↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
6/33

その6:別れ

魔物侵攻の話を聞き、これからどうするか三人で思いにふけていた時、家のドアを叩く音がした。


「誰かしら、、こんな時間に」

椅子から、立ち上がるセリアス。既に外は暗い、そんな中扉を開けると

一人の鎧をまとった男性が居た。


「クライネ・トダン、お前に中央部トールより、参集命令が出ている」

開口一番、一枚の紙を突き出し、僕の名前を呼ぶ。


「うちの子に何か用か、、?」

ジーアスが、男の前に立ちはだかる。声からは、怒りを感じる。


「命令なのだ、良いから来てもらう。シャンディ様がお待ちなのだ」


「シャンディだぁ、、?兵の長が、うちの子に何の用だ、、」

これから何が起こるのかと、ジーアスが男性との距離を詰める。

しかし、男性は怖気る事もなく、淡々と話を続ける。


「命令だ。今すぐ付いてきてもらおう。一人までの付き添いを許可する」


「何を言ってもそればっかりだな。分かった俺が行こう」


命令、その一言で押し切り、僕を連れて行こうとする。

ここで言い争っても仕方ない事を汲み取ったのか、ジーアスが付いてくる事になった。



(母さん、僕は今、中央部への馬車に乗っています)

ジーアスと、家に来た鎧の男性と三人、馬車に揺られる。


「父さんこの馬車、いつも乗ってる馬車より早いですね!」


「そりゃぁ、機動職の扱う専門馬車だからな、お偉いさんの乗る馬車ってやつだ」


ちょっと僕は、ワクワクしていた。普段中央部なんて行ける物では無かったからだ。

ただ、今回は訳が重そうだ。


「着いたぞ。降りろ」


僕とジーアスは、馬車で30分程走らせた所で、とある、石造りの家の前に降ろされる。

男性と馬車は、そのまま中央の城に向かって帰っていく。僕達は、家のドアを鳴らす。


「今開ける、少し待て」


ドアの向こうから女性の声がした。少し、時間をおいてドアが開く。

玄関から扉を挟んでテーブルのある部屋の中、その上には七面鳥など、美味しそうな物が並んでいた。


「命を受けたとの事で、来た。うちの子に何か用か」

ジーアスが女性に話しかける、部屋の奥に戻る女性は、僕らの前に滑らせるように椅子を投げてくる。


「まぁ、座るといいさ。ゆっくりお話をしようじゃないか」


「結論から話してくれないか?こちとら、訳も聞かされず来てるんだ」


「焦るんじゃないよ、なぁ、坊や急いでも仕方ないよな?」

好奇な眼差しを向けて、僕を女性が見てくる、女性はドカッと座り、僕らの椅子に指を差す。


「話って言うやつはな?何か食いながらが一番良いって、相場が決まってんだ、ほら、食え」

促される様に、僕達は食事を行う事になった。美味い。


「でな?君、クライネと言うか?練習場で妙な術を使うと、兵の間で噂になってるぞ」


昼間の火球練習の事を、指しているのだろうか。どうやら、近くを通っていた兵士が僕の火球を見て

人伝に、話を耳にしたとの事だった。


すると、何かを思い出したかの様に、すくっと立ち上がると僕の前に立つ。


「あぁ、名乗るのが先だったな遅くなった。私はシャンディ、これから一つ、よろしく」


シャンディは、細い腕と小さな手を僕に差し出してくる。よく見ると、結構幼そうだった。

見た目は20代なりたてくらい、ただ女性に年齢を聞くと言うのは気が引ける。


「はは、何だ怖がる事ないさ、ほら、挨拶の握手ってだけさ」

「これは、、どうも、、」


取りあえず僕は、女性と握手する事にした、手の感触は女性の手袋越しから伝わる。

硬かった、と言うよりは剣を扱うマメなのだろうか。


「んで、話って言うのはなんだ、兵長さんよ」

「おっ、忘れていたよ、時にクライネ君。君の魔法を見せてはくれやしないか?」


シャンディと名乗る彼女が急に、僕の魔術を見てみたいとの事だった。

断る理由は無いので、三人で表に出て魔法が扱えそうな広い土地へと場所を変えた。


「いいぞーーー!見せてくれーー!」


少し離れた所から、僕を眺めるシャンディ、その横でジーアスは付き添ってくれている。

シャンディは、私が居るから心配せず、撃ってくれとの事だった。

僕は、腕を前に突き出し、指輪に力を込めて、すぅっと息を吸い込む。


「硝煙の施す業火を放て!フロストボール!」


いつも通りの火球だった、よく飛んでいきお腹の部分が光る、ふとシャンディが目を移す。

着弾して、彼女は僕の方に駆け寄ってきた。


「いやぁ、凄いねよく飛ぶね!うちの熟練の魔術師もそうはいかないぞ」

