↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
17/33

その16:五引ペルゲンガー①

中央部より、領近辺に五引が出現した知らせを聞き、その場へ向かう。


「遂に、この日が来ましたね…」

「うん、指揮はアリスがしてくれるからね、だからいつも通りの君で良い」


この日の為に、身体を治してくれたフェイン。かなり辛い状態だと思う。それでも、彼女は着いてきてくれた。


「私の、、指揮で、、ご迷惑おかけするかもしれませんが、、全力で皆さんを導きますので、、」


アリスの指揮は、正直ちょっと不安だった。普段から声は小さいし、何なら聞き取れない時すらある。

でも、今はやるしかない。信用するしかない。


僕達は、領から出発し三時間程歩いた。すると、お出ましだ。奴だ。


「あーー、遅かったじゃん。聞いてた話だと、もう少し早かったんだけどなぁ」

「ペルゲンガー、、!」


フロストティが、剣を抜き戦闘に備える。それに続く様に、僕達はそれぞれの武器を構える。


「ちょっと待ってよ。少しお話しない?僕は、五引第五位ペルゲンガーさ」


とても中性的な見た目で、青い短い髪をした人型の魔物、来てる服はボロボロ。

そいつは、私達に聞きたい事があると言う。


「いやぁ、僕知ってるよぉ?キーアってやつ、僕の手下にやられたみたいじゃないか」

「お前、なんでキーアの事知ってるんだ…」

「ぜーーんぶ、全部知ってるんだよ?当り前じゃないか」


そう言えば、進軍が遅れた情報を耳にしていた。しまった、よく考えたら分かる事じゃないか、殲滅したのになんで、こっちの情報が洩れてるかだなんて。


「そ・れ・に、君達のだーいすきな、シャンディ兵長行方眩ましたんだって?」

「こっちの事、、見透かされてる、、みたいですね、、」


あまりにも、情報が筒抜け過ぎる、どうして知ってるんだ。昨日の出来事だぞ?

それをなんで、知っているのだろうか。


「まぁ、良いや。そっちから僕に聞きたい事は無いのぉ?」


岩に座りながら、足をパタパタとするペルゲンガー。


「キーアの事、知ってるんだよね」


フェインが、口を開く。続けて、ペルゲンガーに問いかける。


「あいつ、私の陣営の仲間なんだ、それでさペルゲンガー、君明らかに、こっちの動向知ってたよね」

「あぁ、もちろん。君達とっても楽しそうに、川で戯れていたみたいじゃないか」

「それで、その情報の出処はどこなの」

「それはねぇ、、今は、言えないかなぁ。僕もね、君達の気持ちを弄びたいからさ、言いたいのは山々なんだけどねぇ…」

「それは、誰かに指示されている感じ?それとも、別の意味があるの?」

「どっちも。僕は、楽しい方かつ、勝てる方にしか仲間にならない」

「へぇ、魔物相手なら仲間にならなくて結構、ただ、指示役が居る事は分かったわ」


ペルゲンガーは、岩に立つと、空中で前転しながら飛び降りる。


「なら、そろそろかな。僕もあまり戦闘はしたくないけど、仕方ない事情もあるんだぁ。許してねぇ」

「皆さん、、来ます、、、」


ゆらゆらと、身体を揺らしペルゲンガーが、構えを取る。魔力の膜を、はっきりと感じた。

ただものではない、五引だから当然の事ではあるが、対峙するだけで自分の魔力に反応して、ぴりぴりとする。


「来なよ、一発サービス。受けてあげるよぉ」


ペルゲンガーは、ほくそ笑んでいた。元からそのつもりだったようだ。


「どうしたの?来ないの?えぇ?何、動けない?怖い?嫌だなぁ、何もしないってぇ」


飛び込んだのは、アリスだった。


「舐めるのもいい加減にして下さい、、、」

「あれぇ?」


ペグゲンガーが、下に目線を降ろすと、腹部をアリスの拳が、突き刺さっていた。


「おぉぉ、、やるねぇ。でも、僕はそれじゃぁ倒せない、瀕死になんてならないよ?」

「えっ、、」


確かに、ペルゲンガーの腹は、背中側に貫通する勢いで押しつぶされていた。とてつもない速度で踏み込み、ペルゲンガーの元まで飛び込んでいた。それくらいの威力を受けたのにも関わらず、ダメージを感じていない様に見える。


「ほら、拳。抜いてよ。あんまり人の身体触り続けるのも、ダメなんじゃない?」

ペルゲンガーは、アリスの腕を掴むと、そのままゆっくりと引き抜く。


「、、」


アリスは、後ろへと下がり構えを取り直す。


「うーーん、もしかしたら君達倒すの、十分もいらないかもしれないや」

笑顔を浮かべながら、背伸びを始める始末。


「じゃ、今度は僕の番ね」


ザザザァァァァァァッァアッァアアア!!!!!!!

