王都へ ファーレン商会
ワールドカップを言い訳に更新が滞りました(笑)話を整理しつつ元に戻していきます。
短い話が2話続きます。
土曜日。早朝から王都へ出発することになった。私とヴィオは馬車の中、ユーリスとキリーは御者台にいる。2人は馬で並走する予定だったけど、結局自分たちの馬を馬車に使うことにしたらしい。二頭立てなのでかなり大きい馬車になった。道中馬車の中で寝られるようにだって。
私とヴィオは快適にすごさせてもらい、夕方王都に着いた。教会へは翌日に行くことにして、ヴィオと私は実家のファーレン商会へ送ってもらった。ユーリスとキリーもうちへ泊ってもらおうと思ったけど、ユーリスは知り合いに呼ばれてるからそっちへ行くと。キリーは、ユーリスが知り合いの家に行くならたまには自分も実家へ帰ろうかなと、それぞれの馬に乗って行った。教会へは明日午前中にうちに集合して行くことにした。
ファーレン商会は王都でも指折りの商会だ。割と王城の近くで一等地に商会をかまえてる。父エドは背が高くシュッとした色男?一見商売人には見えないが、界隈ではファーレン商会の大だぬきと陰で言われてるくらいやり手の商人だ。
根っからの商人の父は効率重視。店と住居が離れてたら効率が悪いと、大きな敷地に店と住居を建ててしまった。警備の面でも王城近くの方がいいんだって。ホントかなぁ。
「ブラウ嬢ちゃん!お帰りなさい。大きくなったなぁ。」
「おお!子連れか?とうとう結婚したか!」
「うあ!ずいぶんと綺麗な子だな!」
店の従業員たちは小さいころから知ってる私に気軽だ。
「待ってよ、ここ出た時と背は変わらないし、結婚してないし、この子は預かっている子よ。」
ざわついた店内に入ったとたんに大柄な男衆に囲まれて、ヴィオはあわあわしてる。
「ヴィオ、ここが私の生まれた家よ。みんな声は大きいけどいい人たちだからね。」
ヴィオは私のスカートをつかんで離さない。可愛い。
「ブラウ!」
奥から父エドが両手を広げて大股でやってきて私を思いっきり抱き上げる。
「お父さん!私をいくつだと思ってるの!」
人前だしヴィオにもみられてるし恥ずかしい。
「え~、自分の娘愛でてもいいじゃないか~。たまにしか会えないんだから。」
父エドはそれでもニコニコしながら私を降ろさない。
今日は作業があったのか、上着は着ずにシャツの袖を腕まくりしてる。自ら荷受け作業もするので、商人とは思えないくらい背が高く筋肉質だ。私と同じ金茶は後ろをきれいに刈り上げてすっきりしている。茶色の大きな瞳が顔だちを愛嬌よくしている。私の顔立ちは基本父に似てる。兄のルードは母似だ。
「お、その子がヴィオ?」
私を抱き上げたまま、下で固まってるヴィオに気づいた父エドは、私を降ろすと今度はヴィオをいきなり抱き上げた。
「お父さん!いきなりは・・・!」
「ほう~きれいな子だねぇ~。私はブラウのお父さんでエドって言うんだよ。よろしくね。」
急に抱き上げられたら驚いてパニックになるかと心配する私をよそに、ニコニコしながらヴィオに話しかける。ヴィオもパニックになる間もなく、恥ずかしいのか赤くなって腕の中でもじもじしている。さすが人たらし。
「ブラウ、お帰りなさい。」
母のサラと兄ルードが奥から迎えてくれる。
「お母さん、ルー兄さん、ただいま。2日ほどお世話になります。こちらがヴィオです。」
母と兄に紹介しようとしたが、父エドはヴィオを離さない。
「お父さん、ヴィオが困ってるよ。そろそろ降ろしてあげてよ。」
「え~~~。可愛いからこのままで。だってブラウの孫は抱けないと思ってたから・・・。」
「お父さん、孫はもうルー兄のところにいるでしょ。」
「だって~。あ、そうだ。ヴィオ、私はブラウのお父さんだから、私の事はジージと呼んでもいいんだよ。」
「お父さん、何言ってるのかな?ヴィオが混乱するからやめなさいってば。」
私はあきれながら言うと、
「じーじ?」
「ヴィオまで。。。付き合うことないのよ?」
「そうだよ、じーじエドだよ~」
店先でヴィオを抱いたままくるっと回る父エドを、私ら家族はため息をつきながら眺めていた。ヴィオが楽しそうに笑ってるから良いか。
そんなこんなでその日はルー兄の家族も一緒に夕飯を食べてファーレン家に泊まった。振り回されたヴィオは朝までぐっすりだった。