「ありがとうございます、、」

「あと、君ちょっと光ってなかったか?普通身体までは、光ったりしないぞ」


僕は、昼間にあった事をシャンディに伝える。興味深い顔で、話を聞いてくれた。


「ふーん。妙な事もあるんだね、そりゃ、〝妙な術を使う〟なんて言われるんだ」

「この傷について、シャンディさんは何か知りませんか?」


自己治癒能力が無い事、傷の事、とにかく分かる事は伝えた。


「分かんない!ごめんね!!はははは!!!」


ぺかっと笑い、何も知らない事を僕に伝える、だけど彼女は一つ気になる事を教えてくれた。


「分かんないけど、うちにも実は一人居るんだよ、背中に傷痕がある女の子が。年齢近いんじゃない?」

「他にも居るんですか?」


どうやら、その女の子気付けば領内で迷子になっていたらしく

一人でさ迷っている所を兵士が見つけたとの事だった。


「今その子はどこに、直接お話がしてみたいです」

「うーん、そうしてあげたいのは山々なんだけど居ないんだよね」

「居ない?」

「彼女も魔法が拡散しにくくてさ、力を見込んで外で魔物と戦っているさ二月程は戻らないんじゃないかな」


彼女は、魔術兵として遠征をよく行うらしい、何か僕の身体の手掛かりが掴めると思ったが残念だ。


「それでよぉ、シャンディさん話の途中悪いんだが、ただ魔術が見たいってだけじゃなさそうだよな」

話に割り込んでジーアスが話しかける。


「はは!そうだね、クライネ君、君も魔物の討伐には興味ないかい?」

「討伐、、ですか、、」


シャンディが、僕の腕を見込んでの事だったらしい。

僕の傷の謎、そして、傷のある女の子、気になる事が多い僕としては、行きたい。

でも、家族に心配をかけてしまう。


「でも、お前まだ終了過程試験終わらせてないだろ」


そうだった、ジーアスの言うとおりだ、僕はこのままではルールに背いてしまう。


「ちなみになのですが、その時聞いてなかったのですが違反すると、どうなってしまうのですか?」

「魔術の使用違反については、規模によって処分が変わる」


シャンディが教えてくれる、流石は長、そこらについては詳しかった。


「間違いなく、拘留されるのは間違いないだろう、命に背く形で使用すれば極刑も視野に入れる」


それだけ、魔法を使うと言うのは責任が伴うのだ、家族に迷惑はかけたくない。

でも、僕は見たいんだ、自分を知りたいのだ。


「父さん、僕やってみたい、傷の事、どうしてあそこに居たのか。知りたい事が山ほどあるんだ」

「、、、」


ジーアスは黙ってしまった。愛してる子が危険な外へ行きたいと言うのだから、無理もない。


「俺はな、お前の事が本当に大事だ、例え知らない縁の無い子だったとしてもだ、変わりねぇ」

「はい」

「だからこそ、お前のやりたい事をやれ、俺はいつでもここで待ってる」


声が震えてる、本当は止めたいんだろう、でも僕を送り出してくれた、本当に考えてくれたこそ

その判断を下したのだろう。


「父さん、本当にありがとうございます」

「それで、シャンディさん僕は、終了過程試験を終わらせていません」


そうだった、忘れていたそのような顔でシャンディは、ポケットからネックレスを取り出す。


「それは、、」

「これは、手形の様な物だ、長の権限でこれを身に付けてる時に限って、試験を一時的に免除出来る」


便利な物があったもんだ、ただこれで僕は外でも魔法が使えるようになった。


「ただ、これは改めてだが身に付けてる時に限る、気を付けてくれ」


僕とジーアスは、シャンディと別れ家へと戻る、馬車から朝日を拝むと、セリアスが心配そうに出迎えてくれた。僕は、事の顛末をセリアスに伝えた。


「そう、行ってしまうのね、、」

「はい、すみません母さん、でも知りたい事が沢山あったんです!」


明らかに母さんの顔は沈んでいた、自分の子の様に愛した子が魔物と戦うのだ。


「でも、貴方が決めた事なら私は、反対しないわ。でも、これだけは言わせてほしいの」

「はい!」

「私たちはいつでもここで待ってるからね、本当に大好きよ、クライネ」

「父さんも同じことを言ってましたよ」


僕は母に抱き着いていた、自然と涙が出ていた、一人の魔術師がここに、誕生した。

6作目、更新出来てる事が驚きです、難しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
機動職とはなんでしょうか?後でわかるのですかね…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。