぐための防衛シールド』だったのよ」


画面の向こうの論客たちが、突然の法学論理の陳列に一斉に沈黙した。


「井上毅たちは恐れたの。もし『親を大切にしよう』とか『友達を信じよう』といった道徳を、政府が“法律”として定めてしまったら、時の権力者が法律の力を悪用して、いくらでも国民を裏から監視し、縛り付けることができるようになってしまう、それこそが独裁の始まりだとね。


だから彼らは、あえてそれを法律にすることを全力で拒絶し、内閣の手の届かない『天皇の言葉(道徳)』という形に偽装して発表したのよ。


時の政府が、国民の心や道徳を法律で勝手に縛ることを絶対にさせない。政治の権力から、平民の個人の自由と良心を護るために作られたのが、教育勅語というシステムの本当の解像度なのよ」


「お前たちが、普段からツイッターやSNSの画面の向こうで『理想の優しい社会はこうあるべきだ』『お互いを尊重し合う世界が素晴らしい』って、綺麗事で叫んでいるその中身の正解。


それこそが、まさに150年前にこの国が、教育勅語として子供たちに当たり前に教えていた、人間としての美徳の背骨そのものなのよ。


お前たちの言う『望ましい理想の世界』がここに書かれているのに、教育勅語という名前の記号だけで、中身も読まずに軍国主義のゴミだと叩き続ける。自らを省みる知性を忘れて、保身のプログラミングのままに踊らされているその姿の、一体どこが近代的なインテリなのかしら」


御剣が、静かで、だけど冷徹に核心を射抜く高貴な言葉遣いで、キーボードを叩ききった。


挿絵(By みてみん)


完全に静まり返り、1行の反論すら上がらなくなったモニターの画面。


その光景をじっと見つめていた先輩は、フッと口元を緩めると、俺のノートPCの画面を、パタンと力強い音を立てて自らの手で閉じた。


「――よし、これ以上、こいつらの浅はかな文字を見る時間は無駄だな」


先輩はそう言うと、長机に広げられていた本物の歴史の資料の束を、自らの鞄の中へと丁寧に詰め込み始めた。


「俺たちが普段、ニュースを見ながら『もっとこうなったらいいのに』って言ってた道徳の正解が、150年前の先祖たちの知性の中に、とっくに完成してたんだな。政府の暴走から俺たちの自由を護るためのシールドか……。記号だけで古いゴミだと叩いてた自分の頭を、マジで一度省みないといけないな」


サークル室の窓の外は、すでにすっかり夜の闇に包まれており、静かな月光が長机の上を照らしていた。


部員たちも、それぞれのノートに新しく完成した日本の歴史の重みを大切にしまいながら、自らの鞄を肩にかけ、次なる激動の嵐――あの『東京裁判』という不当な法秩序の罠をいかにして先祖たちが跳ね返したのかという真実に向けて、それぞれの家路へと活気ある声を弾ませながら歩き出していった。


(第28話 終)

今回のお話のテーマとなった、戦後のGHQによる『墨塗り教科書』の闇、臨んで明治の官僚・井上毅たちが教育勅語に仕込んだ『国家ファシズムからの防衛シールド』という冷徹な法学ロジック。


現代のテレビやニュース、あるいは学校の授業では、教育勅語といえば必ず『国民を天皇のために命を捨てさせるよう洗脳した、古い軍国主義のゴミ』として、その名前(記号)だけを悪者にして教え込んできます。


ですが、もし彼らメディアの言う通り、教育勅語が「国家が国民を都合よくコントロールして奴隷化するための洗脳ツール」だったとしたら、その中身は一体どうなっていなければならなかったでしょうか。


倉山満氏が提唱する、国家独裁のための『裏・教育勅語』のデータを、ここにそのまま陳列してみましょう。


一、親の言うことには絶対服従し、個人の意思を持ってはならない(親への盲従)

二、兄弟姉妹は家柄の序列に従い、上の者の命令に逆らってはならない(階級の絶対化)

三、夫婦は男尊女卑のルールに従い、個人の幸福を求めてはならない(家父長制の強制)

四、友人の間であっても常に相互に監視し合い、不穏な分子を通報しなさい(密告の推奨)

五、自分の意見は完全に殺し、お上の決定にはただ従順でありなさい(思考停止)

六、他人のことなど見捨てて、自分と国家の利益だけを最優先しなさい(全体主義)

七、政府の都合の良いお仕着せの学問だけを学び、余計な批判的知性を持ってはならない(思想統制)

八、自分の才能をただ国家の生産性を上げるための道具として差し出しなさい(人間性の去勢)

九、道徳や人格など無視して、ただ効率と結果だけを追い求めなさい(精神の解体)

十、個人の私生活や良心をすべて国家の管理下に置き、プライバシーを放棄しなさい(私生活の監視)

十一、たとえ悪法であっても政府の出すルールには盲目的に従い、一切の疑問を抱いてはならない(独裁の肯定)

十二、国家の都合の悪い真実はすべて隠蔽し、不都合な歴史をすべて墨塗りにしなさい(歴史の改ざん)


――いかがでしょうか。もし時の政府が国民をコントロールしたいのであれば、法律や教育を使ってこのような「裏のプログラミング」を平民にハメ込もうとするのが、独裁システムの冷徹な常識です。


しかし、井上毅たちが実際に発表した『表』の教育勅語に書かれていたのは、親を大切にし、友達を信じ、知性を磨き、他人のために博愛の手を差し伸べようという、現代のSNSでインテリたちが『これこそが理想の優しい社会だ』と叫んでいる美徳そのものでした。


政治の権力が国民の心や道徳を法律で勝手に縛ることを絶対にさせない。平民の個人の自由と良心を護るために作られたという『本当のシステムデータ』を隠蔽し、中身を読ませずに記号だけで叩かせる教育の歪みは、あまりにも残酷です。


与えられたお仕着せの正解を疑い、先祖たちが命懸けで構築した防衛システムの本当の解像度を自分の頭で問い直していく。


サークル室の先輩たちが、ネットの薄っぺらな言論を前にして自ら人道ファクトを掘り起こし、自分の頭で歴史の本当の因果関係を繋ぎ合わせたあの能動的な知性こそが、今も私たちを縛り続ける洗脳を内側から打ち破る唯一の武器なのです。記号の暗記を脱ぎ捨てて、先祖たちの紡いできた強固な知性のバトンを、ここからさらに次の激動の時代(東京裁判)へと繋いでいきましょう。

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