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脅威

今回の視点の主は主人公ではありません。

 我々魔族はみな魔王様によって生み出された。この点において我々魔族はみな魔王様の子であるといえるが、実際に息子や娘を名乗れる魔族はほとんどいない。

 魔王様から魔物達を与えられ、私たち兄弟は各地へ遣わされた。この地へ遣わされた私は魔獣を森に放ち、それらよりは高等な、ある程度統率のとれる魔物達には辺りの村を適当に襲わせた。

 魔物達の数は人間よりうんと少ないから、今は人間に不安を与える程度に留めるようにと魔王様は言っていた。実際、兄のトローシュは魔物達と全力で人間を攻め立てた結果、人間に城に籠られた挙句かなりの魔物を失ったらしい。そんなわけでしばらくの間、人間がどこまでならばらけたままでいるか確かめつつ、人間にそれなりの脅威を与えてきた。ただ最近は若干人間も慣れ始めている気がする。

 そこで今日は、今まで別々に村を襲わせていた魔物を集め一つの村を襲わせることにした。荒らされた村やひどい目にあった人たちを見れば、ほかの人間も魔物を怖いと思うに違いない。

 あの二人に気が付いたのは、そう思って集めた魔物七体を手頃そうな村に向かわせている時のことだった。どこから来たのだろう、森の中から出てきたけれど、運よく魔獣に出会わずに森を抜け出せたのだろうか。まああれが何者でも、これから襲わせる村の被害者がちょっと増えるだけだろう。と、この時はこのくらいにしか思っていなかった。

 ところがその二人のうちの背の高いほうが魔物たちを全滅させてしまった。しかもあっという間に。人間にあんなことができるとは思っていなかったから対策も何もしてなくて、ただ見ていることしかできなかった。新しく魔物を貰うにしても、魔王様にだって限界がある。用意できるまでしばらくは私が直接被害を与えなければいけない。あとは森の魔獣を追い立てるのもアリかもしれないけれど。

 とにかくあの二人について調べないと、また同じ目に遭ってしまう。そう思って、日が沈んでから畑の草に身を隠して村に忍び込んだ。そして気づかれないように屋根を飛び移り、あの二人のうちの小柄なほうを見つけた。話し出したときに聞こえる場所まで近づこう、と思ったその時、どこからか何かが腕を掠めるように飛んできたらしく、腕に怪我をしてしまった。いつから気づかれていたのか、これは明らかに狙われている。掠める程度で済ませたのはきっと脅しだ。つまり今逃げればまだ見逃してもらえそうだということ。私は早々に退散することにした。

 一つ分かったのは、あれは生半端な状態だと勝てない相手だということ。やりあうなら万全の状態で、本気で迎え撃たなくてはいけない。だとしても、私にならできるはず。私は魔王の娘なのだから。

下等な魔族を魔物、そして統制が難しい魔物を魔獣と呼んでいるこの子は、第一の中ボス、或いは章ボスにあたりそうな感じ


そういえば中ボスとは言うけれど小ボスはそういないよね。

え、大ボスもいない?それはラスボスなのでは?

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