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387話 離島研修 ⑫ 〜4日目のシュマン王子

「イタタタタ…本当、雑草抜くのって腰が固まる〜!」


「ウッ・・・私も固まった」


「イテテテッ!俺もだ。いきなり年取ったみたいだ…イテテ・・・」


「ずっと同じ体勢で作業をするのは良くありませんので、時々体勢を変えるか立ったりするのが良いと思います」


「そっか!ヘクターありがとう♪」


 体勢変えても辛いよっ!

 昨日の雑草取りの痛みも残ってるんだよ!!



「今日は雑草を取ったら収穫しましょう。もう食べ頃の野菜がたくさんあります」

「わーい!収穫、収穫〜♡」

「たった二日で収穫か!すげーな」

「かなり採れそうだな。私達では食べ切れない分は獣人に配るのか?」

「はい、おすそ分けに行こうと思います」


「おすそわけ?」


「あれ?『おすそ分け』って言いませんか?」


「アシュリー、それは平民の言葉なんじゃないか?貴族はそんな言い方しないだろ」

「私は分かるぞ、前に父上に聞いた」

「何で国王が平民の言葉を知ってるんだよ!」

「父上はグレンヴィル辺境伯に聞いたんだけど・・・元々はアシュリーの光魔法だったんだ」


 やっぱり、アシュリーに戻るのか!


「そうなのですか?私は『おすそ分け』にって、ボニファスに作ってもらったお菓子や収穫した野菜を持ってご近所に行ったりしますよ。お隣の庭師はボニファスの焼き菓子が大好きなのです!」


「「「それはアシュリーだけ!」」」


 どうして隣の庭師と仲がいいんだよ!


「で、どういう意味なの?」

「服の『(すそ)』と同じように、取るに足らない物ですが、どうぞもらってくださいって意味らしいな」


「へぇ〜、謙遜し過ぎじゃない?」

「まぁ、本当はそんなに(へりくだ)っちゃいないんだけどよ」

「すごいな、ムハンマドはよく知っているな」

「そりゃあ何年も平民やってたんだから当たり前さ!」


 そういえば・・・


「なぁ・・・どうしてムハンマドは平民になったりしたんだ?」


「「「・・・・・・」」」


 もしかして秘密?

 聞いちゃ駄目だった?


「知りたいか?」

「ま、まぁ気になるよ」

「よし、教えてやろう!」

「兄上・・・」


「一言で言えば、父親に殺されたからさ」



「・・・・・・は?」


 殺された?


 殺されそうとかじゃなくて?


 殺されそうってのも変だけど。



「蛇の魔物に川に沈められたんだ・・・もう、死ぬなって覚悟を決めた。それがさ、目が覚めたら馬車の中だったんだよ!」


「ど、どうして・・・」


「何に対してのどうしてか分からんが、俺もどうして生きてるのかはよく分かってないんだ。ただじーさんが、あっ、俺の本当のじーさんな。じーさんが魔法で助けてくれて今がある」


「どうして父親がムハンマドを殺さなきゃいけないんだ!」


「さぁ?」



 さぁって・・・。



「最初は兄上側の人間の仕業かと思ったけど、あんな蛇の魔物を操るのなんて、あのクソ親父しかいないんだよな・・・」


「ムハンマドが国民に慕われていたからですよ」


「「「アシュリー!?」」」


「皇帝は自分より優れた息子の存在に怯えたのでしょう。剣術にも長け、国民にも慕われているような第二皇子の存在は自分の皇帝の座を脅かす…だから早めに処分したのです」


 ムハンマドは第二皇子なのか?


「第一皇子は・・・?」


「決して『優れた皇子』とは言えないから、生かされていたのではないですか?」


 そんな・・・。


「おっ♪俺はそんなに『優れた皇子』だったのかぁ〜!」

「平民生活が長くて『優れた』部分が薄れちゃったみたいだけどね♪」

「デヴィッド!ひでーなっ!」

「だって〜!兄上、そんなんじゃなかったもん」

「悪かったな!デヴィッドが強くなりすぎなんだよ!」


「僕が強いのはグレンヴィルとアシュリーのおかげ。兄上がむさ苦しくなったのは兄上の所為♪」

「悪かったな、むさ苦しくて。全く、俺にどんな夢を見てたんだよ。普通に成長しただけなんだけどなぁ…」


 うん、ムハンマドはちょっとむさ苦しいと言うか、おっさん臭いと俺も思う。俺と一歳しか違わないというのは嘘なんじゃないか?



「第一皇子は、今は母親の故郷へ行き、その国の国王となりました。独立するつもりはないようですので、ハドゥマー様と同じですね♪」


「そうらしいな。じーさんの国と隣同士だからよ、お互い助け合って行こうってさ」



「ムハンマドは何故コーク領に定住したんだ?王都の方が近かっただろう?」


「うーん・・・多分、帝国からなるべく離れた土地が良かったんじゃないか?俺を一緒にモントローズへ連れて来てくれた人がいるんだけど、その人がコーク領の事をよく知った人だったんだ。領民は明るくて良い人が多いってさ!」


「はい!コークの人は温かい人が多いです!」

「アシュリーもコーク領が好きだからなぁ…」


「でもさ、本当に今までコークの人達にはすっごい良くしてもらったからさ・・・俺、本当にコーク領で暮らせて良かったって思ってるんだ」



 分かんない・・・


 帝国の皇帝って・・・


 そうか!

