『リ・バース』第二部 第6話 Nether World③
③ ライガ・アンバース
変身術によって生じた仮初の被服の、切り裂かれた箇所から黒ずんだ血液が舞い散っては黒曜石の床に点々と跳ねた。
姿は生前の自分──少年時代の私服姿──のものだが、その実体は言うまでもなく六歳児のものだ。血液量も、十代の後半のものと比較すれば圧倒的に少ない。成人の自分では問題がなかった程度の出血でも、気付かないうちに貧血を起こしたり、最悪の場合ショックを起こす程の危険域に入っている、というような可能性も誘発されかねない。
それだけ、ジェムシリカの双剣による攻撃は凄まじかった。ガウスで「影」となったグラブル・ドナーと交戦し、彼の招喚した精霊に突き刺された時でも、現在程の出血はなかった。
異空間に入る前の地上で行われた序盤の戦いのように、こちらも生成魔術で剣を作り出し、それを用いて剣同士の戦いに持ち込むという事は出来ないでもない。しかしこの「地下」に入ってからの第二ラウンドでは、ジェムシリカの攻撃は地上で戦った時以上に激しさを増していた。「影」にとっては、やはり自分たちの得意な環境での戦闘は有利に働くのかもしれない。今こちらが剣を生成しても、元から魔素による仮想物質であり強度で劣るそれではすぐに力で砕かれ、自らの隙を作る危険性の方が大きい。
「痛いか、ライガ・アンバース!」
こちらが距離を取ると、ジェムシリカは恍惚とした表情を浮かべながら左右の手の剣をさっと振り、血払いを行った。床に飛び散った血液は黒ずみ、漆黒の床に溶け込むように見えなくなる。そうすると心なしか、黒曜石の輝きは増々深みを増すようだった。
「それが、理の遂行者に受けた誅罰の痛みだ! 信仰上の仮想世界で、誰一人その記憶を持ち得ぬ煉獄での浄化の苦痛なのだ! プログラムは今、貴様に苦しめと言っている!」
ジェムシリカは叫び、獰猛に嗤った。
「死霊化者が科されるペナルティとは何だ? 罪業だ。たとえ遠い未来で前科者となるにせよ、相対悪に対する償いさえ終えれば再び生まれ変わる事が出来る。だが、実際に死霊化術を受けた被害者が『影』となり、再生するのは容易な事ではないのだぞ」
ライガは質問を返したり、彼女の台詞に応えたりはしなかった。次の一手を考える以外の頭は働かない。
ジフト戦役の序盤にソレイユ、ヤング近郊での初戦の時、ライガはジェムシリカに敗北しかけた。リクトが助けに来てくれなければ、命を奪われていたとしてもおかしくなかった。
その後、ライガ、リクトとジェムシリカとの戦いは長引き、彼女は自分たちを「殺せない相手」として目の敵にするようになった。実際に両者の実力は伯仲していたが、それはいずれも集団戦の中での結果であり、彼女の傍には常に腹心の取能者という脅威があった。
その為、自分やリクトは決して彼女らに対して無茶な攻撃の仕掛け方はしなかったし、彼女の方も部下である兵士たちが壊滅に近づけば退却せねばならないという制約が課せられていた。
最終的にライガは、死霊化術によって彼女を倒した。だが、それ以前の最後の戦いでは、自分は彼女に負けた。部隊を離れ、リクトも傍に居ない状態となった戦いに於いてだ。
恐らく剣の腕では、経験という一点を採って本来ジェムシリカの方が自分よりも上なのだろう。一度死に、来るとは思っていなかった再戦を行う時に至って、ライガはようやくその事を理解した。
