教会へ
全回間違えてメモ書きを投稿してしまい削除しました。
改めて続きはこちらです。
翌朝早くユーリスとキリーが迎えに来た。挨拶も早々に、4人で教会へ歩いて向かう。
早朝の中央教会は、祈りを捧げに来る信者が多い。それに交じってちらほら選定の儀を受けに来る家族連れが見られる。両親と子どもの三人連れが多い中、私たち4人はちょっと異質だ。
選定の儀は、教会の祭壇ではなく、奥の礼拝堂で行う。私も7歳の時以来だから久しぶり。小ぶりの礼拝堂の中央には風の精霊アイオロスをかたどった像が立ち、その前に銀盆が置かれている。ひと家族ずつ順番に呼ばれ、私たちの番になった。
銀盆の横には神官が立ちヴィオを迎えてくれる。銀盆には聖水が入ってるそうで、そこに選定者の血を一滴たらし魔力を流してその反応で第2性の識別と魔力の判断をする。アルファなら黒く、オメガなら赤くなり、魔力が多いほど光り輝くのだとか。私の時はな~んにも反応しなかったので、ベータで魔力なしっていわれたな・・とうっすら思い出した。
選定を受ける本人以外の付添人の人数制限がなかったので、キリーも一緒に入った。ヴィオだけ神官の前に行く。ヴィオにとっては神官は両親と同じなので緊張感はなさそうだ。
銀盆の前に促され、
「名前は?」と聞かれた。少しためらう様子を見せたが
「ルナリオです。」
と静かに、少し響く声で答え、ちょっと私の方を振り向いたので、笑ってうなずいた。大丈夫だよ。
安心したのか、ほっとした顔をして向き直った。
「両親の名前は言えるか?」
「ママはブランカ、パパはセレブロ。」
横にいる書記が記録する。
「では、血を一滴聖水に落とす。」
神官はそう言うと、細い針でヴィオの指の先を刺し、その血を一滴銀盆に垂らした。
「この聖水に手を入れて。魔力を水に流せるかな?」
ヴィオがうなずいて、針を刺した手を銀盆に入れる。私ははらはらしながら見ていると、ヴィオが目をつぶった。
すると、聖水が赤く光り始め、その光はだんだん強くなり、まぶしくて目を開けていられないほど。どこからともなく風が吹いてきてヴィオの周りをくるくる回り始めた。周りの神官たちが慌て始め、礼拝堂内がざわつき始めた。
「ヴィオは大丈夫なの?魔力暴走じゃ・・・?」
「大丈夫だ、これは魔力暴走じゃない。聖水が反応しているだけだ。」
不安な私は思わずユーリスにしがみついて聞いた。ユーリスは光から目を離さずに私の手を握ると静かに答えてくれた。
光がおさまると神官がヴィオを伴って興奮気味にやってきた。
「この子の判定は、オメガで魔力が多いとわかりました。先ほど風の精霊の祝福も降りてきたようで、もしかすると精霊の愛し子かもしれません。これは大変なことです!この子は中央教会でお預かりすることになると思います!」
にわかに大騒ぎになってきたので、ユーリスがヴィオを保護したときのことを伝え、この先成人するまでユーリスとブラウが仮親となって養育したいと伝えたが、神官も引かない。
「この子はこの国の宝になる子です。教会で大事に育てます。」
「いや、事前に王宮を通して大神官に話を通しているはずだ。」
「大神官さまもこの子を見ればわかるはずです。教会でお預かりします。」
「そんな・・ヴィオは私たちで育てます!」
「おい、2人とも冷静に。ヴィオがおびえてるぞ。」
私たちがもめている足元でヴィオがあわあわしている。その時、
「何をもめておる」
奥からよく通る声の主が現れた。高齢だと思われるが姿勢が良い大神官が静かに入ってきた。一瞬で周りの神官たちが頭をたれ、横に下がり道を開ける。
大神官はにこやかに、それでもまっすぐにヴィオの方へ歩み寄ってきた。横にいた私たちも大神官に頭を下げる。
大神官は、私たちににこやかに笑いかけ、そのままという風に手を振り、周りの神官たちには下がるように指示した。ヴィオのもとに来ると膝をついて目線を合わせ、両手を取ってヴィオに語りかけ始めた。
「ルナリオ?風の精霊が見えるのかな?」
「ひかってる。」
「私の魔力は見えるかね?」
ヴィオがうなづく。
「しんかんさま、おめめがわるいの?」
大神官はめを瞠った。
「ほう、なぜそう思う?」
「ん~、おめめのところだけ光ってないの。」
「そうか、そうか。」と嬉しそうに言う。
「実はな、目はほとんど見えないのだよ。内緒だぞ。」
ヴィオは両手を口に当てて驚いている。
