その15:結束
領内から、シャンディが失踪した。
僕は、急いでジェイルと、彼女の家へと向かう。そこには、鍵の開いた扉と、鎧が無くなっていた。
「鎧が無いと言う事は、、戦闘を前提に外に出て行った」
「そうだね、問題はこの手紙の差出人だよ」
手紙には名前も、手掛かりになる様な物は無く、どこから来たのかも不明だった。
シャンディを助け出したいものの、何も手が無い。
「今も、城の捜索隊が近辺を探している。私達も一緒に探そう」
「はい!」
しかし、僕は同時に困った事があった。それは、五引の討伐だった。
シャンディが居なくなった今、私達の戦力は、圧倒的にそがれていた。
僕の魔法の腕が上がっていたとしても、五引には、到底及ばない。
(でも、今は少ない可能性に賭けても、探し出す必要がある…!)
猶予は今日合わせて、二日しかない。何でも良い、手がかりが欲しかった。
僕は、ふと思いつくと治療室へと走る。
治療室の扉を開けると、そこにフェインの姿は無かった。彼女も、シャンディの事を捜索しているのだろうか。
「シャンディさん、どこ行っちゃったんだよ…」
僕は、あらゆる可能性を模索しながら、ジェイルの元に戻ると、そこには、二人の女性が居た。
「おかえり、クライネ」
「フロストティさん、、!と、そこの方は…?」
残りの一人、見かけた事のない人が居た。
「あぁ、この方はね、アリス陣営の陣営長こと、アリスだ」
「あ、、こんにちは、、アリス、と言います。普段は、武闘を主に扱って戦っています……」
この見た目でか?身体は華奢で、身長に関しては、平均的な僕の身長より少し高いくらい。
こんな子が、前衛でしかも、格闘を得意としてる?そんな馬鹿な。
「あっ、信じて無い顔してるね。まぁ、良いさ。最初は、皆してそう言ってるからね」
かく言う、フロストティも最初は驚いたらしい。
「今は、そんなこと言ってる場合じゃないぞ。私達は、早急にシャンディを探し出す必要がある」
「それで、、なんですけど、私少し気になる事を、知ってて……」
アリスが共有する情報に、僕達は驚愕した。なんと、領外へ出ていくシャンディの姿を、誰一人として見ていないのだ。
「え、でも私、、領外に出ていく姿を見たって…」
僕も、ジェイルから聞いた話では、シャンディが領外に出て行った姿を見た、と言った証言があったと聞いている。矛盾していた。
「お互いの、情報が矛盾してますね、、お二人の情報の出処はどこですか?」
「私は、、その、、ワインズ領の方々が流してきたと、、中央部の情報室から……」
「こっちは、フィレアス領伝いの情報を、中央部から流してもらったよ」
二人の情報の出処が違っていた、と言う事はしかも、更新時間帯はほぼ同じときた。
だったら、どちらかの情報が間違えている可能性がある。
(あの手紙の内容で、何で領外へ行こうとしていたんだ…?)
