↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通のおじさんの異世界鑑定譚  作者: あいら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/44

Episode.33

ダンジョンからの帰還は、思ったよりもずっと早かった。


潜るのに1か月ぐらいと聞いていたのに、実際は5日で地上へと戻った。


 アキラとナイトは、12階層まで踏破し、

 マジックバックは収穫物で満杯近くになったからだ。


 砂漠階層の魔物、坑道階層で拾った鉱石、鏡の破片――

 価値を秘めた物たちがバックに詰め込まれている。


 地上へ戻った瞬間、冒険者ギルドの受付はざわついた。


「……ちょっと待て、もう戻ってきたのか?」


 若手冒険者の一人が目を見開く。

 その隣で、ベテランの冒険者も口を開く。


「やはり新人にダンジョンはきつかったか」


そんな話声を耳に拾う。


受付カウンターで受付の男性に声をかける。


「素材の買い取りをして欲しいのですが」


「分かりました、買い取りします、出してください」


「ただ、このバックいっぱいあるので、ここだと出す場所が足りないのですが……」


 ある程度広い場所を用意されてはいたが、それでもとても足りない。


「マジックバックいっぱい?」


受付の男性は驚いていた。


「大きな魔物とかもありますし」


「分かりました」


慌てて、倉庫のような所に案内される。


そこで魔物や素材を一気に出す。


今まで価値が認められていなかった素材は、分かりにくいだろうと、鑑定結果を書いた紙もつけた。


「これだけの量だと、買い取りに数週間かかります……申し訳ありません」


ギルドの買い取りのリーダーだという人が現れて頭を下げる。


「それと、このリザード、11階の魔物だと思うのですが」


「はい、11階で倒しました」


「1人でですか?普通リザードを倒すとなると、中級クラスの冒険者5人がかりで倒すような魔物ですよ」


買い取り担当のリーダーは俺を怪しがっているようだった。


「はい、従魔がいまして、神獣ですから瞬殺でしたよ」


そう言って、金のギルドカードを見せる。


「神獣!?これは失礼しました、はい、買い取ります!」


「お願いします」


 そう言って冒険者ギルドを後にした。







 その後、冒険者ギルドでは、噂が飛び交っていた。


「男爵の鑑定士が、12階まで――しかも、これだけの収穫を!」


 冒険者ギルド内で、アキラの名前は更に高まり、

 今まで価値がないと思っていた物の価値を示した事で、かなりの驚きもあったらしい。


 冒険者ギルドの幹部や上級冒険者たちからも、


「アキラ殿の鑑定なら、今後の遠征計画に組み込みたい」


「ダンジョンで今まで不要とされていた物も、もっと鑑定してもらいたい」


 と、期待の声が上がったのだった。






商業ギルドにお土産を持っていく。

もちろんダンジョン産だ。


「アキラ、もう戻ったのか!?」


グラハムが目を丸くして声をかける。

ロイドも、帳簿の手を止めて目を見開いた。


「はい、これお土産です」


グラハムは嬉そうに受け取る。


「おや、これは貴重な疲労回復薬ではないか……

 最近は肩こりが酷くてな、これで一気に治るだろう、ありがとう」


ロイドはその場で一気に疲労回復薬を飲み、


「キクー!!!」


と声を上げていた。


「それにしても早く戻ってきたが、そんなに潜れなかったのかね?」


「いえ、12階まではいきましたよ」


「12階……!?」


グラハムとロイドが揃って驚いた声を出す。


 彼らにとっても、“鑑定士”という非戦闘職だけでここまで到達したことは、

 想像を絶することだったようだ。

 普通なら、中級冒険者の数名で挑んでも、12階層に辿り着く前に、

 撤退や戦闘不能の危険に直面する。

 しかし、はっきり言ってナイトが強すぎた、なので収穫は最大限に確保できたのである。


 しかも、ダンジョンへ行った事で、更にいい事があった。


(鑑定ランクがⅡになってる!)


 感覚が広がり、視界に収まる情報量が格段に増えた。


 今まで鑑定不可だった神ランクが鑑定できるようになったのだ。


 おかげでナイトもしっかりSSSランクとして、鑑定できるようになった。


 おおよその売価だけでなく、原価も分かる。

 その商品について、詳細を知ろうと思えば詳しく分かる。

 その商品に含まれている物質の詳細を、知ろうと思えば詳しく分かる。


 など、機能が数段アップしている。

 

(――これが、ランクⅡの力か)


 アキラは、静かに頷いた。


「これで、価値あるものを見逃すことはほぼないな」


 数週間後、冒険者ギルドから、ダンジョンの品の買い取り明細がきた。

 今までの仕事での収入を合わせると、貯金は2億リラを超えた。


 ナイトを買って、一気になくなったお金が、

 ナイトのお陰で数倍になって返ってきた感じだ。


 ちなみにランクが上がった事により、

 商業ギルド内での地位も上がり、給料も月100万リラとなった。


 60万リラでも、食・住がほぼ無料という事もあり、

 お金が余っていたのに、これから更に貯金が増えそうだ。





次いで、リリアーナと会う約束をした。


魔物素材は流石に渡せないし、坑道で得た石も宝石とかではない、

結局の所、お土産ではないが、自分が持っているコレクションの中で、

価値があると”鑑定”できたネックレスを渡す事にした。


リリアーナが俺の部屋に来る。


「おかえりなさい」


「ただいま」


何気ない挨拶が嬉しく感じる。


「怪我とかはない?」


「まったく、無事だよ」


リリアーナはほっとした顔をして、本当に心配してくれていたのだと嬉しくなった。


「お土産はいいのがなくて……

 ダンジョンで入手したのじゃないけど、これ受け取って欲しい」


そう言ってネックレスを渡す。

普段使いにできそうな、シンプルなチェーンがついているネックレス、

しかし、そのペンダントトップは複雑な彫刻がされ、大きめの宝石がついていた。


しかし、その宝石も今は輝きを失い、何の石か分からなくなっていた。


「ありがとう」


そう言って、リリアーナはペンダントトップに”修復”をかける。


そして、そのネックレスについている石を見て驚いた顔をしていた。


「この石!貴重なピンクダイヤモンド?」


「当たり」


「これ、凄く高いんじゃ……」


「気にしないで、俺が持っててもあまり価値ないし」


「この大きさなら、売ったら凄い値がつくわよ」


「君の胸元で輝く方が価値があるよ」


ナイトもそうだ!というように、


「ワン」


と鳴く。


ナイト……相変わらずリリアーナにべったりだな、少しうらやましいぞ。


リリアーナはしばらく迷ったようだが、


「ありがとう」


と言ってネックレスをつけてくれた。

確かに、金額としては相当な物で、盗賊などに見られたら危険だが、

普段は服の下に隠れるので、そんなに目立つ事もないだろう。


「それでは乾杯しようか」


そう言って二人が好きなブランデーをグラスに注いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。