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その22:将来の卵

フェインの知らせもあり、この領には、外部と繋がる人が居る可能性がある。

領の存命を脅かす相手が居る、相手は魔物だけではない。

それだけでも、僕達も目立った行動が出来ない。


「この先、五引も来る可能性もある。こちらの行動が筒抜けだとな、、」


独り言を話しながら、治療室へと戻る道中、思い出したことがあった。


「そう言えば、シャンディさんの麻痺治療が終わったとて、僕達が必ず近くに居る訳でもないし、自己治癒の力も衰えてるかもしれないしな、、治療草で粉薬の準備もしておいた方が良いかな」


自己治癒の、基礎能力を上げる粉薬が存在する。僕が、以前飲んだ際は、効果までもが発散されてしまい、全くを持って意味をなさなかった。しかし、僕以外なら効果は絶大、シャンディさんの今後の為に準備しておこう。丁度、備蓄も切れていたはずだ。


「確か、、ここの棚の、、ここら辺に…」


治療室へと戻ると、治療層の名前を確認してみる。


「へレイ草、、これだ」


僕は、治療草の取り扱いをしている、ワインズ領へと向かう。

研究室で行く事を伝えると、ジェイルも着いてきてくれるとの事だ。


「私は、いつからこんなお人よしになってしまったんだろうね」

「すみません、僕の買い物に着いてきてもらってしまって、、」

「ううん、良いさ。弟子の買い物に着いていくのも、悪くないさ」


何だかんだ、結局優しいのがジェイルだった。多分、忙しくない限り誘ったら、絶対に来てくれる。


「それで?ヘレイ草を買いたいんでしょ?こっちだよ」


ワインズ領に詳しい、ジェイルが店まで案内してくれた。

記憶に、うっすらと残るワインズ領、僕は辺りを見回して、懐古する。


「ワインズ領とか、一度来た以来です。両親が、僕の腹部の傷痕を治そうと巡ったらしいんです」

「へぇ、ワインズ領は相当広いぞ。巡るだなんて、優しい両親だったんだな」

「自慢の両親です」


ジェイルと話す為に、後ろ歩きしながら歩いていると、僕は、人にぶつかってしまった。


「ッ、、!」


一人の女の子が、尻もちを付いてしまう。

僕はとっさに、手を出して女の子に謝り立ち上がらせようとすると、もう既に、ジェイルが女の子に話しかけていた。


「クライネ、ちゃんと前見て歩かないと危ないじゃないか。すまない、怪我は無い?」

「う、、うん、、痛かったけど、怪我は無いよ」

「すみません、僕が前を見て無かったばかりに、、」

「そこ、膝少し擦りむいてるじゃないか。ほら、治癒魔法をかけてあげるから」


ジェイルが、治癒魔法を詠唱し、女の子の治療に取り掛かる。

緑色の光に包まれ、女の子の膝の傷が塞がっていく。


「お姉さん、傷治るの早い、、凄いね、、」

「はは、こう見えて、中央領の魔術師だからね。どう?脚、痛みはない?」

「うん、もう大丈夫、元気だよ。ありがとう、お姉さん!」

「君の名前、聞いても良いかい?」

「私?メイルだよ。あそこのお店に住んでるの」


女の子が指を差した所には、カカチ堂と言うお店があった。

店の名前を見ると、ジェイルは驚く顔をしていた。


「これは驚いたな、私達が今から行こうとしていたお店じゃないか」

「え、お姉さん達、私のお店に来たかったの?」

「そうだよ、自己治癒基礎値を上げる、ヘレイ草が欲しくてね」

「ヘレイ草?ちょっとお父さんに聞いてみるね」


メイルは、そう言い残すとお店へ走って行った。

僕達も、一緒に着いていく、とても可愛らしかった。


「おとうさーーーーん!お客さんだよ!」


女の子が、店先から大きな声で呼ぶと、店の奥から一人の大柄な男性が出てくる


「お帰り、メイル。お客さんはどこだい?」

「お姉さん!!こっち!!」


手招きして、僕達を呼ぶ。手を振り返して、返事をする。


「って!ジェイルさん!わざわざ、トールからご足労ありがとうございます」

「え?お姉さんそんな凄い人なの?」

「この方はね、中央のトール領で魔法の研究をされている方だよ。ウィップを倒した話は、とても有名と言ったもんだ」


ジェイルの名は、相当知れ渡っており、一緒に魔法の研究が出来ている事を今更ながら、誇らしく思う。

巨大ウィップ討伐の事は、もう既に、領全体で語り継がれていて、大人では知らない人の方が少ないとの事だ。


「それで、今日は何もお求めで?」

「お父さん、私ねこのお姉さんに、怪我治してもらった」

「え!?それを早く言ってくれよ!!ジェイルさん、うちの子が世話になりました、治療費はどれ程、、」

「いやいや、私達が原因なんだ。寧ろ、謝るのは私の方だよ」


僕は、これはいけないと、前に出る。


「クライネ・トダンと言います。実は、僕の不注意で彼女にぶつかって、怪我をさせてしまい、本当にすみませんでした、、」

「私ね、大丈夫だよ。私も、前見ないで走ってたのが悪かったの」

「良いんだよぉ、このね、うちの子がね全部悪いんだ。私の方から、きつく言っておくからね」


僕の顔を、ジロッと睨むジェイル。僕が悪いとは言え、おぉ、恐ろしい。


「ははは!メイルも悪いって言ってるしお互い様って事だ!今後は、気を付けろよ?」


メイルの父親が、メイルの頭を撫でる。その光景は、少し羨ましさを感じた。


「ジェイルさん、ヘレイ草をお求めでしたよね。これですよ、これ」


奥から、透明なビンを持ってくる。その中には、紅葉のような赤い草が入っていた。


「おぉ、これ、これだよ!貴重な草だから、今日はこの領を歩き回る覚悟が出来てたから、ラッキーだったよ」

「お力になれて良かったですよぉ。また、何か必要でしたらお越しを、、いや、連絡頂ければ運びますので」

「いや、大丈夫だよ。欲しいものがあったら、直接見に行きたい人なんだ。歩きたいしね」


僕達は、必要な量のヘレイ草を買うと、戻る準備をする。


「店主さん、貴重なヘレイ草をありがとうございました」

「おぉ、そういえば、君はジェイルさんのお知り合いかい?」

「この子は、私の弟子さ。かなりの腕を持っててね」

「ジェイルさんの弟子!これは、将来有望だな。頑張ってくれよ!うちの子も魔術師志望みたいでな、もしかしたら将来どこかで、会うかもしれないな!」


この世界は狭い。本当にどこかで会えるかもしれない。この出会いも大切にしなきゃな。


「ジェイルお姉さーーーーーん!!!またねーーー!!!」

「あぁ!また会おうな!名前覚えてくれてありがとう!」


手を振るメイルと父親の、お見送りを受けながら僕達は、城へ帰路に着いた。

更新です。見て頂いてありがとうございます。

難しいです。どんどん話が広がっていくのでメモ用紙が凄い事になってます。

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