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村の救世主、現る

危機が迫る村に射す希望の光


この話は村長視点です。

 見張りから報告のあったあれは、一匹を大人数で相手してやっと追い返せるような奴だ。少し前から突然現れるようになったあれらは、魔王の下僕の魔物だとかなんとか、都から来たという物知りが言っていた。それが二、三匹いるというだけで正面から立ち向かうのは無理だとこうして守りを固め、足止めをしている間に攻撃を浴びせて追い払おうとしていたというのに。

「はじめの報告より数が多いです。五匹、いや六匹はいるかと……」

という、村の見張り台からの報告。

「襲われる前に村を捨てて逃げるしかないか」

と、場合によっては殿になる覚悟したその時、あの二人が現れた。


 最初は魔物から逃げてきたのだと思った。ところが二人を村の中に入れようとすると、二人のうち前を走っていた少女は

「動かさなくていいから、守りに徹してな」

と言う。そして二人とも村の入り口までまだ距離がある場所で立ち止まった。

 それから二人は少し何かを話していたようだったが、そのうち年長らしきの男のほうが炎魔法を発動させた。右手辺りに出現した炎は見る見るうちに勢いを増していく。

「あれなら確かにあいつらを追い払えるかもしれん」

「しかし村長、あれでは畑に燃え移ってしまうのでは」

「そうかもしれんが背に腹は代えられん。皆に鎌を準備するよう伝えてくれ。水魔法が得意な奴は……ん?」

 延焼を防ぐための手配をすべく指示を出そうとしたその時、男は炎魔法を収め、代わりに土属性の魔法を発動させた。

 そもそもあれほどの炎魔法を使える人間は、ここを治める侯爵に仕えている、炎魔法を専門にしている魔導士ぐらいしか見たことがない。そしてその魔導士はその気になれば宮廷魔導士や近衛師団のエースになれる逸材だと聞いたことがあった。なぜそうしないかは知らないが、恐らく彼も同様なのだろう。

「畑に配慮して専門以外の魔法を使おうとしてくれているのか」

そう思っていたのだが。

 放たれた岩石は僅かに放物線を描き、魔物のうちの一匹の胴に深々と突き刺さった。見た目が地味で威力の程度が分かりにくい土属性の中でもああいう魔法は一等地味で分かりにくいが、あれほどの大きさの岩塊であれほどの速度を出せる人は見たことがない。

 それだけでも驚きだというのに、あの男はさらに氷魔法まで使いだした。しかも器用に頭部を狙って凍らせている。そして小さめの(つぶて)を固まった頭に当てて砕けさせていた。

 威力と精度もそうだが、魔法を使ってから次の魔法を発動させるまでがべらぼうに早い。余程詠唱が上手いのだろうと思った頃にはもう魔物の群れは全滅していた。


「おーい、もう大丈夫だよー」

 あまりの衝撃に唖然として固まっていたが、件の少女に声を掛けられてはっとした。

「救世主……救世主様だ!」

 誰かがそう言ったのを皮切りに周りの皆が歓声を上げ、それを聞いてほかの村人たちも集まってきた。皆の気持ちは分からないでもなかったが、村を代表する者として、礼をもって彼らを迎えなければならないだろうと、まずは村の入り口に置いた障害物をどかしにかかるのだった。

なお撃退した本人は詠唱自体教わっていないので知らない模様。

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