その19:治療不可
麻痺の治癒魔法を開発するべく、日夜、研究に励むジェイル。
「麻痺の解除魔法自体は、元よりあるけどシャンディの麻痺を解除するには、至らない、、か…」
シャンディの麻痺には、直接受けた物質による物と、魔法が混合された物だと判明したものの、その魔法を解除する方法が非常に難解だった。
「まるで、呪いだな、、」
外から、ドアを叩く音がした。
「居るぞ、開いてる。入ってきていい」
「お邪魔、、します、、」
「アリスか、何か用かい?」
「魔法の、、研究経過を、、知りたくて、、」
「進捗を聞きに来た訳だね、生憎、まだ時間がかかりそうだ」
どうにも、この魔法が解除出来る兆しが見えない。
「すぐに傷が治るのも考えものだね、傷跡が消えるからどう言う状況なのかも、推理しにくい」
「確か、、弓の攻撃、、だったよね、、」
「うん。物理攻撃と、その先端にかかる魔法によって、内部で麻痺が、留まってる状態みたいなの」
外にどう排出するかが、非常に厄介だった。
シャンディの生命に、影響がある訳では無いものの、解除しない限り、麻痺は解けない。
「普通に、、治癒魔法かけたらどうなるの、、?」
「ダメ。何度も試したけどまるで、魔法が弾かれてるみたい」
ジェイルは、魔本を何冊も持ってくる。置いたはずみで、積み上げた魔本が崩れ落ちる。
「わわ、、何これ、、」
「麻痺に関する、魔本。絶対何処かに、これを解除出来る方法が書かれた物が、存在するはず」
ジェイルは、崩れた魔本を直しながら呟く。
「私も、、手伝う、、人が居る方が、、何事も早い、、」
「ありがと。ハシゴ使っていいから、上の方はまだ見てないの」
「分かった、、見てみるね、、」
棚にハシゴをかけると、細い腕に力を入れ、ハシゴを登っていく。
「んしょ、、ひえ、、こう見ると、、高いね、、」
「そりゃそうでしょ。ここは、魔本が大量に集まる研究所。小さな棚じゃ、いくつあっても足りないよ」
「腕が、、届かない、、」
腕を精一杯伸ばすが、アリスの腕は、1番上まで届かない。
「一番上に、、乗れば、、届くかな、、」
「おい!危ないぞ!」
「あれっ、、、」
アリスは、一番上からバランスを崩し、下へを落ちていく。
「風よ!流れよ!おも行くままに!ウィムエアー!」
風が吹いたかと思うと、クッションの上に落ちたかの様に、ゆっくりと沈むと、床にへたり込む。
「怖かった、、ありがとう、、ジェイル、、」
「もう、ハシゴの一番上に、立つ人が居るか!」
半泣きで震えるアリスの頭を、優しくコツンと叩く。
「で、その魔本は何?」
「落ちた時に、、咄嗟に掴んだから、、良く分からない、、」
「ちょっと貸して」
魔本の題には、『不治癒魔法』と書かれていた。
「不治癒魔法、、もしかして」
ペラペラとページをめくると、麻痺の欄があった。
「これって、もしかして、、アリス!クライネを連れてきてくれ!」
「は、、はい、、!」
ドアを開けると、外へと飛び出していくアリス。
「遂に、尻尾を掴んでやった、、待ってて、シャンディ…!」
「で、僕は何で呼び出されたんですか」
「君は、魔力を、嫌、、魔法を吸い出す能力を持ってやしないかい!?」
呼び出され、急に頼み込まれる。
「知りませんよ!それに吸い出すってなんですか?」
「フィーゲルの重力魔法の影響を、受けてないような気がしてだね」
「重力魔法ですか?」
「多分、、クライン、、魔法を吸収して、、発散させてる、、だから、、影響受けてない、、」
確かに僕はあの時、フィーゲルを前にしても、身体を動かそうと思えば、動かせた。多少の動きずらさはあったが、魔法の影響だったとは。
「重力魔法によって、周囲の重力操作を行って、相手の動きを縛る、あいつ特有の魔法だよ。私達には、仕組みが分からない以上、扱う事が出来ない」
「だとして、それがどうだって言うんですか?」
「君のそれ。シャンディを救えるかもしれない」
ジェイルは、魔本を差し出す。
「不治癒魔法、、ですか?」
「その本の最後を、見て欲しいんだ」
「最後ですか?えぇっと、、」
『治癒せず、吸収せよ』
「これってどう言う、、」
「文字通りよ、吸い出せって事」
「ゆっくりと、、麻痺をもたらしてる、、魔法を吸収すれば、、シャンディ、、助かるかも、、」
自分に、シャンディを救える出番が来た。思ってもいなかった。助けられてるだけの僕が、人を守れる時が来たのだ。
「僕に出来るのなら、やらせて下さい!」
シャンディの居る、治療室へと移ると、ジェイルが手順を教えてくれる。
「一旦、この吸収が本当に起こるのか確認したい」
「僕は、どうすれば?」
「ここ、胸辺りに手をかざして、ピリつく箇所無い?」
僕は、シャンディの身体に手をかざす、右胸辺りでその感覚がした。
「ここ、ここから感じます、、!」
「手に魔力を溜める感覚で、吸収出来るはず、、」
「こう、ですか、、?」
構えると、僕の傷跡が発光し出す。
「本当に、、発散、 、してる、、」
「成功だ!」
ジェイル曰く、間隔的に吸い出していけば、数日もあれば治るとの事だった。
「お手柄だよ。アリス、ありがとう」
「いえ、、私は、、何も、、」
「僕からも、ありがとうございます。お陰で、シャンディを救えそうです」
キーアの領にまた、光が差し込んできた。
更新です。もう少しばかり小説にお付き合い下さい
難しいです。