「死霊化者は背負った罪業の結果、魂そのものを消される事はない。考えてみればおかしな話だ……目には目をという罪と罰の原則に照らして、不当であると言わざるを得ない。『影』となる事が犠牲者への救済措置なのだとすれば、死霊化術によって死んだ死霊化者の罪は誰が断じるのだ?」
ジェムシリカは言い、またしても剣を振るってきた。空間に水紋の如き光果の生じる突き技。ライガは
「プリヴェントファクター!」
防御魔術で防ぎ、その裏側から
「クペアンドゥ!」
斬撃術を飛ばした。この刃は、空間自体を切断するので対象の硬度に関わりなく切り裂く。光の壁も裏側から切り裂かれ、斬撃はそのままジェムシリカへと襲い掛かった。
彼女は、一瞬笑みを消し、迂闊だった、というような表情を形成した。が、すぐに影に溶け込むように沈み込んで回避し──これは「地下」で更に「影の部屋」が使えるという事ではなく、彼女が自ら「胎」と形容したこの場所に自身を同化させる事で姿を消したようだ──、何処に行ったと思う間もなく、障壁因子とこちらの体の僅かな隙間に再び現れた。
斬撃術で切り裂かれていた障壁因子が、そのタイミングで丁度消滅した。ライガは視線を落とし、下方から懐に潜り込んで来たジェムシリカに再び斬撃を放とうとするが、
「デカルコマニー」
彼女はまたニヤニヤ笑いを取り戻すと、剣を突き刺してきたりはせず転写術を使用した。
模倣された斬撃術が、ライガの頭部を狙ったかのように上昇して来た。ライガは大きく仰反ってそれを避けようとしたが、ぎりぎりで完全回避とは行かず、刃はこちらの頰──元の体でも、少年時代の姿に変身しても消えない二重の「X」が刻まれている辺り──を切り裂いた。
掠めただけかと思ったが、肉がこそぎ取られる感覚があった。血飛沫がバッと飛び散る。その隙に、彼女の剣はこちらの鳩尾の辺りを薙いで更なる追い討ちを掛けてくる。
痛みを堪えながら、とにかく距離を取ろうと後退すると、また転写術による斬撃が飛んで来た。今度は間一髪で回避しながら、ライガは頰の傷に触れて早口で癒合術の詠唱を行う。
転写術の引数が斬撃術になっている状態が良くないな、と思い、更に距離を詰めて来ようとしたジェムシリカに対し、ライガは腕状霊魂を招聘して突き出すように放った。それは振るわれた彼女の瑠璃色の刀身を握り締め、動作の途中で不自然な途中停止を掛ける。
勢い余って、ジェムシリカは手首を捻ったようだった。舌打ちをし、そのまま力を込める。腕状霊魂が切り裂かれて消滅する──境界に還る──のを見ながら、彼女の剣にもイスラフェリオと同様、魔術破壊を行い得るだけの威力が備わっているのだと思った。
彼女は、霊力の残滓を振り払うかのように、先程行った血払いと似たような剣の振り方をした。
「苦しみ抜け、ライガ! そして初めて、貴様は我らが同胞として生まれ変わる資格を得るのだ!」
「喋らないで戦えよ……!」
ライガは鳩尾の傷を押さえ、上体を可能な限り折ってジェムシリカの視線から隠しながら回復魔術を唱える。転写術には、まだ危険度の低い腕状霊魂の作用のままであって欲しかった。
ジェムシリカはつまらなそうに鼻を鳴らし、自身に刻まれた傷を検分する。ライガも決して防戦一方という訳ではなく、少しずつではあるが彼女にダメージを蓄積させていた。こちらが喰らった傷からすれば微々たるものだが、決して無意味なものではないはずだ。
「理屈はもう結構だ。プログラムが、俺を殺してお前たちの仲間にしろって言ったのかよ?」
