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あの時の記憶

下校中、私は突如耳鳴りに襲われた。きぃんとした金属質な音が脳裏を駆け巡り、収まらない。不味い、このままでは頭痛に直結する。

「あ..............あぅ、ぅ」

思わずその場に蹲りそうになったが、それを阻害するものが一つ。目の前から闇のようなものが此方に迫ってきたのだ。それは真っ黒な空間が周りを巻き込みながら此方に向かってきた。

何..............何なの..............? あの大きな闇のようなものは.......? 逃げなくては.......今すぐに。この不気味な存在から距離を取らなくては。

思った時には既に走り出していた。頭痛がどうとか言っていられない。どんなに頭蓋が割れようとも、足だけは動かせ。でも常日頃から走り込みをしている訳じゃない。だからスタミナ勝負なら間違いなく相手に分配が上がる。早く早く早く、人通りの多い所へ逃げなくては。

その思いばかりが先行したのが、いけなかったのかも知れない。工事後の割れ目に気が付かなった。思い切りコンクリの裂け目に爪先を引き込まれ、思い切り蹴つまづいた。擦りむいた膝小僧からは土に混じって血が流れている。このままでは全力で走れない。

こうしている合間にも闇は一直線に私を追ってくる。もう.......お終いなのかな..............。取り込まれて死んじゃうのかな..............。そう、諦めた時だった。

「去りなさい!不届き者!」

現れたのは黒の着物姿の男性。背中からは黒い翼が生えていて、右手には葉のような団扇を持っている。彼は私と闇の間に割入り、立ちはだかった。長い髪からは僅かながら甘い、桜餅のような香りがする。

闇はぐしゃぐしゃとした咀嚼音混じりの声で、前の男性に問いかける。

――なんだ、ぉまぇも喰らぃにぎだのが?

物語2つ目の山場、転です。


白無垢の初恋と構図が似てると思ってる作者です。

そろそろ変化が欲しいですね。


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