少し、突っかかる所はあるが、領外へ出てしまっては捜索が難しい。
夜通し、シャンディの捜索は続いた。だが、懸命の捜索も虚しく、朝まで彼女が見つかる事は無かった。
「シャンディさんまで居なくなってしまったら、僕、、どうすれば良いんですか…」
朝焼けの中、二人に僕は弱音を吐いていた。
「クライネ、、私の力及ばずで本当にごめん…」
「いえ、ジェイルさんは何も悪くないです。ただ、僕を救ってくれた一人が居なくなってしまった、そんな今が受け入れられないんです」
門の入り口まで、戻ってきた。朝まで捜索に付き合ってくれた三人には、申し訳なさでいっぱいだった。
すると、正面から一台の馬車がやってくる。
「あっ!グェーニェさん!」
「クライネ!!!シャンディの事探してるんだろ!?」
グェーニェの耳にも、シャンディの事は入っていたらしく、馬車でこれから捜索に向かうとの事だった。
「僕達は、これから領内の方を捜索する事になっているので、グェーニェさん、領外は任せました…」
「早く見つかる様に、俺も頑張るからよ!元気出せ!」
そう言い残すと、グェーニェは馬を叩き領外へと消えて行った。
「荷台もあったし、私達も付いていった方が良かったかな、、」
フロストティが、着いていこうとするが明日の事もある、作戦を決める為にも領内に残ってもらった。
「五引どうしようか、、」
中央部に戻った私達は、明日に迫る五引との戦闘に向けての、作戦会議を行っていた。
正直、全く思考すら回らないし、やる気すら出ないがこの領地を失ってしまっては、シャンディの帰る場所が無くなる。それは、違う。シャンディも望んでいない。
「それで、私から頼みなんだけど、アリス、領内の防衛が大変なのも重々理解している、その上で私達の力になってくれないか?」
「逆に、、私なんかで、、役が勤まりますか…?」
「あぁ、問題ない寧ろ、私達はアリスを必要としている。このままぶつかれば苦戦必須だと思う」
「、、、フロストティさんの、、頼みなら、、、仕方ないですけど、、陣営の皆に、、話してきます…」
フロストティの真剣なお願いにより、アリスは首を縦に振ってくれた。
「遂に明日なんですね、、」
「そうだね、君との魔術研究の成果を見せよう。そして、五引を倒したらすぐ、シャンディの事も救い出そうじゃないか」
「ありがとうございます、、本当に僕、ジェイルさんにはどうお礼をしたら良いのか分からない程です」
「良いんだ、君は何事もまるで大人びた様な、推理や作戦、提案を口にするが、君はまだ子供なんだ。まだ、私達に頼っていい時なんだよ」
「そうそう、クライネ君の話は、確かに凄いよ。でも、ジェイルの言う通り頼るべきなんだよ」
二人も辛いはずだ。長年、陣営で一緒にいたキーアを亡くしたと言うのに、同じ仲間であるシャンディが失踪したと言うのに、僕を気遣ってくれている。そんな二人を、これ以上縛る訳にはいかない。
過去の私なら、自分の意見を信じる事は出来なかった、それで後悔して来た。
(でも、もう違うんだ。僕は、死線を幾度と無く潜り抜けてきた。その中で仲間に会って、信用してくれる人が出来て、そして、自分を知りたい理由を傷が与えてくれた。今こそ、その恩返しをしなくてはならないんだ、、!)
「ありがとうございます、、!お二人は本当に頼りにしています。だからこそ、絶対に成功させましょう、そしてシャンディさんを助け出すんです!」
「良く言った、それでこそ私の魔法弟子だ」
「弟子、、?ですか」
ジェイルが、僕の事を認めてくれた。あの、弟子を取らないと言ってたジェイルが。
「多分、シャンディもここに居たら、認めろと言ってくる頃合いだろうね。仕方なくだからな」
「と言う事は、お師匠、、って呼んで大丈夫なんですね!」
「何か、むず痒いから止めてくれ」
「自分から言っておいて、何言ってるのよ」
深い絶望の中、一瞬だけ笑顔が広がった。
「戻ってきた、、陣営の人、、大丈夫だって、、行って来いって…」
アリスからも承諾がおり、これで正式なメンバーとなった。
「フェインさんは、、どうなるんでしょう……」
すると、フロストティが嬉しそうに話した。
「フェインは、身体も大分落ち着いたみたいで、五引討伐には同行すると知らせを受けているぞ」
「本当ですか!」
「そうだ、五引討伐は五人で行う、皆さん頑張りましょう、領の為にもシャンディの為にも…!」
即席ではあるが、心強いアリスを迎え入れ、僕達は、五引討伐の当日を迎えるのであった。
今日も書き上げたのですが、難しいです。多分一生難しいです。