ライガは、そう言葉を投げ掛けた。
挑発ではなかった。ただ、偽らざる本心としてジェムシリカの謎めいた語り口にはうんざりしていた。この世の真相とやらを知った者は皆こうなるのか、と思うと無性に苛立たしさを感じる。
しかし、ジェムシリカの語りの性質がウカノフとは決定的に異なっている事をライガは感じていた。
それは、かつての彼女と何ら変わらなかった。
「ジェムシリカ、お前さ……俺に復讐がしたいから、痛めつけているだけだろ? けど、俺は別にお前と遊ぶ為にここに来ている訳じゃないんだよ。……ウカノフと話をさせてくれ。それが無理だっていうなら、さっさとここから出してリクトの所に行かせろ!」
「そうは行かない」
ジェムシリカの声が、俄かに怒気を帯びた。
「これは私自身の戦いでもある。プログラムは確かに、貴様に共感して神言を託そうとしている──かつて、冥王に対してそうしたようにな。私は『影』として彼の意思を遂行せねばならない……そう理に約されている。しかし、私はこの自らの人格が、貴様の手によって終止符を打たれた生の続きでないとはどうしても認められぬのだ!」
「やっぱり、お前の意思が俺と戦っているんだな?」
確認するように問うと、ジェムシリカは今度は言葉を濁す事なく「そうだ」と肯いた。その顔が、熟していない果物を齧ったかの如く渋そうに顰められる。
「私は、やはり自らが傀儡であるとは認めぬぞ……たとえ同じ個別化の同意に基づいて、貴様も冥王の野望の為の一単位とされたとしても。『影』という制約を課せられているのなら、私はその『影』という制約の中で、貴様に対する復讐を遂げてやる」
彼女は、きっぱりと言い放った。
「そうだ──私は私だ。プログラムが我が魂を救済するのなら、救われ方は私自身が選ばせて貰おうか。それが能わぬのならば、私は貴様の同類となったとしても堂々とそれを否定しよう」
「………」
どう返せば良いのか分からないライガに対し、彼女は「そういえば貴様は」と言ってきた。
「その大いなる感応の事を、『神秘への感応』と呼んでいたな」
「………! それは」
ライガは目を見開く。確かに、自分がかつて使った言葉だ。だが、何故この場所で飛び出すのかが分からない。
「この『地下』が──プログラムの暗部が、共感によって生ける者を招く事も、死せる者を反感によって送り出し、生ある者の手によって真に死を迎えるよう計らう事も、共に人間の備えるそれがもたらす作用だ。だが私は、そのような宿命論的な説明を信じない。
今こうして、貴様と語る私は何者だ? 生の続きに喜び、あの男による絶対支配に反発する私は砕け散った廃材に宿った単なる残留思念か? 生前の女王蜂は、現在の私とは別人か?」
「ジェムシリカ、お前は──」
「そうだ、私はジェムシリカだ」
その名に、彼女は肯いた。
「私の率いるべきは亡者ではない。私は第一皇女、ジェムシリカ・イスラフェリーなのだからな」
彼女が、宣言するように言った時だった。
一瞬、ジェムシリカ本人もライガも、何が起こったのか分からないような顔になった。いや、実際にライガは、目の前で起こっている事に対し、頭の整理が着いて行かなくなっていた。
ジェムシリカが唐突に、口を開いたまま動かなくなった。だが、まだ意思が残っている証拠に、表情筋がぴくぴくと痙攣している。体が、急に言う事を聞かなくなったというように。
「……おい、ジェムシリカ?」
恐る恐る声を掛けた。
「あ……ああ……っ──」
