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「私の庭を穢した事といい.......お祓いが必要なようですね」
私の庭..............? そしてこの雰囲気、もしかしてこの人は.......。
彼は固い声で相手を威嚇すると、持っていた団扇を相手に向かって一扇ぎした。闇が霞み、人の姿が現れた。でもまだ足りない。すぐに闇が増殖して、元の姿を取り戻す。それに負けじと彼も扇をはためかせる。生み出された風が竜巻となり、闇を包む。それはゆっくりと小さくなり、後に残ったのは、一人の男性だった。
振り向いた顔はとても見覚えのあるお人。薄々気が付いていたが、声も気配も変わらぬ優しさ優雅さを含んでいた。
「崇島さん.......」
「.......無事.......でしょうか?」
彼は擦りむいた膝小僧を見て、口元にそっと手を当てた。切れ長な目を大きく見開き、苦悩するようにこめかみを押さえる。しかしすぐに意を決したような顔をして、私の膝下と背に腕を回す。それは所謂、お姫様抱っこの姿勢だった。
「お嫌でしょうが、少しだけご辛抱を」
彼は唇を噛み締めると、私を抱き込んだまま高く高く飛翔した。一瞬にして街が星屑に見える程遠ざかると、一気に急降下した。余りにも素早い動きなのに、全く恐怖を感じない。ただただ包まれている事に安心感を覚える。
原点回帰ってやつです。
最初のシーンこそが最大の伏線。




