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最後の最後の最後の一線~ラスト・チャンス~

★ ☆ ★


「ふはっ、は、は、ははは! はははははぁ!」


 あと少しでノワの魂をサキの肉体から分離させられると思ったところで――。

 急にサキに憑依しているノワが笑い出した。


「最後の一パーセントも塗り替えましたよぉ! これで完全に! この少女の肉体も精神もわたしのものになったぁ! これでわたしは完全体ですよぉ!」


 ふざけたことを言いやがる。

 完全にサキが乗っ取られた? そんなわけ、ねぇだろ。


「ははっ! あはははははっ! はははっ? あ……う」


 狂ったように笑っていたノワだが――急激にその瞳から涙が溢れ始めた。

 そして、先ほどとは明らかに違う様子で口を開く。


「……せ、センセー……ご、ごめんなさい……どうにか最後のラインは守ってたのに……最後の最後でドジっちゃった……最後に、言わせて……ありがとう……授業、すっごく楽しかった……よ……」


「おい、しっかりしろサキ! 諦めるんじゃねえ! こんな奴に負けるな!」


「……ごめんなさい……あたし、ダメな子で……このままじゃ世界に災厄を起こしちゃうかもしれないから……みんなに迷惑をかける前に…………センセーの手で……斬って……もう、これ、最後のチャンス、だと思うから……」


 サキの瞳から涙がポロポロとこぼれていく。


 俺は、自分を殴り飛ばしたいほどに情けなかった。

 百回世界を救ったからってなんなんだ。

 目の前の教え子ひとり救えないで、なにが英雄だ。救世主だ。


「……すまん、サキ。おまえを救う方法は、ひとつだけある。緊急事態だから、許せ」


 間接的に魔力を使って解呪するのは、もう不可能だ。

 なら――直接やるしかない。


「究極解呪――直結解呪」

「……ふえっ……? んっ……んんっ!?」


 俺は解呪のための魔法を行使しながら――サキの唇を奪った。

 そして、身体を強く抱きしめて――解呪のための魔力を流しこんでいく。


 いくら膨大なサキの魔力量を使って対解呪防壁を張っているとはいえ、俺の全力解呪を零距離で食らえば凌げるはずがない。しかも、逃げ場はない。


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