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崇島さんは観念したのか、木の幹に腰掛けた。困ったように上目遣いで見詰められると、なんだか絆されてしまいそうになる。逃げ出しても、許してしまいそうになる。しかし私は貴方と話をしに来た。だから納得行くまで膝を付き合わせて話し合う予定だ。
私は彼の隣にぴったりと密着するように体育座りすると、徐に口を開く。
「貴方がいらしてから、耳鳴りが止みました」
「確かに私が貴方の周りに禍が蔓延らぬよう、結界を張っていた事は確かです」
観念したようで、憂いを帯びた顔で口を開く。それから私の髪にそっと触れようとして、また手を引っ込めた。こんなに近くに座っているのに、まだ触る事を躊躇っているようだった。
彼は行き場のない手で拳を作ると、すっと地面に目を移した。
「貴方はとても魅力的です。下級の妖がこぞって食べたがる気持ちも分かる。日食、月蝕が近付くと妖としての力が高まります。そうなると嫌でも目を向ける事になるのです。自分の感情に。貴方を庇ったのも、独り占めしたくてやっただけかも知れない..............。そう思うと、怖くなって顔向けが出来なくなってしまいました。私を思って下さる貴方を傷付けることだけはしたくない。そう思って貴方を避けていたのです」
吐かれる嘆きの言葉。一人の娘に関わってしまったばっかりに、彼はずっと悩みを抱えているようだった。私よりもずっと背が高くて、ずっと大人なのに、今だけはとても小さく見える。
でもそんな危険な状態でも、私を助けに来てくれた。怪我した私を抱えて空を飛び、送り届けてくれた。そんな優しい彼が、取り込む為だけに優しくしたとはとても思えない。この人の性質は、根が物凄く善性なのだ。
此処で漸く顔を見た。それから出来るだけそっと私の毛先に触れ、両手を挟むように包み込んだ。
あとがきで書く予定ですが、日食、月食って中国では天狗が起こすと言われていたそうですよ。
今崇島さんに翼はないですけど、力は健在です。
追伸
今日も余裕があれば、午後にも投稿予定です。
次回が最終回。あとがき、キャラ設定作ってきます。




