↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/33

その9:隠密と謀略

静かな馬車の中、切り出したのはフェインだった。


「そのさ、もし、もし、良かったらなんだけど。ここの近くに小さな地脈があって、水場があるの。」


水浴びの提案だった。昨日は野宿をしていて、水すら浴びる事も出ていなかった。


「賛成!私、行きたかったんだよねぇ、ほら、この空気も流せるかもしれないし、、」


フロストティも、フェインの考えに賛同した。

そうとなれば、行くに決まってる。僕達は、高地の小さな地脈へと寄り道する事にした。


「おぉ、坊。クライネとか言ったな。お前は、俺と入るぞ。残念だったな!男が居なきゃな!」


キーアが僕に、考えてる事を見透かされている様に、喋りかけてくる。余計な事を。


「えぇ、クライネ君、まだ七歳なんでしょぉ?良くない?」


フェインから、神の一声が飛んできた。いけ、フェイン!このまま押し切れ!

僕だって、男の子だからな!そう言うイベントが一つくらいあっても、罰当たらないんじゃないか。


「いーや、ダメだ!ほら!ちょっとこっち来い!」


馬車の、運転席の横に座らせるようにキーアが、促してくる。

気が進まないが、ご要望通り、横へと座ると耳打ちして来た。


「あのな、川って言ってもな、地脈自体小さいから、小さな溜め池みたいなもんだ」

「そ、それって、、」

「あぁ、いくら、場所を区切ってたとしても、そう言う事だな」


ひゅぅ、やるぅ。不純な男が二人ここに居ます。


「おい、何話してるんだ。面白そうだな、混ぜてくれよ私も」


軽い鉄槌が、キーアの頭めがけて振り下ろされた、ゴッっと鈍い音が鳴る。

手綱を離す訳にもいかないので、その場で身体を前後に揺らして、悶絶するキーア。


「おい、何か考えてたら、ただじゃおかないからな。子供も例外無くな」

「はっ、はいぃ、、」


僕までシャンディから、釘まで刺されてしまった。ズカズカと、座ってた場所へと戻っていく。

フェインに関しては、何も分かっていないような顔で、三人の顔をキョロキョロして覗き込んでいた。



「見えてきたぞ、地脈だ。明後日は到着だからな、ここらで全て洗い流せよ」


僕達は、水場へと着いた、各々が水浴びの準備へと移る。

かくいう僕達は、作戦会議だ。諦める訳がない。


「あいつら、気配を探るプロだからな。気は抜くなよ」

「はい!先生!」


敬礼して、教えの人に最大の敬意を払う。先生は一つの作戦を教えてくれた。


「この川はな、若干途中から、段にズレててな。そのズレる所に狙ったように低い木々が生い茂ってんだ」

「と言う事は!低い方から見れば、向こうからは木々で見えなくて、こちらは一方的に、、!」

「正解。流石は、シャンディ見込みの子だな!」


何と最低な授業だ、両親にこの状況どう説明しようか。いや、しかし私も冒険をする以上立派な一人前、階段はいつか昇らないといけない物だからな!うん!仕方ない!しかも主導はキーアだ、僕は何も知らない!そう!知らない!


「早速、向かうとするか」

「了解です!」


一旦、皆と合流して、男女で入る場所を分けようと言う提案をキーアが促す。

それに、反対する人は一人もおらず、すんなりとその提案は通過した。

フェインだけ何だか、悲しそうな目をしていたが、これフェインを言いくるめた方が早かった気もする。


「じゃ!また、後でな!」

僕は、キーアと一緒に作戦通り下の水場へと向かう。順調だ。


「んでな、ここから、この角度で見ると丁度幹の高さが良い感じになって、、」


見えた。まだ、向こうはお喋りを楽しんでいるようだった。鎧すら着たままだ。


「もう少し、時間がかかりそうですね、、」

「そうだなぁ、先にちゃちゃっと水浴びしておくか」


ゆっくりと堪能する為に、水浴びだけ先に済ませる事にした。


「ひえぇ、冷たいです!!冷たいです!!」

「ほれ!水撃!水撃!」


一体全体、男同士で何してんだ。水なんか掛け合ってさ。でもちゃんとした水源で身体を洗えるのはありがたかった。お互いに頭が冷えたのだろうか、急に冷静になる。


「おい、良い頃合いじゃねぇのかぁ。流石に、もう皆始めてる頃だろうよ」

「ですね、行きますか、、!」


心を躍らせ、例の定位置へと向かう。すると、何だかさっきより視界が狭かったと言うか、そもそも向こう側が見えない。おかしい、さっきはこの角度でバッチリと、上の水源を覗けたと言うのに。


