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-47- 格差

 うらぶれたたたずまいの家? と見紛みまごうダンボールと板戸で囲われた住処すみかの中で、途草とくさは新年を迎えていた。都会からは少し離れた人家の少ない田舎町の外れだけに、誰も苦情を言う者はなく、途草はのんびりと日々を過ごしていた。

「ああ…年も明けたか」

 寝転びながら途草は、ふと、溜息ためいきをついた。昨日きのう店の裏の芥箱ごみばこから頂戴した分厚い肉の切れはしや食べ残された残飯は、冬の寒い今、まだ十分に食料として食べることができた。それに加え、調理の手間もはぶけたから、もっぱら年末年始は、この手を使うのがここ数年、途草の常套じょうとう手段になっていた。しばらく、寝転んでいた途草は芥捨て場から拾ってきた針金にるされた古い柱時計を見た。古時計はコチコチ…とわびびしく時をきざんでいた。

「こんな時間か…」

 途草はひとりごちながら、これも拾って敷いた薄汚れたカーペットを立ち上がった。カーペットの下は土だったが、上手うまくしたもので、土の上の枯れ草が絶好のクッションとなっていた。立ち上がった途草は、いつものズタ袋を肩にして外を歩き始めた。目的は空き缶拾いで、町をひと回りすれば、それなりの周回ルートは勝手に決めていた。高いときでKg¥120だったものが、今では¥80程度だったから、そう大した必需品は買えなくなっていた。それでも、欲のない途草には必要なものはほとんどなく、一回につき数百円の収入で充分だった。

 途草が歩いていると、成金社長の美葉みばが途草に向かって歩いてきた。二人の出で立ちは対照的で、襤褸ボロ同然の服・・に身をまとった途草に比べ、豪華な衣装に高価な靴・・と身をやつした美葉である。れ違う二人の間に一瞬、目に見えない稲妻いなづまが走った。自然が引き起こしたプラスとマイナスの偶然の出会いだった。格差…二人は、れ違った直後、同じことを思った。

 最近、世の中では、ふと、そう思えることがよくある。


                    完

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