彼女の喉から、ひゅうひゅうという隙間風のような音が零れた。その頤が、錆びついた機械が軋むように小刻みに震えながら仰向く。二刀を携えた腕がだらりと体側に落とされ、瑠璃色の双剣は滑らかな光沢のある床に突き刺さる事もなくからりと音を立ててその場に刀身を横たえた。
徒手となった両手の指が、不随意運動をするかの如くうねうねと生き物めいた蠕動を見せた。
何らかの発作を起こしたのだろうか、と思った。しかし、どうやら死者であるらしい「影」が、そのような疾患めいた症状を呈するだろうか。いや、彼らにも肉体がある以上、起こってもおかしくはない事であると言って、言えない事ではないのかもしれないが……
が、次の瞬間、ジェムシリカの喉から発された音声に、ライガは考えていた一切が吹き飛んでしまった。
「大いなる約定の僕として、人の子に神言を授ける──」
彼女の唇は、そう紡ぎ出した。
ライガ自身も初めて耳にする”言葉”だった。霊媒師が憑依状態となり、口寄せを行うというプログラムからの声。絶えず形を変え、不都合を修正し、最適化され続けるこの世の理。それが更新された時、霊媒師は”啓示”を受け取り、その旨を民に伝える。
無論、それは滅多にある事ではない。死霊化術という禁術が開発されてしまった時にも、プログラムはすぐにそれを秩序の一部となるよう辻褄合わせを行う事は出来なかった。一世紀以上が経過しても、それが成し遂げられたのかどうかですら定かではない(というのは、「影」の存在により、はっきりと未修正だと言い切る事も難しくなりつつある為だ)。
だが、これは──。
ライガは、生理的な嫌悪感を覚えて後退った。ジェムシリカの口から発されたその声は、明らかに彼女のものではなかった。何重にも反響が掛かり、性別すら──というより、人間の声かどうかすら定かではない。機械仕掛けの人形が存在したらこのような声を出すのだろうという声だ。
それと同時に、彼女の瞳が漆黒に染まった。そのまま、回転儀のようにぐるぐると回転を始める。白目を剝き出すように、しかし、その部分もまた真っ黒で、眼窩に眼球が神経で固定されていないのか、というような勢いでルーレットのように回り続けていた。
「クオド・エラト・デモンストランダム……不死者、ジェムシリカ・イスラフェリーの逸脱を確認。これより彼女を逸脱者と認定。人格を剝奪、母胎への還元を実行する。同時に反感を検知、この逸脱者を依り代とし、『地下』よりの排除を開始する──」
「おい、どうしたんだよ?」
ジェムシリカは答えず、譫言のように呟き続ける。否、最早それは彼女ですらないのかもしれない。
(逸脱者? 人格を剝奪?)
プログラム自身が、これから行うべき処理を口に出して確認しているかのような言葉だった。意味は分からなかったが、それで何となく、今までジェムシリカが発した台詞の数々に納得が行くような気がした。
ドラウ・ボンやレドム・イドゥン、グラブル──彼らは、レドムが率い、彼の死と共に消滅した者たちのように、元々は人格を持たない存在だったのではないか。それらが、何らかの魔術よって生前の人格を模倣し、あたかも生前の彼らのように振舞い出した。
そしてジェムシリカは、今再び、プログラムの意思によってその擬似人格を取り消された──。
(って、やっぱりおかしい)
ライガは胸中で疑問を発する。
それでは、死霊化術によって魂自体が砕け散ってしまった犠牲者の人格とは何処にあるのか?
