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Guardian・spirit 〜ガーディアン・スピリット〜セカンド!!  作者: きつねうどん
battle9 勇ましい月
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「クローヴァ」の回想

今まで一度も自分が不幸な人間だなんて思った事なかった。


幼い頃に両親を事故で亡くし、姉と支え合って生きてきた。

シャトランスへの入学も姉が私の将来を思い提案してくれたものだった。

だが、私はこのスクールとしてふさわしくなかったのかもしれないと入学して気づいた。


初めての実技試験である「最初の試練」でまさか躓くとは思わなかった。

元々、グリフォンという私には大袈裟すぎる守護霊という事もありそれだけで恐怖していたが、武器もロケットランチャーと大袈裟過ぎたのだ。


使用するだけで大音量の爆発音が鳴り響き、心にも身体にも負担がかかり一回使用しただけでトラウマになった。

本当はこんな事したくなかった。

でも、姉の心を踏み(にじ)りたくはなかった。

自分の気持ちと姉の良心に挟まれ思わず涙をこぼしていた時、ガストンさんに出会った。


ガストンさんからアドバイスをもらい、その時に決心がついた。

自分は戦わなければいけない。ここから逃げられない。


多分、ガストンさんも勿論だが他の人だって同じ事を思っているはずだ。

でも私はそれに気づくのが遅かったし、決心するもの遅かった。


それは3edリーグに出るのを迷うまで続いた。

自分は誰よりも判断が遅い。

それがわかっているだけで御の字だった。

グズグズしてる私をガストンさんは背中を押してくれた。


「お前はただ実技をこなしてるだけで実力が測れねぇ、勿体ないだろ?一度大会に出てみろ、人生変わるかもしれねぇぞ?」

「貴方にそう言っていただけると、説得力があります。…いや、申し訳ありませんでした。自分で決めた事を貴方に言わせてしまった。私は自分の意志で大会に出ます。ありがとうございました。ガストンさん」

そう言うと、彼は微笑んでくれた。


私は恵まれていると思う、泣いている時に励ましてくれてその上でアドバイスをくれる。

大会に出るのを戸惑っている時に背中を押してくれる。


グリフォンと共に初めて見た200mの空は絶景だった。

これをいつまでも見ていたくて大会に参加していた。

特にチャンピオンリーグでの景色は最高だった。

大勢の観客を見下ろしながら、歓声を聞きながら自分でも嘘のように堂々と戦えた事は一生の思い出だ。

だが、そんな栄光もしばらくして突き落とされた。


プロムの次の日の事だ、元々この時からジンクスが噂されていたがその真実を目の当たりする事になるとは思わなかった。

皆、自分の故郷でそれぞれ暮らしていると思っていた私が間違いだったのだ。

全員、地下に取り残されているとは思わなかった。


地上から戦車砲の音がする。

攻撃をしてもそれがそのまま返ってくる。

地上に降りられないように地盤を不安定にさせられる。

転がり落ちた先には無抵抗で何もできない私に爪が振り下ろされる。


4対1これだけでも軽い方なのだろう。

5期生の4人はただじっと私が地下に来るのを待っていた。

本当は助けて欲しかった。

でも、皆さんの反応を見るに彼らもまた助けてほしかったのだろう。


誰が敵で誰が味方なのかは関係ない。

9人の仲間であり、敵である者同士が互いを潰し合っているだけなのだ。


四面楚歌、地獄絵図というのはこう言う事をいうんだろう。

動けない、辛い、でも戦わなければいけない。

もし、私がここにおらず他の学校に転校していればこんな事にならなかったのだろうか?


いや、だとしたら私ではない誰かが同じような目に遭っていただろう。

私はいい意味でも悪い意味でも選ばれた者なんだろう。

…なら、これでよかったのかもしれない。


その時、久しぶりに泣いた気がする。

捕まり、戦いを終えた解放感と後悔に苛まれていた。

どれだけ強くとも圧倒的人数の差には太刀打ち出来ない。

逃げたくても逃げられない。

圧倒的な絶望感に襲われた私だったが、まだ希望を失ってはいなかった。


こんな私達を救ってくれる、倒してくれる人がいつか現れる事を祈っていた。


だが手術の後、自分の顔を見た時初めて不幸だと思った。

私は感覚の一つを奪われた。

それを隠すように矛盾するがガスマスクをつけるようになった。

今までもフードや耳栓をしていたがこれまでと理由が違った。


怖い、見られたくない、隠したい。

人の顔を見なくない。自分の顔を見られなくない。

嫌な会話を聞きたくない。


だがそれにも限界がある。事実は受け入れなくてはいけない。

助けて欲しいと言う彼女の声を聞いた。

敵であるはずなのに、いつかは殺さなければいけない相手なのに何故か恨めなかった。


多分、過去の私も同じように誰かに助けを求めていたからかもしれない。


彼女は不思議な人だ。

同じドラゴニクヴァルガン寮の守護者として確かに誇りに思っていた。

しかし自分の代わりとなり不幸になるのは彼女だと、そう思っていた。


もしかしたら、心の中で何となく自分の不幸を誰かに押し付ける事はできないとわかっていたのかもしれない。

だから言った、彼女に「助けてくれ」と。

この声が願うかどうかはわからない。

でも、言葉は伝えなくては意味がないのだ。


私は祈る、それしか出来ない。

「クローヴァ」の回想を読んでいただきありがとうございました。

最近、下書きをする暇もなくてそのまま打ち込んでいるので、文字数とか少なくなってしまってるんですけど申し訳ないです。短い文章で完結に表現出来る事を目指しています。

守護者の最後の回想になるのでね、そんなに情報量もないんです。仕方ないね。

次はNo.34「急降下」をお送りします。

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