第25話「愛というキーでエンジンがかかると、その車は大破するまで走り続けた」
小説を書くとは、現実でないことを現実のように読み手の前で真顔で語ることで一種のなんかこう、予言者的な気分になってみようかというものなんじゃないかと最近は思っている。
語られる事自体を読み手に「自分は今なんであろうと語られているのだ」という奇妙な安堵感として受け取ってもらえるのも小説なのだろうか。
犬も歩けばボートレース、とはよく聞いたものだった。今思い出すと何故そんなことが言われていたのかは解らない。
きっと昔はそんな信じられない光景があったのだろう。
実際にあった真実から言葉が生まれることを考えれば本当に犬はボートレースに興じていたのだということがわかる。
決して水が得意ではないという犬がなぜボートレーサーになったのか。
水に慣れないわけではない犬という生き物が、その縁がないわけではない水の世界に、何故本格的に思い切って飛び込んだのか。
このように謎を残したまま、自分達の前にはもう現れないであろう過去の珍しい光景は今どこに居場所を移しているのだろう。
ところで世の男子諸君は部屋で一人、陸にうち上げられて跳び跳ねている魚の真似をしている事がある女の子とお付き合いがしたいと思ったことは一度や二度ではないはずだ。
僕もその一人であるし、そんな女の子がいないかといつも探している。
しかし自分達はなぜそのような女の子に惹かれるのか?
それはそのような子を奇異であると感じると同時に、この子を見守ることが出来るのは自分しかいないという、いとおしさが芽生えるからだろう。
そして男子はその子に対して数々の疑問と謎を産んでいく。
何故魚なのか。そして何故泳げる環境にない、不利な状況での真似をするのか。別に自分なりにブレイクダンスをしようと身をよじらせまくる蛇の真似でもいいではないか、と。
提示されたミステリーと、それを提示する存在のキュートさ。
その組み合わせに世の男子は惹かれる。
女の子の、理由のわからない謎めいた行動には男子は好意を持ちやすいのだ。
女の子の謎や疑問を解くために男子は女の子を好きになるのだと言える。
その例が過去にもあった。
昔、大根を自分の赤ん坊だと思い込んであやしている女性がニュースになった事がある。新聞にも書かれており、それなりに話題になった。
その人には夫がいて、ある日蒸発してしまったのだという。
そしてなぜか居間の卓袱台の上に大根が一本、置いてあった。
悲しみにくれたその女性はその大根を、ついに夫との間にもうけることが出来なかった自分の子供として見立てて育てるような行動をし始めた。
布団で一緒に大根と寝たり、お風呂に大根と入ったり、大根に人参を食べさせようとしたり。
ついに頭がおかしくなったと周りの人は哀れみの目を向けた。
しかし彼女に同情する世の男性は「ああでもしないと人は本当に壊れてしまうのだ」とその女性を庇った。
精神疾患は、精神の決定的な崩壊に至るその前の段階に留めておく為の防衛機構なのでは、という説があるが、それに近い状況だろう。
彼女に影響された男性達の行動は様々だった。特徴的だったのは、その行動が自分の職業を活かしたものが目立つことだった。
彼女の夫を探す探偵。
なぜ大根が置いてあったのか、なぜ大根なのかを分析考察する心理学者。
大根を自分の妻に渡し、子供のようにあやす様を絵に描いた画家。
(ここで飽きる。思いつきで書かないと誓ったはずなのだが、やはり自分は思いつきで書くしかない野郎なのだと思うに至った。
しかし思いつきの割には1000文字を越えたというのは多少は成長したということだろうか。
自分はやはり思いつきを極めるしかないのだろうか?)
しかしだ。思いつきはそんなに創作においてネガティブなものだろうか。
思いついたものをそのまま作品に使うなんて事までは考えていないから別に思いつきでいいじゃないか。
というわけで思いつきを極めてみようと思う。
思いつきとは一切考えないことだ。
思い付いたら変えないことだ。
よくあるのだが、思い付いたことを、書かずにモタモタしていると無意識がそのアイデアを改良しようとしてしまうことがある。
そんなことはこの段階でしなくてもいいのだ。
これは瞬間を捉える為の思いつきである。
見えるだけのものを思い付けばいい。見えないものは後でどうにでもなる。
・男女の体が持っている世界の違い。
・女子プロレスラーデストロイヤー明美の悩み。
・同じ歯医者に通う男女
・よく降る雨だと思いながら寝る
・閉校したはずの他校の制服であるく少女
・投げ槍な槍投げ
・仲間だと思っていた奴のプライベートを目撃して距離感が生まれる
・喫茶店の奥にあるトカゲの置物がこっちを見ている
・ドラッグストアの奥にあるトカゲの置物がこっちを見ている
・カーショップの奥にあるトカゲの置物がこっちを見ている
・トカゲウォリアー
・買い物大好きトカゲウォリアー・トカゲウォリアー恋に落ちそう
・こらえろトカゲウォリアー
・トカゲウォリアー夜の町を往く
・入ろうとしたバーの前で小銭を落とすトカゲウォリアー
・ドアが開き、トカゲマスターが現れる。
・店の中にトカゲウォリアーの初恋の人が
・今何行目?
・みかん、オレンジ、おじゃる丸DVDボックス
・戦いの後の水素水は旨い
・あえて水素水を飲むスタイル
・水素水←水野美紀大林素子水野真紀
・旨いのだろうか?
・嘘かホントかよりも大事なのはそれを実際に自分の目の前に持ってきて実感することだ。
嘘も嘘にならないしホントもホントにならない。
・でも買わない
終わりにしようと思ったら無意識がまとめにかかりやがったのをハッキリと感じる。
無意識はやっかいだ。




