第8話 守るぞ、デレラちゃん
乙女崎大豪邸。
固定電話に、デレフォンが連絡をしてきた。
「はい。乙女崎家執事のズキンですが」
「デレフォンですう。メグミくんの目撃情報もらったんですけどう〜」
甘いしゃべり方。耳に残る声。
須乃坂デレフォンだ。
「アタシ。メグミくんの彼女なんですう〜。連絡欲しいのですけどう〜」
デレフォンは、メグミくんの彼女をかたる。
雪堂家まで、場所を特定したという。
乙女崎大豪邸にいると、雪堂家の伯父に聞いたらしい。
「関係ございません」
有能な乙女崎家の執事ズキンは、電話を切ろうとする。
しかし。
「スノ・スノ・スノ…」
デレフォンが、怪しげな呪文を唱える。
「その方は…、こちらにいらっしゃいます…」
操られるかのように、執事ズキンは答えてしまう。
「わかったですう。向かいますですう〜」
通話が途切れる。
第8話 守るぞ、デレラちゃん
「申し訳ございません。思わず、しゃべってしまいました」
執事ズキンは、深くあやまる。
「ESPや。デレフォンは、エスパーなんや!」
四男ムカヒくんが、あわてる。
エスパー。
精神操作。催眠術。空中浮遊。エネルギー弾。
超常的な力を持つ存在のこと。
「デレフォンは、警察に捕まっても、精神操作を使って、何度でもしつこくしてくるんだよ」
警察に解決できないことなど、あるのか。
三男サクくんは、くやしそうだ。
「場所がバレてしまったようなら、まずは警察を呼ぼう」
やはり、警察が頼りだ。
長男ダンくんは、スマートフォンで警察に連絡を入れる。
「田舎から引っ越してきた理由は、勉強のためなんですよ。でも、デレフォンのしつこさを避ける理由もあったんです」
「童謡の歌い手のお勉強ですの?」
「はい」
「…デレフォンさん…考えたくないですの」
デレラは、頭を左右に振る。
メグミくんの、“今まで”を知る幼なじみ。
自称・彼女。
「んーーーー!」
怒りマークが、頭につく。
ズルい。ズルい。ズルい。
メグミくんの全部を知りたい。
「デレラちゃん」
メグミくんは、落ち着くように、背中をさする。
10分後。
ピンポーン。
乙女崎大豪邸のドアチャイムが鳴る。
デレフォンが来たのだ。
「オレが、ボコボコにしたるで」
「ボクが、とっ捕まえてやるよ」
「警察が来るまで、時間を稼ごうか」
「僕は、デレラちゃんと隠れます」
「メグミくん…」
4人兄弟とデレラ。警戒を強める。
デレフォンは、エスパー。
どう考えても、勝ち目はない。
ていうか、エスパーって、何だ。
二階。デレラの部屋。
ここで、デレラとメグミくんが隠れる。
部屋のカギを閉める。
「警察が来るまでの辛抱ですからね」
「はい。ですの」
一階。玄関。
他の兄弟とデレフォンが、にらみ合っていた。
「ちょっと、メグミくんと会いたいだけですう〜」
デレフォンは、甘えたような声で、口をとがらせる。
「黙れや。デレフォン」
「キミのせいで、デレラちゃんが傷ついたんだよ」
「帰ってくれないか」
兄弟の三人は、不機嫌だ。
「スノ・スノ・スノ…」
催眠術だ。
兄弟は、急激な眠気に襲われる。
「ね、眠いやん…」
「うう、眠いよ…」
「眠いな…」
必死に耐える。
デレラを守るために、頑張る。
遠くから、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
絶対、デレフォンを捕まえてもらおう。