そう話したかと思うと、急にアリスが後ろに、滑る様に弾かれていた。


「えっ、、!?」

目の前の光景に、四人はただアリスを眺める事しか出来ない。


「皆さん、、前を見て下さい、、あいつ、、二人居ます、、」

「クライネ!幻影魔術覚えているか!ファントムシェードだ!」


あの日、ジェイルが教えてくれた魔術、分身術だった。


「足元、足元をよく見て、、」


僕は、ジェイルからファントムシェードの弱点を、教えてくれていた。

確か、あの時。



「ジェイルさん、、その幻影魔術ちょっと卑怯じゃないですか、、」

「いやいや、卑怯でも何でもないぞ、魔術と言うのはな発明されては、それに対抗する為の対抗術が発明される。絶対に魔法には、欠点、欠陥がある。例え、それがこの世で一番最強の魔術だ、と言われててもね。」

「て言っても、攻撃するまで実体か分からない物を相手にするって、、どうしようも、、」

「何も、攻撃しなくちゃいけない、だなんて言ってないじゃないか。脚だよ」

「脚ですか?」


ジェイルは、僕に同じように火球を放てと言う。ただ、撃つ瞬間脚を見ろ、と。



(脚、、脚をよく見る、、)


ペルゲンガーが、脚に力を込める。その瞬間、踏み込む脚から、砂埃が出ていない事を確認した。


「あぁ、春の詩よ、旋風よ吹き抜けろ!ウィンドトリック!!!!」


反射的に、手を下に降ろし僕は、風を呼び起こす。

周りの砂を巻き込み、視界が悪くなる。


「おい!!クライネ!!何してるんだ!!何も見えないじゃないか!」

咳込みながら、フロストティが僕を咎めた。


「いや、、ありがとう、、良く見える、、」


アリスが、腕を振りぬくと、砂埃がペルゲンガーの吹き飛ぶ形をして晴れていた。


「おごっっっ!!!!!なんで、、」


砂埃が消えると、そこには、ダメージを受けて、膝に手をついたペルゲンガーが居た。


「えぇ、僕の幻影術が、見破られるまでは想定だったんだけどなぁ。まさか、当ててくるとは思わないじゃないか。実体に。」

「もう無駄です。ペルゲンガー、僕は、貴方の幻影術を見破る方法を知っている」


幻影術は、主に武闘系の人が扱う魔術。最強と言われる所以として、幻影にダメージを受けた所で、何も影響がない事。そして、武術の人特有の、強い踏み込みが合わさる事で成立する技だった。

知らない所からのダメージは、恐怖に変わる。一度、恐れるとまともに視認するなど不可能。


「たまたまだろう!今度こそ、、」


そう言うと、ペルゲンガーがもう一度、同じ技を繰り出してきた。

視界から消えたかと思うと、こちらにまっすぐと、突っ込んでくる幻影が居た。


「もう、同じ手は通用しません!ウィンドトリック!」


僕は、先程と同様、風で砂埃を起こす。


「フロストティ、、!剣を、、私の方に向けて、振りぬいて下さい、、!」

「えっ!あ、はい!」


フロストティの、渾身の振り抜き。それは、ペルゲンガーの身体を的確に命中する。


「なんで!!なんで!!」

何度やっても同じだった。攻撃を仕掛けては、跳ね返されカウンターを受ける。

ペルゲンガーの身体は、ボロボロになる。


「君達、何で実体が見えるんだよぉ!何してるんだよ!」

「簡単な事だよ、実体は、砂埃を揺らすのさ」

「ジェイル、、お前だね。クライネに、入れ知恵したのは」

「ははっ、正解」


実体が、踏み込み僕達に近寄るとそれは、砂埃をまとってこちらに突撃してくる。

僕達は、それにカウンターすれば良いだけ。それが幻影術の弱点。


「へぇ、幻影は実体が無いから、砂埃が揺れないってだけの事かぁ」

「そう、だから何回やっても無駄、、」


砂埃が動く、実体だ。


「仕組みが分かれば、私も見えるぞ!はぁぁ!!!!」

フロストティが、剣を振りぬくも、それは、空を振りぬいていた。


「えっ、、?」


突如として、二つ目の揺らぎを確認する、しかしもう既にそれは、ジェイルの懐に届いていた。


「はい、残念だねぇ」


ジェイルは、強烈な突きを喰らい、その場に倒れ込む。


「かはっ、、、はっ……」

「ジェイル、、!皆、、私の所に来て、、クライネ、、障壁を、、」

「無駄、遅い遅い」


どう言う事か、二つの揺らぎを発生させる。


「二回目の、、揺らぎに、、合わせて、、!」

「ざんねーーーん!!!一回目!!!」

「はっ、、?」


訳が分からないまま、アリスにまで拳が届く。


「がっ!!!うぅぅ、、」

ギリギリ、アリスの腕が防御に間に合うが、腕と一緒に腹部へ押し込まれる。

倒れ、その痛みによりもがいている。


(まずい、、仕組みが分からない以上どうする事も出来ない、、!!)


僕は、これ以上の被害を抑える為、フェインの腕を掴みフロストティの元に駆け寄り、障壁を展開する。

同時に、距離は遠いが無いよりはマシだ。


「フェインさん、、!アリスさんに向けて治癒魔法を、、!僕はジェイルさんに、、!」

「クライネ君!どうなってるのこれ、、!」

「すみません!今は僕も理解していません、、どうやって、、どうやって、、!」

「無駄!!!君達さぁ!!ほんっっと何を僕に与えてくれてるのさ!!」


障壁も限界がある、揺らぎを見ながら、障壁の外のペルゲンガーの行動を見るが、トリックを見破る事が出来ない。攻撃を受ける度に、障壁が崩れていくのを感じる。どんどん揺らぎは増えていく、でも、攻撃のタイミングは不規則だった。


(僕は、また守れないんでしょうか、、)


揺れる障壁の中、僕は、ペルゲンガーの一方的な攻撃を耐える事しか出来ないのだった。

ペルゲンガー戦開幕です。

難しいですね。本当に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。