↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
33/34

その32:また会おう

卒業課程試験を受け陣営へ戻る為、学び舎である、ミリオットへ編入する事となったクライネ。

準備を進める為にも、兵舎の自室へと戻っていく。


「クライネ、本当に行ってしまうのだな」

「シャンディさん、短い間でしたが、陣営ではお世話になりました。また、必ず戻ってきますので」

「もちろんだ。信じて、待ってるぞ」


シャンディが、僕の手を両手で握り込む。

少し痛かった。


「クライネ、、私も、、待ってる、、」

「アリスさんも、お元気で。ありがとうございました」

「フェイン陣営や、セルスファー陣営の皆とは、話さなくて良いのか?」

「いえ、これから会いに行こうと思います」


僕は、フェインらに一旦の別れを告げる為にも、シャンディに頼み、全員をシャンディの部屋へ、集めてもらう事にした。ただ、その場には、エレットの姿は、見えなかった。


「一人来ていないが、話を進めよう。皆に来てもらったのは、他でも無い。クライネ、頼む」

「僕は、手形不所持によって、陣営の脱退を命じられました。それは、皆さんご存知だと思います」

「どうだったんだ?ずっと気になってたんだ」


フロストティが、話に割って入ってくる。


「フロストティさん、そして皆さん。僕は、その命令を受け入れる事にしました」


話を聞き、呆然とする一同。暫しの間の沈黙があった。


「すまない」


口を開いたのは、セルスファーだった。


「私の方でも、裏で掛け合っていたんだ。どうか、罪を軽くする事は、出来ないかと。検討するとは言っていたが、恩を返す事が出来なかった。本当にすまない」

「いえ、本当に、ありがとうございます。僕なんかの為に、動いて下さって」

「ねぇ、どういう事」


部屋に入ってきた。エレットだった。彼女は手に持った杖を、地面へと落とす。


「クライネ、、脱退するって本当なの…?」

「エレット、、すみません、本当です」

「嫌、そんなの嫌。折角、同じ境遇の人に会えたのよ?私あの時、助けて貰って、お返しすら出来てないのよ?それで、脱退?」


うつむき涙ながらに、訴えかけてくるエレット。

僕は、その話を淡々と、聞く事しか出来なかった。


「もう、どうしようもなかったんです」

「打つ手はなかったの?」

「はい」

「本当なの?」

「すみません」


簡潔に受け答えするしか無かった。ただ、僕がこれから、陣営に戻る為に、ギリエルと、交渉した内容を伝える。


「でも、僕もただでは引き下がりません。きちんと交渉して来ました」

「交渉?」

「僕は、学び舎であるミリオットに行く事にしました。そこで、卒業課程試験を受け、精鋭として合格し、陣営に戻ってきます」


その話を聞くと、やはり、ジェイルが反応した。

フロストティも、聞き覚えのある場所だったようだ。


「ミリ、、オット…?」

「おい、それってジェイルの出た所じゃねぇかよ」

「ギリエルが、場所を指定してきやがった。ジェイルの事も、意識した内容だと思っている」


シャンディは、ギリエルの考えてる事に対して、不快感を覚えていた。クライネのみならず、他陣営にまで手をかける、その腐った性格にだ。


「でも、僕は寧ろ、チャンスだと思ってます。ジェイルさんと同じく、首席で合格してみせます」

「ねぇ、クライネ君。私、未だに気持ちの整理がついてないの。行っちゃうの?ごめんね、ちょっと、、」


フェインは椅子に座り、下を向いていた。


「まさか、陣営を去る事になるなんて思ってもなかったの。何だかんだ、セルスファー陣営を救った功績で、お咎め無しになると思っていたのよ、、」

「仕方なかったんだ。クライネは、彼なりに考えた上で、今回の決断を選んだんだ。私たちの事も考えてね」

「分かってる。分かってるの。手形不所持の魔術師が居る中央に、不安を覚える民も少なく無いはずだし、説明しても認めない人も居るに違いないわ」


シャンディが、フェインの気持ちを必死になだめようとする。


「でも、それでも今、この現実を直視出来ない。ここから、居なくなるって事が考えられないの。これからよ?彼の今からを、潰されたのよ?どう気持ちを整理しろって言うのよ」

「すみません、フェインさん。ただ、感謝したいんです」

「感謝?」

「聞き流して下さい。僕は、今からありもしない記憶の話をします」


僕は、直接では無いが、ここに来る前の事を話す事にした。


「僕は、多分前世は誰にも愛されない人でした。必死に何かを成し遂げようとも、今回の様に、どこかで必ず邪魔をされる。そんな、前世だったと思います」

「きゅ、急に、、何の話をしてるの?」

「そんな時、僕は、毎回一人でどうにかしなくちゃと、もがき続けてたと思います。でも、今回は違います。動いてくれる仲間が居ました」


多分、皆には急に変な話をしだした様に、思われるかもしれない。ただ、僕はそれでも良いと思える程に、ありがとうを伝えたかった。


「最後まで、変な人ね。クライネは」

「何だか、そう言う世界が見えたんです。一瞬だけ」


エレットが、少し笑ってくれたいた。

そう、一旦の別れの時こそ、涙はふさわしくない。

いつか必ず、戻ってくるのだから。


「ありがとうございます。それを伝えたかったんです。それでは、僕は、行ってくるとします」


決意を胸に、僕は、その場を後にしようとする。

後ろから、エレットの大きな声が聞こえた。


「私、待ってるから!あんな奴に負けないでよ!」

「任せて下さい!なんて言ったって、僕はあのシャンディさんから信用されてて、あのジェイルさんの弟子なんですから!」


手を振り、僕は、シャンディの部屋を後にした。



「こんなもんで、大丈夫かな、、」


僕は、自室で部屋を出る準備を進めていた。

ミリオットでは、寮生活になる。この部屋ともお別れだ。


「おい、入るぞ」


鍵を開けたままにした部屋に、シャンディが入ってきた。


「行ってしまうんだな。クライネ。表に迎えを手配している」

「シャンディさん、、お元気で。それと、これを」

「ん。確かに。お前こそな」


僕は、陣営一時的な最後に、シャンディの大きな手で頭を撫でてもらい、ミリオットへと、向かうのであった。

シャンディの握る手には、部屋の鍵がそっと包み込まれていた。


「また、会おう。私が信じた人」

更新更新。難しいです。学び舎へ行くぞ〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。