 だからアシュリーに成敗されたのか!!


 ムハンマドは皇帝を怯えさせるくらいに良い皇子だったんだよな・・・。


 ・・・・・・・・・?


 どこが?




「さあ、雑草も取れました!収穫しましょう!」


「わーい♪僕はかぼちゃ採る〜!」

「俺は芋だ!絶対芋!面白いんだよ」


「芋はコツがいるので、私と一緒に収穫しましょう」


「私は・・・そうだな、オニオンがいい」

「では、ギルフォード様は私がお教えいたします」

「あぁ、ヘクター頼むよ」



 本当に・・・まだ畑を作ってから二日。

 昨日は雑草の伸び方に驚いたけど、今朝も結構伸びていたから、それだけ野菜の方も育ってるって事なんだよな。


「オスカルも芋にしようぜ!面白いからさ」


「・・・分かった」


 何でそんなに楽しそうなんだよ。




「よし!引っ張れ!」


 クソッ!

 こんなのの何が楽しいんだよ!



 ズボッ!


「おお!さすがアシュリーが育てた芋だな、デカい・・・」


 芋って、こうやって生えてるのか・・・。


「まだです。この周りの土を掘り起こすと・・・ほら、芋はまだまだいるのです」


 本当だ!


「おお!どんだけ付いてたんだよ!すげーなっ!」


 ムハンマドは引っこ抜く度に騒いでる。


「芋は、しばらくそのまま乾かしておきますので、この籠に重ならないように入れてください」


「すぐには食べられないのか?」

「はい、芋は今夜の夕食に使います」

「そっか・・・」


「フフン♪とっても美味しい料理ができますよ!」

「どんなのだ!?」

「アーラジル共和国の香辛料を使ったスープですが、きっと皆さん気に入ると思います」

「そりゃ楽しみだ!」



 芋を一列全部引っこ抜いた後は、ニンジンをまた一列引っこ抜いた。


 俺はあんまりニンジンは好きじゃないんだけど…。


 すっごい綺麗な橙色だったな。

 赤に近いっていうか・・・。


 それにしても、大量だ。

 デヴィッドは何個かぼちゃを採ったんだろう。今は別の野菜を採ってるみたいだ。

 ギルフォードとヘクターのオニオンは籠に2杯ある。


 アシュリーがいたら、飢饉とか起きないんじゃないか?


 シュマンでも何年か前に北部で飢饉が起きたって聞いた。俺の所には何の影響もなかったけど、父上は酷く頭を悩ませていたのを覚えてる・・・うん、あれは10年くらい前だったと思う。

 俺はまだ学園にも行ってなかったからな。




「今日、私達が食べるのは・・・昼食にはこれとこれと・・・」



 アシュリーが仕分けしている。

 仕分けしてどうするんだ?



「オスカル。皆さんと一緒に残りの野菜をお裾分けに行って来てください」


「は・・・?」


 俺が?

 どうして?


「たくさんあるので、たくさんの人に食べてもらうのです!」


「長老の所へ持って行けば配ってくれるんじゃないか?」

「それでは交流にならないではないか」


 クソッ!

 わざわざ俺を行かせる算段か!


「僕、かぼちゃ係〜♪」

「じゃあ、俺は芋係〜!」

「私はオニオンか」

「では、私はニンジン係ということで」

「オスカルは枝豆にしよう。軽いからな」


 ふ、ふん・・・仕方ない。


「枝豆は塩で揉んでから茹でて食べると美味い。そう教えてやってくれ」

「説明がいるのかよ!」

「多分、この島の人は知らない食べ物だと思う。塩で茹でる・・・茹でるは、えーと・・・」


「多分、『ゆでぃーん』で通じるだろう」


 ギルフォードはもう獣人語を話せるのかっ!?


「ギルフォード様、塩は分かりますか?」

「塩か・・・確か『まーす』じゃなかったかな?肉を焼いていた時にそう言っていた気がする」

「ギルフォード様、素晴らしいです!」

「ま、まぁ・・・それほどでも・・・」



 照れてるギルフォードが気持ち悪い。

 クソッ!

 仲良くしやがって!!



「行ってくる!」


 とにかくその辺の獣人にとっととこれを渡してしまえばいいんだろ。

 そんなの簡単さっ!


