その17:五引ペルゲンガー②
ペルゲンガーの揺らぎが、無数に迫る中、僕は、ひたすらに耐え続けていた。
「どうにか、、どうにかして打開しないと…」
障壁にヒビが入りだした。このままでは、耐えて2,3発くらいだろうか。
「君達、もう終わり!これでぇ、はい!パリーン!」
「私が!次は皆を!」
フェインが、入れ替わるように障壁を張る、しかし、このままでは、一方的に押し込まれるばかりだ。
「クライネ君!この障壁が耐える間、何とか突破口を…!」
「分かってる、、分かってます!ただ、あいつがどう言うカラクリで、偽の揺らぎを作ってるか分からないんです!」
万事休すか、すると、奥から大きな声が聞こえた。
「クライネ君、、!私が、、情報を、、掴む、、!」
高速で動くペルゲンガーを、目で追おうとする。
ただ、集中する為にアリスは、その場で棒立ちだった。
「アリスさん!ダメです!障壁の外に居るんです!」
「ははぁ!そんな棒立ちのまま、攻撃してくれって言ってるようなものじゃないか!」
アリスに、ペルゲンガーの、鋭い拳が入る。砂埃が、二人を覆いどうなったか確認出来ない。
「アリスさん!アリスさん!」
僕が、必死にアリスの名前を呼びかける。
砂埃が落ち着ち、二人の様子があらわになった。
「ペルゲンガー、、そういう事、、だったんだね、、」
「げぇっ!何で受け止めてるの!?」
「賭けだったよ、、ただ、、これで確信出来た、、」
そこには、ペルゲンガーの拳を挟み、受け止めるアリスの姿があった。
「アリスから離れろぉ!」
「おぉっとぉ!」
フロストティが剣を振り下ろすが、ペルゲンガーが引き、攻撃を交わす。
「ちっ、外した。ごめん」
「いえ、お陰で、ペルゲンガーを、アリスさんから引き剥がせました」
「アリス!大丈夫!?今治癒してあげるから!」
アリスは、僕に耳打ちしてくる。
「あいつ、、自分の拳の風圧で、、砂を舞いあげてる、、」
「自分でですか?」
「うん、、だから、 、ほら、、」
アリスは、近くにあった砂を拾い上げる。
「実体は、、動くと、、重い石までも巻き込む、、でも、、偽の揺らぎは、、軽い砂だけを飛ばすから、、石がその場に残ってる、、」
「そんな事が、、それを一瞬で見分けたんですか…?」
アリスが、打開策を見つけてくれた。再びアリスが指揮を取り、ペルゲンガーの動きを、指示して対応する事になる。
「ねぇ、そろそろ良いかな?僕飽きてきたよぉ」
「うん。来なよペルゲンガー、、!」
ペルゲンガーが踏み込む姿勢を取る。
「ウィンドトリック!!!」
再び風を起こし、砂埃を巻き上げる。
「無駄だよぉ!また、揺らぎを起こせば、君達は何も出来ないぃ!」
「フロストティさん、、そっち行きました、、!回る様に、、剣を振って下さい、、!」
「分かった!うわぁぁぁああ!!」
大きく、円を描くように、剣を振り回す。すると、剣がペルゲンガーに見事に命中した。
「がっ!痛いねぇ、でももっともっと、揺らぎを作れば!」
「もう、、無駄な抵抗は、、しない方が、、良い!」
アリスが、肩幅に脚を開くと、地面に目をこらす。
軽い砂だけが、無数に舞い上がる中、アリスに続く一直線の石が、動き出した。
「そこ、、だぁぁぁぁぁ!!」
「ギエェェェアァァァァ!!」
一閃、アリスの拳が、的確にペルゲンガーの顔を捉える。とんでもない勢いで吹き飛ぶペルゲンガーの顔の一部が、黒く欠け、よろよろとよろめく。
「クライネ、、!トドメを、、!」
アリスが、僕にトドメを刺すよう、命を下す。
それに呼応する様に、僕はゆっくりと腕を前に構える。