シュラに対して行ったように、自分は「再誕」によって怨霊から魂の記憶を抽出する事に成功した。しかし、それはあくまで怨霊に変じた魂がまだこの世に留まっていた為だ。
残留思念、という言葉をジェムシリカは使った。その実在については、それを基に発生する幽霊系の魔物や世界各地で語られる幽霊譚の存在からも明らかだ。だが、たかが残留思念──記憶が、生前と同じ魂に刻まれた技を使用し、自ら思考する事など有り得るのか。
「クオド・エラト・デモンストランダム……不死者、ジェムシリカ・イスラフェリーは悪魔であった……」
ジェムシリカは呟き続ける。やがてその瞼が幾度かぱちぱちと瞬きをし、何度目かに開いた時には眼窩は漆黒に染まっていた。あたかも、高速回転していた眼球がなくなってしまったかの如く。
ライガはその時、既に彼女から「ジェムシリカ・イスラフェリー」としての人格が消滅している事を悟った。
彼女が俯いた拍子に、黒服のフードがはらりと動いてその頭部を包み込む。一瞬顔が見えなくなり、再びそれが上げられた時、そこには最初に見た時と同じ髑髏の仮面が嵌められていた。
直立の姿勢に戻った彼女──推測通りなら既に性別はなくなったはずだが、便宜上そのまま呼称する──の背格好が、そこでいつの間にか変化を来している事にライガは気付いた。
二十二歳で享年を迎えたジェムシリカは、ライガが知る限り同年代の女性の中では比較的小柄な方だった。その背丈が、男の中では同じく小柄な自分よりもやや大きいというくらいにまで伸びている。体格は、纏っていたローブの為に元々体のラインが分かりにくかったが、やや肩幅が広くなり、中肉といえる程度にはがっしりしたように思う。
特徴のない──無個性というよりも平均的な背格好になったのを見、やはりこれが本来の彼らなのだと思った。
しかし、恐らく白羊宮を襲ったレドムが率いていた者たちと異なる点があるとするならば、
「招かれざる魂の排斥を開始する──」
その体がまだ、プログラムの意思を宿している事だ。
ライガは、自身に向けられた敵意を明確に感じ取った。それは、不思議な程はっきりと、先程までジェムシリカから向けられていたのとは根本から性質が異なる事が伝わってくるものだった。
先程までジェムシリカから向けられていた敵意は、復讐心のようなものだった。生前、自分に異常な執着を見せ、目の敵にし続けてきた彼女の残留思念と捉えれば肯ける話ではある。
だが、今向けられているものは、個人の感情の一切介在しない、非人間的な──というより、非生物的な──敵意だった。喩えるのであれば、人体の免疫が入り込んで来た異物を全自動で排除しようとするような、職業軍人が仕事で赴いた戦場で敵兵を殺すような。
立場上、こちらに向けるべきという事が定められている敵意だ。それは却って、言葉の通じない、決して分かり合う事の出来ないものと相対した時のような恐ろしさを感じさせた。
何の前触れもなかった。
先程までジェムシリカだった「影」は、直立のまま指印を結ぶ。黒曜石の床の上に、それ自体よりも更に黒々と落とされていた影が、垂直に注がれた水が拡散するように広がる。発光していた黄緑色の石の輝きがそれに呑まれて見えなくなった瞬間その影が噴き上がり、極太の螺旋状の柱となった後、七本首の龍の形状となってこちらに射出された。
この間、僅かコンマ五秒。
固有降霊術「影の部屋」──偽りの救世主。
ジェムシリカの人格が現れていた時、彼女は「影の部屋」に含まれる攻撃技を一度も使用しなかった。彼女自身は、これまでの言葉から考えるに自分は死霊化術を生き延びた、という解釈をし、自らが最早人ならざる「影」である事を認めまいとしているようだった。だからこそ、勝つ為であれば手段を択ばない彼女が殊更に自身に縛りを設けていた訳ではなかったとしても、無意識に戦術にそれが影響していたのかもしれない。
そう事をライガが考えたのは、
「クペアンドゥ!」
今までもそうしてきたように、空間断裂によって影の龍が自身に到達するのを防いだ後になってからだった。
影が爆発し、リーマンの街の上空を漂っていた煤煙の如き黒々とした霧が目の前の空間に拡散する。その中を、間髪を入れずに敵が突っ込んで来た。閃くような勢いで振り抜かれた両腕の先には、いつの間にか斬撃槍に似た細長く鋭利な三角形の刃が現れていた。
「マニフェスタテイル!」
ライガは後方に跳躍回避しつつ、生成魔術を使用した。愛剣アルターエゴを模した漆黒の片手直剣を顕現させるや、すぐに全身に力を込めてブレーキを掛け、体を前方へと押し戻す。
自身の剣と「影」の手刀が、磁石で引き寄せられるかの如く互いに肉薄する。それらがぶつかり合った瞬間、黒い稲妻のような、明暗を反転させた閃光が周囲を薙ぎ払った。