「おっかしいなぁ、、何でだ、、?」


キーアが色々と角度を変えると、ある事に気付く。


「おい、終わった。隙間に鎧が置かれてて、防がれてるんだよ!」

「ん?待って下さい、鎧脱ぐなら、さっき話してた場所で脱げますよね。わざわざここに置く必要って、、」


理解してしまった。お互いの顔の血の気が引いていくのを、見つめあっていた。

案の定、来てしまった。魔物よりも怖い存在が。


「よぉ、何か楽しそうな事は話してんだな!聞かせてくれよ、なぁ、、」


気配なんてものなかった、気付けばあるのは、殺気だけ。

獲物を狩る目をするシャンディが立っていたのだ。


ほのかに薄暗い、水源に二つの悲鳴がこだました。



「「すびませんでした」」


僕には、頭に全力の直下鉄槌を、キーアはちょっと、原型が、、おぉ、おぞましい。思い出したくもない。二人で、仲良く正座して横に並ばされる。


「俺が悪い、クラインをそそのかしまじた」

漢キーア、僕をかばってくれた。フェイン、フロストティ、ジェイルが冷たい目でキーアを見ていた。


「はぁ、ダメですよ。こういう大人になってしまっては」

フェインが、キーアを指さし説いてくれた。


フロストティは鞘で、ジェイルは杖で物理的に一撃キーアにお見舞いしていた。

全てを引き受けてくれた、キーアには足を向けて寝れないな。



反省をして僕達は、川のほとりで野宿する事にした。馬車の中で座っていると、キーアが隣に座ってきた。


「ほら、要るか。温かいジンジャースープだ。水浴びして身体が冷えただろう」

「あっ、ありがとうございます」

僕は、遠慮なくスープを受け取る。


「いやぁ、失敗しちゃったなぁ。まさか、あの段差の事知ってるとか思ってすらいなかったよ」

僕に笑いかけてくれるキーア。気にすんな、と言った所だろうか。


「ほら、頭見せてみろ、シャンディの奴子供相手でも容赦ないからな」

頭に、ヒールをかけてくれる、時間をかけてゆっくりと痛みを和らげてくれる。

その間も、お腹の傷痕が光る。


「噂には聞いてたけどよ、本当にその傷、光るんだな。巡回兵のじっちゃんから聞いてたんだ、そういうやつがいるって」

「、、!その巡回兵の名前って分かります!?」

「グェーニェってやつだよ。そいつと仲良いんだよ。よく飲み行くしな」


巡回兵のグェーニェ、久しく名前を聞いていなかったから忘れかけていた。

どうやら、キーアとは親交があるらしく、情報を流してもらったりと良くしてもらってるそうだった。


「僕、知ってます!良く話しかけてくれる人でした」

「あぁ、そうだよな、フィレアス領の巡回兵だもんなグェーニェ」

「元気にしてそうで良かったですよ、、」


まさかの繋がりを知った所で、僕達は寝る事にした。明後日には、魔物の前陣と鉢合う予定だ。

一層、気を引き締めなければならない。




「ん。何だ、、」

僕は、激しい物音を聞き目が覚めた。テントから、馬車から、皆が起きてきた。


起きて、監視を続けていたシャンディが、皆の元に駆け寄り、思いもしない言葉を発する。


「前陣が、、もう、すぐそこまで来ている、、!」

話としては、10話目です。ずっと難しい気がしてます。

もう決まってはいるのですが、ここから話を暗い方向にもっていくか、良い方向にもっていくか、、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。