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君と出会った奇跡  作者: ザラメ
第1章
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5話 サイン会

「そういえば凪、さっきの話の続きで、サイン会って何?」


 うっ、姉さんめざとい。とりあえず誤魔化しておくか。


「なんのことかな」

「あ、誤魔化すんだ。明日からの毎日が楽しみだわ」

「ごめんなさい、一から説明します」

「よろしい」


 それは2ヶ月前のとある日の話だ。


「姉さん、明日一日中予定があるから、ご飯任せてもいい?」

「いいけど、夜ご飯は間に合う?」

「いや、厳しいから別皿にとってラップしておいて」

「わかったわ」


「あ、ちなみになんだけど、何するの、明日」

「あー、それはちょっといえないです」

「わかったわ」


 姉さんのこういうところはいいよね。

 流石に明日、サイン会があるなんて言えない。


 そう、明日は神絵師さんたちの展覧会である。そこに、ひよっこである僕がいるのは場違いな気がするが、そこは気にしては駄目だ。


 そして、これを身内に言えるわけがない。活動していることすら伝えてないのだ。


 今更言ったら、姉さんに処刑されてしまう。姉さんは冬麗家で1番恐ろしい。見た目は穏やか?だが、ドSだ。


 まあ、そんな話はさておき、明日は早いから寝よう。おやすみ。



 会場はヲタクの集合場所の秋葉原だ。

 家からは東海道に乗り、京浜東北線に乗り換えれば行けるので、楽ではある。少し遠いけどね。


 少し早く着いたので、特別に展示物を見させていただけることになった。


「えっ、これ白雪ミロちゃんのママのネギサバさんの絵だ」

「ふーとさん詳しいですね。名前も見ずにわかるなんて」

「初投稿から見ていましたんで、」

「なるほど古参勢でしたか。ちなみに私も古参の方なのですが」


 負けましたと悔しそうにしている彼は、スタッフの下沢さんだ。付き添いとしてついてきてくださった。


 彼もネギサバさんの絵が好きらしく、結構昔から好きらしい。流石に初投稿からではないらしいが。


 それから下沢さんと色々な絵を見たけれど、凄い。

 僕の好きな絵師さんの絵がたくさんあったけれど、興奮しすぎて涎が垂れそうだった。汚いね。


 初めて知った絵師さんもいるが、どれも素晴らしい作品である。この中に自分がいるのはとても場違いな気がする。


「ここは僕のコーナーか。他の人よりも見劣りするな」


 僕の作品はなんというか、世界に引き摺り込まれないんだよね。

 他の絵師さんの絵は、見ていてその世界に入り込めるのだけど、僕はそんなことがない。


「ふーとさんの絵を今回初めて見ましたけれども、中学生とは思えないくらい上手ですよ」

 中学生の中ではか。


「ありがとうございます。しかしこの業界にいる以上、年齢なんて関係ありません」

「これは失礼しました。確かにそうですね。私も様々な作品を見てきたので目が肥えていると自負しているのですが、ふーとさんは経験が足りてませんね」


「経験ですか、」

「はい、そうです。大体の絵師さんは美大を卒業しています。しかし、貴方は独学です。やはり専門と独学では差が出るのは必然です。なので、沢山描き、沢山学べばきっと彼らと並べますよ」


 そうか、ネギサバさんも国公立の美大を卒業している。焦っては駄目だ。下沢さんも言っていたが、これから沢山学ぼう。


 僕はそう心に誓い、もう一度自分の作品を見てから待合室に戻った。



「えっ、本当に中学生なの!顔ちっちゃ!脚長。イラストレーターとして活動する前から好きでした」

「ありがとうございます。そんなに前から見てくださっていたとは。これからも沢山描いていく予定なので見てくださるとありがたいです」

「是非見させてもらいます」


 このサインを宝物にすると言って去っていく僕のファン。心がとても温まり頑張ろうという気持ちになっていく。


 サイン会はとても大変だったけれど、とても楽しかった。


 最初はコミュ障で上手く喋れるかわからなかったけれど、案外喋れたのだ。僕ってコミュ障じゃない。

 なんて考えてしまうほどにだ。


 それと、今回来てくださった方々はみんな古参勢だった。僕が活動する前から見てくださっていたらしい。


 なんならシャーペンで描いていた時からの人もいた。これには流石にびっくりだ。


 今は液タブで描いている。一応板タブも持っているが、液タブの方が自分に合っている。


「下沢さん本日はありがとうございました。また御機会がありましたらよろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ。勉強頑張ってくださいね」

「はい、頑張ります」


 僕はそう言い、彼と別れ、帰路に着いた。



「これがサイン会の日の1日です」

「へー、そんなことがあったんだね。なんで私に言ってくれないのよ。私だって行きたかったのに」

「やだよ。どうせきたところで、冷やかすだけでしょ」

「バレてたか」

「姉さんと10年以上過ごしていればわかるよ」


 ほんとこの人は油断できない。


「まあいいや。次からはサイン会応募するからね」

「えっ、やめてよ」

「もうXもフォローしておいたから、これで逃げられないね」


 怖いって。これだからうちの姉は。


「そんなんじゃ幸人に怖がられるよ」

「はあ、何言ってんの。姉の本気の力を知りたいようだね。社会的に潰すよ」

「そのセリフ幸人に聞かせてもいい?録音したけれど」


 そう言い僕は姉に聞かせた。


「わかったよ。今回は折れるよ」

「はいではこの話は終わり。おやすみ」

「おやすみなさい」

読んでくださりありがとうございます。

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