「硝煙の立ち込める戦場、我が手中に勝利の狼煙を上げろ!!!!インフェルノイレース!!!!」
僕の、全力の火球だった。傷跡が強く光る。
近くの岩よりも大きい火球が、手の中に形成される。
後は、撃ち出すだけ、その時だった。ペルゲンガーが岩の上へ跳躍する。
「はは!ははははははは!!お前、これ、見えないの?」
ペルゲンガーが、持ち上げたのはシャンディだった。
「シャンディさん!!!」
僕は、詠唱を中断する。流石にシャンディまで巻き込めない。
「まさか、盾に使う事になるとは思わなかったけどさ!君、そのまま撃ち込んだら、この子ただじゃすまないよぉ!!」
「ペルゲンガー、てめぇ…!」
フロストティも、シャンディを人質に取られている以上、迂闊に動けない。
「良かったよぉ!予めあいつから、シャンディを受け取っておいてぇ!」
「お前が、シャンディを攫ったのか?」
「んーん?僕はただ、ここに居ただけ。ここに居るだけで、勝手にシャンディが、来ただけだよぉ!」
ペルゲンガーが、攫った訳ではないだと?
なら、一体どうやってシャンディは、行方をくらましたと言うのだ。
「言いたいのは、、、それだけ、、か、、!!」
「えっ」
ペルゲンガーの背後に居たのは、アリスだった。
あの、小さくて可愛いアリスが、鬼の形相で見つめていた。
「ひぃ!ちょっと見えないの人質の事ぉ!!変な事したら、命は無いよぉ!」
「見える、、でも、この距離なら、、関係無い、、!」
アリスが、拳を握りペルゲンガーに、振り下ろそうとした、その時だった。
「いやぁ!お見事!実に素晴らしい洞察力と、連携だった!まさか、幻影魔術の対抗の術を、知ってるとは!」
拍手しながら、こちらに向かってくる男性。
その姿を見た途端、僕以外が震え出す。
「続けろ。もうそいつに用は無い」
男はそう言い残すと、その場に座り込む。
謎の男の登場に、攻撃を躊躇っているのか。アリスは、振り上げた拳を、震わせながら段々と下げていく。
「もう良い、遅い」
男が腕を振り上げる。
「あっ」
ペルゲンガーが、上から押しつぶされるように消えていた。何があったのか、理解出来ない。
「あぁ、そうか!すまんすまん。動けないんじゃなくて、動きたいけど動けないのか。これは失礼した」
「、、、!!はぁ、、はぁ、、」
フェインらが息切れしている、、?すると、僕の腹部の傷痕がぼんやりと光っていた。まるで何かに、反応するかのように。
「、、そこの者。名を名乗れ」
謎の男が、僕の事を指を指す。
「クライネ・トダン、と言います」
「トダン、、ふむ、聞いた事の無い家系だ」
「貴方は?」
「我か、我こそは、五引の頂点にして、五引創設の主フィーゲル」
そこに居たのは、五引の第一位だったのだ。
「今回は、その連携に免じて、この場は引こうじゃないか。また、強くなった姿、見せてくれよ面白い者よ」
急に視界が、まぶたが閉じたかと思うと気付けば、さっきまで戦いの場だったとは思えない程、静寂に包み込まれていた。
「はっ。シャンディ、シャンディさんは!!」
「心配しなくていい、ほら」
目を覚ますと、近くにはジェイルとフロストティが座っていた。シャンディは、岩の上でアリスが、膝枕をして眠っていた。フェインも、一緒に居た。
「シャンディ、、まだ、、覚めないみたい、、」
「でも、傷は浅い様ね。本当に良かったわ」
安堵した僕は、その言葉を聞けた安心からか、疲れからか。再び、眠りについたのだった。
更新。ありがとうございます。
情報量増えてきて、ずっと難しいです。




