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月蝕の気配

私は彼女とお茶をした後、花壇に戻っていた。植えられるのを待ち侘びた藤袴が、風に揺られている。ふとその光景をしゃがんで眺めていると、一匹の蜜蜂が引き寄せられるように止まった。花の中心まで移動すると、体を花粉まみれにし、蜜を啜る。

その様を見て、思わず黙り込む。あの子は上質な花であり、蜜だ。それに魅了される虫のような人外、禍、異形達。私も.....................もしかしたらその中の一人なのかも知れない。花に群がる虫の如く。

流石にこの中途半端なまま花々を放る訳にもいかず、作業を再開した。一つ一つ丁寧に根元を土に埋め、土を被せる。この子達も、私が面倒を見なければ直ぐにでも枯れてしまうのだろう。

今日共にお話をして分かった事が一つ。花に興味があるということ。私が出しゃばって話し始めても嬉しそうに返してくれた。願わくばその平穏が続くようにしたいものだ。

だから.......私は包丁で指に切れ込みを入れた。ぱっくりと割れた傷口から、涙が溢れるように血が出てくる。痛みに堪えきれなくなって泣いているようだ。そのまま家の外に出て、壁沿いに一滴づつ垂らす。

私の血は特殊なもので、血そのものに退魔の力がある。並の低級神、(あやかし)風情ならばまず寄って来れない。神社では血は穢れとして扱われる為、主力として扱った事は無いが、此処は境内でもない。ゆえに遠慮なく結界として使用する。

崇島さんの苦悩。

花に興味があるってよりか、共通の話題がそれしか無かったからな気が...................。

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