「ルナリオと同じでな、皆の魔力が少し見えるから、そこに誰がいるかはわかるのだよ。人によって色が違うのだろう?」
ヴィオはうなづいた。
「さて、これからの事じゃが、ルナリオはどうしたいかな?」
「教会でわしらと暮らすこともできるぞ。ここにはお前ほど『見える』者はいないが、わしのように近い者もいる。お前の見えている世界を分かり合えると思うのだが?」
「ブラウといっしょにいたい。」
「お前の母ではないぞ。」
「ブラウはママじゃないけど、ブラウの『あかいろ』はぼくをつつんでくれるの。ママの『きんいろ』もおなじようにを包んでくれたよ。あんしんするの。」
「ブラウが好きか?」
「うん!すき! ユーリスも好き、キリーも好き。お店に来る人もみんな好き。」
「あ、」
「なんじゃ?」
「たいちょうさんはくろいからちょっとこわい。」
緊張してた私たちも大神官もこれには思わず笑ってしまった。
「辺境のアレンじゃな。良いヤツなんじゃがな~。強いアルファだから抑えててもフェロモンがもれてるんじゃろ。許してやってくれ。嫁と子どもたちが大好きな奴なんじゃ。」
「では、ルナリオや。ブラウと辺境の町で暮らすのを選ぶか?」
「うん、あ、はい。」
「あはは、良い子じゃ良い子じゃ。精霊の風も心地よいわ。」
大神官さまは静かに立ち上がってヴィオの頭に手を置いた。
「ルナリオ。ブラウと辺境の地で楽しく暮らすのじゃぞ。時々わしのところに、楽しかったことや何を学んだかの話をしに来てくれるかな?見えないわしのかわりにお前が見たものを教えておくれ。」
「はい、しんかんさま。おはなしにきますね。」
「よしよし、では祭壇の方へ戻ろう。」
ヴィオは大神官と手をつないで祭壇へ向かった。そして、大神官は向き直ると、
「ルナリオは辺境の地でブラウが養育することをわしの名のもとに許可しよう。仮親として登録するが、そっちのお前はどうするのじゃ?」
大神官はユーリスの方へ向いた。ユーリスは大神官のもとへ近づいて礼をとった。
「大神官様、冒険者ユーリスと申します。私もヴィオ、ルナリオの仮親として一緒に養育したいと思っています。」
大神官がユーリスに近づいて耳元でそっと言った。
「王から話は聞いておる。ルナリオをまっすぐに育てるのじゃぞ。」
というとポンポンと肩をたたき、離れ際に
「相変わらずきれいな魔力をしておるのう。」と言った。
「え??ヴィオと同じ?」
そのあと大神官は私の方へ近づいてきた。
「ルナリオの望みはそなたと暮らすことだそうだ。あの子はとてもきれいな魂を持っておる。たくさん愛して皆とともに素直に育てていくのじゃぞ。基本的なことは辺境の教会で学ばせて、時々こっちへも顔を見せに連れてきておくれ。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
「よしよし、そなたもきれいな魂をしておるのう。ついでにユーリスも頼むぞ。」
とウインクして笑いながら立ち去って行った。
「ええ!?」
《その頃ファーレン商会。エドとルードの会話》
「ブラウとユーリスでヴィオの仮親となるんだけど、このままブラウをもらってくれないかな~」
「お父さん、勝手にそんな。。。あの二人はそんな雰囲気じゃないですよ。ましてやブラウは鈍いから。まあ、ユーリスなら昔から知ってるし、良いヤツだからお互いに良いと思ってるなら反対はしませんよ。今では冒険者として安定してきてるし、生活には困らないと思いますしね。」
「う~ん、ルードには言っておこうかな~。」
「実はユーリスは現国王の4男、第4王子で、臣籍降下したことになっているんだ。まさか冒険者になって市井に下りてるとは思われてないのさ。知っているのはごく一部のトップシークレットだよ。ブラウにも言わなくていいかな~。2人が一緒になってファーレンの姓になればわからないよね~。」
「お父さん!王家のトップシークレット私に言っていいんですか!?」
「お前は私の後継ぎでしょ。うちと王家とのつながりは知ってないとね。」
「お父さん・・・。 私の胃が持ちません。」
「大丈夫!お前は真面目で勤勉で義理堅い。下手な冒険はしないから安心して任せれらるよ。」
「要はカタブツで面白みがないってことでしょう?」
「誉め言葉だと受け取っておきます。」
っていう会話があったとかなかったとか・・・。私が知るのは相当後の話。