「お、おい・・・あいつ、一人で大丈夫か?」

「やる気になったのなら良いのではないですか?」


「俺達も行こうぜ」

「あぁ、アシュリー、行ってくるよ」

「お願いします!私はクラリッサと一緒に昼食と夕食の仕込みをして来ます」

「うん、楽しみ〜♪行ってくるね!」




 畑から獣人の家が並ぶ方へ歩いて行く途中で、獣人達の畑がいくつもあった。そこにも何人か獣人はいたんだけど・・・何か忙しそうだったから声はかけられなかった。


 忙しそうだったからなっ!



 結局、家が並ぶ所まで来てしまった。

 何か獣人がいっぱいいる・・・。


 何でこいつらはこんなに大きいんだ!



《あれぇ〜?オスカルだ!》

《オスカル、何持ってるの?》


「こ、これは『ま、まーす』!」


《ままーす?》

《塩っていったんじゃん?》

《塩がどうしたんだろうねぇ…》

《何かくれるつもりみたいだよ》


「ゆ、ゆでぃーん!」


《あぁ!塩で茹でて食べろってことかあ!》

《分かったよ!》

《そっか!これは今取ってきたばっかりなんだね》

《ありがとうね!》

《ありがとう!早速茹でて食べてみるわ!》


 こ、これは通じたみたいだな・・・

 受け取ったぞ。


《たくさんあるから皆で分けましょう》

《そうだな!》


《どんな味かしら、楽しみね♪》



 よ、よし!

 は、早く家に戻ろう!





 家に入るといい匂いがした。




「おかえりなさいませ」

「オスカル、ありがとう!」


「もう少しで美味しいパンケーキが焼けますよ!オスカル様が一番乗りですね♪」



 パンケーキ・・・ってなんだ?

 パンとケーキの間の子?



「もしかしてパンケーキを知らないのか?」

「う、うん・・・」


「今日のはパンケーキでもお菓子ではなく、食事になるやつだ。採れたてコーンがいっぱい入っていて美味いぞ」


 そう言って、アシュリーが鉄鍋から焼きたてのパンケーキというのを皿に乗せて渡して来た。


 食べていいのか?


「焼きたてが美味いからな、先に食べて良いぞ」



 熱っ!


 本当に焼きたてで、

 コーンがびっしり入っていて


「美味しい・・・」


「そうだろ、そうだろ。働いた後だから余計に美味く感じるはずだ」


 なんだそれ。




「ただいま〜♪」


「おかえりなさいませ」

「皆さん、お疲れ様です」


「おっ!美味そうな匂い!」


「デヴィッド様もムハンマドも手を洗って、昼食にしましょう・・・あれ?ギルフォード様とヘクターは?」

「あぁ、獣人に捕まってる」


「フフッ…ギルフォード様もヘクターさんも一生懸命言葉を理解しようと会話してくれますからね。獣人の皆さんもお話したいのでしょう」



 フン…。






 食事が終わってしばらく休めるかと思ったのは甘かった!



 ドヤドヤと獣人達が家に入って来た思ったら、海に連れて行かれた。




 な、なんだこの小さな舟はっ!

 ひっくり返るんじゃないのかっ!



 すっごい揺れる小舟で何をするのかと思ったら、獣人達は海に潜り始めた!


 潜ってすぐに顔を出して、舟の中に何かを入れて行く・・・これは貝?


 ちがーう!!


 ウニョウニョしてるじゃないかっ!!


「こ、これはアワビ!!」


 一緒の舟に乗っているアシュリーがすっごい嬉しそうなんだけど…もしかして、この貝みたいなグニョグニョしたのが嬉しいっていうのか!?


「こんなにたくさん!!」


 嬉しいらしい・・・。





《オスカルがくれた豆がすっげー美味かったからよ!ありがとうな!これは礼にと思ってよ、うちの家族には大人気の貝なんだよ》


 何言ってるか分かんない。


「獣人は礼だと言っているようだ」

「礼?」

「オスカルに『にふぇーどー』と言っているだろう?」


「にふぇーどー・・・」


《礼の礼はいらないぜ!本当に美味かったんだよ、ありがとうなっ!》


 また、にふぇーどーって言われた・・・



 俺は・・・何もしてない。

 アシュリーが育てた豆だ。



「あれはアシュリーが作ったものだ」

「違うぞ。皆で畑を耕し種を植え、そして雑草を取った。皆の畑だ、オスカルも頑張っただろう?」




 獣人がニコニコしながら俺の頭を撫でてくる。


 や、やめろっ!

 お前、まだ濡れてるじゃないかっ!!


 それに俺は子どもじゃないっ!

 頭を撫でられたって嬉しくなんかないっ!


 嬉しくなんか・・・ 





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ソフトクリームに攻められ過ぎでは?(笑) 家の近くにシャトレーゼが有るので夏場は通ってます、黒蜜きな粉バニラカップとチョコバッキー(チョコレート)が欠かせません トウモロコシ、レンチンOKなの知りま…
オスカル君、ちょっとづつアシュリー様の毒が回ってきてます、大人になると頭を撫でてもらうことは無くなるから今のうちに沢山撫でてもらいなさい これから暑くなってくると枝豆&ビールが美味しい季節に…、茹で…
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