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-48- 想定外

 久しぶりの晴れ間に、宝木は自転車で買い物に出ようと家を出た。早朝の初雪に厚着をして風邪かぜを寄せつけないよう万全の態勢でのぞんでいた。少しオーパーにも思えたが、まあ、これだけ着込めば大丈夫だろう…という目論見もくろみがあった。

 スーパーへ入ると、思いのほか混んでいて、多くの人がうごめいていた。

[ただ今、食品レジが混雑し、お客様には大変ご迷惑をおかけしております…]

 どこからか、スーパーの館内放送が聞こえてきた。

『ははは…これが本当の.com[どっと混む]か…』

 まあ、こんな混む日もあるだろう…という気分的ゆとりもあり、思わずダジャレが浮かんだ宝木は、思わずニンマリした。そのとき偶然、対向から歩いてきた買い物客と目と目が合ってしまった。その買い物客は、知り合い? と勘違いしたのか、二ッコリと笑顔を返し、軽くお辞儀をした。宝木にすれば、見たこともない赤の他人である。想定外のことだったが、ペコリとお辞儀された以上、無視する訳にもいかない。仕方なく、宝木もペコリとお辞儀して返した。これが、いけなかった。

「どちらさんでしたか?」

「えっ? …。あっ! 失礼しました。人違いです…」

 咄嗟とっさの判断で、危うく宝木は想定外のなんを脱した。

 決めていた物品の買い物をひと通り終えると、宝木はレジへ行こうとした。想定した以上に長蛇の列ができていた。宝木の想定では、数人といったところだったのだが、十数人以上の人が並んでいる。宝木は出来るだけ少なそうな列を選択し、一端、左へと流れた。だが、どの列も結構な人が並んでいた。仕方なく宝木は、右へと取って返して流れた。しかし、やはりどの列も結構な人が並んでいた。これではらちが明かん! …と、いささか宝木はあせり始めた。ともかく並ぼう…と決意し、適当な列へと並んだ。想定しておいた買い物時間は20分程度だったが、餡に相違して小1時間はかかっているではないか。これでは帰って、昼までに、きつねうどんを湯がけない…と腹も立ってきた。結局、買い物を終えて帰宅したのは昼になる5分ばかり前だった。宝木が予想していなかった想定外の買い物は、結局、きつねうどんをカップ麺に化けさせたのである。

 想定外のハプニングで予定が狂うことは、世間でよくある。 


                    完

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