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ギャルズメロディー2期   作者: キスよりルミナス
二章  トーナメント
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11話  憧れと感謝《前半》(香織)

11話  憧れと感謝《前半》 (香織)




 ①  憧れの先輩


 東京の空気は田舎のように綺麗で澄んでいる訳ではないのに、トーナメントに対する緊張と楽しみが少し感覚を麻痺させている。すーっと息を吸うと朝の冷たい空気がおいしく感じる。

 ビルとビルの間から朝日が差し込んできているのが見える。それくらい朝早いのに、さすがは東京と言ったところだろうか。道路は多くの車が行き交い、日曜でも朝早くにスーツ姿で出勤してる人が多くいる。

 「香織ちゃん、今日が本番だね」

 松崎先輩は朝早くでも、いつものように身だしなみを整えている。大会のために特別に髪型を変えたりすることなくいつも通りである。(私達もそうなんだけど、それは準備する時間が無かっただけなんだけど……)

 「先輩、今日はよろしくお願いします」

 常に憧れの先輩である松崎先輩の横に私は立つことができる。

 本来は桜田先輩が立つはずだった松崎先輩の右側に私が居る。私は、桜田先輩のようなコツコツタイプでしっかり屋さんで無いけれど、桜田先輩の代わりを務めさせていただく。

 そのことを再度認識して「こんな自分ですがよろしくお願いします」という気持ちを込めて、その場に立ち止まり頭を下げる。

 「そ、そんな……。頭下げなくても……。私の方こそお願いする身なんだから……」

 松崎先輩はそう言ってくれるので、ゆっくりと頭を上げ目を合わせる。目を合わせると松崎先輩は優しく微笑む。

 

 あ、あの時と同じような気持ちだ……。


 見るだけで安心した笑顔というのを、あの時に私は12年間生きてきた中で初めて知った。


  ※  ※  ※ ※ ※ ※


 『今、あなたを元気づけることならできるよ』

 あの日、松崎先輩と初めて会った日のこと。これからの学校生活の事を不安に思っていた私の元に松崎先輩が現れた。

 そして、私の話を聞いて松崎先輩はあのように言ったのだ。

 何の根拠も無かったのになぜか安心していた。


 直感でもそう思わせるものがあったのだろう。不安だった私に松崎先輩は『安心』をくれたのだろう。


 そんな事を思い出していると、「先輩が『安心』をくれたあの時から、私は憧れの気持ちを微かに持っていたのかも?」という考えが浮かんできた。

 


 先輩の歌声を初めて聴いた時は、体中から元気が出て「この人、すごいなぁ……」と素直に感動したのを今でも鮮明に覚えている。

 その時から私は先輩に対して憧れの気持ちを抱いていた。

 心を奪われる程の歌声に瞬時に憧れを覚えた。歌なんて全く興味なかったのに、あの歌声には憧れを抱いてしまった。

 「もし、あの先輩と同じ部活になれたならば、きっと嬉しいだろう。」

 と、願ってしまう程に松崎先輩に惚れてしまっていた。(憧れとかの意味で)


 その後に楓にアイドル部に誘われた時、まさか松崎先輩が居るなんて思ってもいなかった。そして保真麗も居たことから、神様が授けてくれた運命みたいなものを感じて私はアイドル部に入った。


  ※  ※  ※ ※ ※ ※


 「……香織ちゃん?」

 「っあ、あ、はい!す、すみません!」

 過去のことを思い出している間、ぼーっとしてしまっていた。それで突然に声をかけられ慌ててしまった。

 私の反応を見た先輩がクスッと笑って、「大丈夫そうね。」と言う。

 「今日は私の右側を頼むね、一緒に頑張ろうね!」

 「はい!精一杯頑張らせてもらいます!」

 幸運にも松崎先輩の隣に立たせてもらうんだ。全力を出し切り必ず優勝を勝ち取って見せる。


 そうすれば、今のお母さんや琴音にも感謝の気持ちを伝えることができるはず。

 そして、天国に居る元の両親に、今を精一杯生きてることを伝えられるはず。

 

 優勝の先にある大切な気持ちを胸にして私は先輩の隣に並んで会場へと向かった。




 ② トーナメンの予選



 中学生アイドルの全国大会で、東京ドームなんて来るとは思ってもいなかった。東京ドームといえば、〇〇〇48とか、ジュニアーズとかの大物アイドルのつかうイベント会場(野球として使うのは一旦置いとく)として有名な場所。

 そんなとこに何故、中学生アイドルの全国大会が出来るか?と思ったけれど、理由は以下の通りだということ。

 

