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【完結】冥府魔道  作者: ikhisa
魔道(終端)
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東部戦線-1

 レギウスが軍を展開して、マレフィクスの軍と睨みあっている。戦線が均衡しており、いつ崩れてもおかしくないが、今のところ戦闘は発生していない。

 レギウス自身はドラゴンになれるわけでもなければ、それほど統率力があるわけでもない。だが、その分、用兵において、やることが手堅い。大きく勝ちはしないが、大きく負けることもない。ドラゴン族はその逆で、弾みがつくと止まらないが、一度止まるとグダグダになる。なので今の状況は、レギウスの隙を突こうとするマレフィクス、という状態だ。

 そのレギウスの元に、ザルツと本拠地からの応援が到着した。ザルツの元にレギウスが駆け寄ってくる。レギウスがザルツを歓迎しながら言う。

「ザルツ!よく来てくれた!」

 そんなレギウスに、ザルツが言う。

「お久しぶりです、レギウス。暫く見ないうちに、更に老けた上に、やつれましたね」

 それを聞いたレギウスが、笑って言い返す。

「お前は、いつもそうだよな!」


 応援に来たゴーレムと兵士、そして補給を確認したレギウスが、喜んで言う。

「助かった。消耗が続いてギリギリだったんだ。これでもうひと踏ん張り出来る!」

 喜んでいるレギウスに、ザルツが尋ねる。

「それで、今はどのような状況なのでしょうか?」

 レギウスが答える。

「見ての通り、戦線が膠着している。こちらが構築した陣地に、向こうが攻撃を仕掛けようと踏み込み、こちらが迎撃の構えを見せると引く。これの繰り返しだな」

 ザルツは戦術に明るいわけではない。なのでそこについては何も言わない。それ以外の気になることを聞く。

「マレフィクスはどの辺りに居るのでしょうか?」

 レギウスが答える。

「アイツは、最奥に陣取っている。時々魔法弾をぶち込んでくるが、単発だな。最前線まで来ることはあまりない」

 ザルツが質問をする。

「マレフィクスを引きずり出すことは出来ませんか?」

 レギウスが悩みながら答える。

「マレフィクスを前線、ね。古くからのドラゴン族は面子と決闘を重んじるというから、決闘を仕掛けるとか、かな?乗って来るのかは分からんが……」

 とは言ったものの、マレフィクスは強力なドラゴンだ。レギウスの陣営に、あのドラゴンと一対一でやり合える猛者は居ない。

 それを聞いたザルツは、抑揚なく言う。

「だったら、私が出ればそれで大丈夫そうですね」

 レギウスは、それを聞いて耳を疑った。


 マレフィクスがイライラしながら、レギウスの軍を見ている。あまりにもイライラしているので、部下もあまり近寄りたくない。マレフィクスが、誰ともなしに叫んだ!

「いつまで陣地に引きこもっているんだ、レギウスの亀野郎!戦場に飯でも食いに来たのか!」

 マレフィクスにしてみると、軍を維持するだけでも馬鹿にならないコストが掛かっている。何の手柄もなく解散するわけにはいかないので、何とか戦端を切りたい。彼らのような軍にとって、レギウスのように手堅く戦う敵軍は、最もやりにくかった。

 そんなマレフィクスを、部下が若干白い目で見る。かつてのドラゴン族であれば、最も強いドラゴンが先陣を切って、自ら戦端を開き、突破口を作っていた。だが、マレフィクスはそれをしない。と言うより、出来ない。

 敵軍はゴーレムを中心とした強力な兵器で固められている。マレフィクス一人が突っ込んだ程度では、何ともならない。かつてとは時代が違うのだ。

 それでも、彼らはマレフィクスを頂点として従う。それが習わしなのだ。この時代において、共食いを厭わなかったマレフィクスは、他のドラゴンよりも大きなドラゴンだったからだ。

 そんなマレフィクス達に、見張りからの伝令が届いた。

「敵軍から、巨大なドラゴンが一騎、こちらに向かってきます」


 レギウスが、巨大な黒鉄のドラゴンに乗って前線に向かって行くザルツを眺める。そして、しばらく前に彼が言ったことを思い出した。


「私が出る、と言いましたが、生身ではありません。あのドラゴンに乗っていきます」

 そう言うと、ザルツは自分が乗ってきた、あの巨体な黒鉄のドラゴンを指さした。そんなザルツを、レギウスが心配そうに見て言う。

「乗っていくって、お前、あれで戦う気か?戦ったことあったっけ?」

 ザルツが答える。

「何度か訓練はしましたが、実戦は初めてですね。あのドラゴンを実戦に出すのも、初です」

 レギウスが、青い顔をして、ザルツの肩を掴んで言う。

「後生だから、やめてくれ。決闘で負けたら、それこそ大変だ!」

 そんなレギウスに、ザルツが言う。

「とは言え、誰だって初めてはあるものです。あのドラゴンを使える相手など、そうは居ない。今使わずに、いつ使うのですか?」

 レギウスは驚いた。てっきりあのドラゴンは演出用だとばかり思っていた。そんな戦闘機能があるとは思っていなかったのだ。

 近くに魔工術師が居たので、レギウスが聞く。

「あのドラゴンって、強いのか?」

 魔工術師が、考えながら答える。

「燃費は悪いですが、スペックだけで言えば強力無比です。一度も実戦で見たことはありませんが、一度見てみたいと思う自分が居るのは確かですね」

 ザルツが、それに乗じて、言う。

「レギウスは見たくないですが?あのドラゴンが戦う姿を」

 見たいか?見たくないか?その二択であれば、レギウスの回答は決まっていた。

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