 アイドル部は日本の中で見ると、学校の数が少ない割に、そこらのアイドルと扱いがほぼ同等なので合同開催となれば多くのファンが来る。


 初めて聞いた時は「そんなものなのか?」と疑問に思っていたけれど、会場の様子を見ればわかる。


 老若男女問わずに大勢の客がドームの中へと流れ込んでゆく。チケットの引換券を交換する場所は長蛇の列ができている。

 田崎先生の話によると、毎年の事らしいが会場のチケットは1日も経たずして完売してしまうらしい。

 

 会場の前には大きな液晶パネルが複数置いてある。チケットを取れなかった人達は、パネルの前に集まってライブを観るらしい。大会の始まる4時間前なのに準備をしている人が居ることには驚く。その数が少ないならまだしも、何百人も準備してるとなると驚きを隠せない。


 

 「大阪音大附属が2年ぶりの優勝かな?」

 「月城はここ最近低迷中だけど、今年の新メンバーは凄く勢いあるし、月城勝ちそうだよ!」

 「ユアユイ率いる里見が優勝だね!」


 行き交ってゆく観客が話しているのは、強豪と言われている学校ばかり。当然のことながら、桜咲学園の名前は全く聞こえない。

 去年、地区大会で敗北した学校が優勝候補に入ることなどまず無いと考えられているからだろう。

 ホテルで見た朝のニュース番組でやっていた今日の大会の順位予想では、どこのニュースでも桜咲は最下位か下から2番目だった。

 

 「この結果、必ず覆してみせる……」

 鈴音はそれを見て、目を見開き歯軋りを立てて怒りの感情を剥き出しにしていた。

 普段から感情を表に出さないけれど、トーナメントが近づくにつれて感情を出すようになり、様子が変わってきている気がして心配である。


 「ここが会場ね!勝ちに行くに決まってるじゃない!」

 楓は昨日の不安そうな様子から一変して、やる気に満ち溢れている。ホテルの部屋は全員同じだったけれど、楓が誰かと通話していたのを見たわけでもないから分からない。

 結果としてこうなったなら良いと思うけれど、ちょっと元気過ぎない……?


 「絶対に勝ちに行くわ……」

 会場を睨みつける鈴音を隣にして私はどのように声をかければいいのだろう。話しかけづらい雰囲気だとは思うけれど、このまま会場に行かせたら大変そうだ。

 「鈴音ちゃん、お、落ち着いて?」

 松崎先輩が優しく声をかけると、鈴音はハッとして「ご、ごめんなさい……」と、苦笑いをした。苦しそうにしている様子が分かるけれど、本人にしか分からないことだし鈴音の事はパスをしよう。


 「桜咲学園のみんなー!」

 後ろから声をかけられて振り向くと、そこには優亜先輩、結衣先輩、柚葉、(確か)石原先輩、里見学園の先生2人の6人で来ていた。石原先輩に関しては合宿以来だから殆ど覚えていないけれど。

 「おはよー!」

 松崎先輩が挨拶をしに行ったので、私達もついていく。合宿の時に初めて会った時よりも緊張するのは気のせいだろうか。

 「今日は、決勝の舞台に上がってきてね」

 優亜先輩はニヤリとして余裕そうな態度を取る。その隣で控えめな態度を取っている結衣先輩も見ながら、「決勝に行けたら、この人達が相手になるのか……」と思う。

 「えぇ。必ず勝ってみせるわ!」

 松崎先輩も自信がある様子でいるが、どこからその自信が湧いてくるのかよく分からない。ただ、松崎先輩なら隣が私であったとしても、必ず優勝に導いてくれそう。


 「里見学園のアイドル部ですか⁉︎取材いいですか?」

 

 里見学園のところに大きなカメラや機材を持った取材陣のような人達が、わっと集まった。

 他の学校が取材陣に囲まれているから、前回大会の優勝校であり今年の優勝候補1位でもある里見学園には、それは多くの取材陣が集まることだろう。

 「みんな、また決勝で!」

 結衣先輩は里見の3人と顧問の2人(?)を連れて取材陣と共に向こう側へと向かった。その後ろ姿がカッコよくてつい見惚れてしまう。


 絶対王者のようなオーラが自然と出ているあの人達のところまで私達は上ることができるのか……。

 

 「よし、私達は予選に向けて気合い入れてくしかないね!」

 松崎先輩が私達1年それぞれと目を合わせて元気づけてくれる。どんな時でも、不安な時は先輩が元気づけてくれて私たちを成功に導いてくれた。

 

 いつまでも助けられてばかりだな……、私は。ならば、今日くらいは、松崎先輩に恩返しをしよう。


 そう決意して松崎先輩に大きく「はい!」とだけ返事をした。

最後の方、どうやって書けばいいか分かんないんだけど、と思いつつ、3月もあと少しだから急いで終わらせないといけないと思い、急いで書きました。


あと少しの間、よろしくおねがしいます。

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