「クロフネ」の回想
キョウの兄貴は2次元ならいいけど3次元にはいて欲しくないイメージで書いています。
思ったより人間臭いキャラになってしまいました。
良く僕は優しい人と言われる人や物は勿論、動物にも優しいと。
でも、それは単なる思い込みだ。
本当の優しさとは何なのか?
自分では良くわかっているつもりだ、なぜなら僕自身は優しい人だとは思ってないからだ。
親切にする事でもない。甘やかす事でもない。
誰かの為に時間を犠牲にして、相手が良い人生を過ごせるように尽くす事こそが真の優しさなのだ。
そう考えると、僕は9割以上物事に対して興味がない事になる。
でもこれだけは自覚している。
僕はタマミを愛している。
愛しているからこそ、彼女に厳しく当たってきた。
両親よりも、それこそスポコン同等の物だと自負している。
周りから変人兄妹だと言われようが構わなかった。
ただそんな僕にも一つだけ弱点があった。
電気や草じゃなくて、相手の事ばかり考えすぎて自分の事を考えていなかった事だ。
それが原因かはわからないがシャトランスに入ったのも自分の将来の事を考えていなかったせいだろう。
僕が中学生の時、進学先について両親と話している時だった。
「ねぇ、キョウは英語得意でしょ?なら、それを生かしてみない?」
そう母から言われたのだ。
「生かす?何で、というかどうやって?」
そう首を傾げていると父が笑顔でこう言った。
「留学だよ。沢山の国の子供達が集まるインターナショナルスクールがあるんだ。キョウもタマミも霊感があるだろう?それも生かせると思ってね。いい学校を見つけたんだ」
と言われパンフレットを渡された、それがシャトランスだった。
「いいなー、お兄ちゃん。外国に行くのー?おみやげいっぱい買って来てねー」
「こらこらタマミ、お兄ちゃんは遊びにじゃなくて勉強をしに行くんだぞ」
「そうよ。ねぇ、一度考えてみない?寮もあるし、各国からきた同世代の子達と友達になれるのよ?文化や語学勉強にもなるし、どうかしら?」
そう勧められ、将来の事など何も考えていなかった僕は目の前の選択肢を否定する事も出来なかった。
いや、一つだけあった。しかも大事な事を忘れていたのだ。
顔を顰め否定の返事を返す。
「嫌だ、アニメがリアタイで見られなくなる」
その一言に両親は同じように顔を顰め始めた。
「録画しておいてあげるから」とか「アニメは外国でも見られるよ」と説得されるものの首を縦に振る事はない。
沈黙が続いていたが、タマミもシャトランスのパンフレットを見ており読みながらこちらに話しかけてくる。
「いいなー、わたしもお兄ちゃんと同じ学校に行きたい。制服選べるんだねー。でも、お揃いがいいなー。ねぇ、お兄ちゃん」
「まぁ、確かに」
愛しの妹に言われるとなんだか悪い気がしなかった。
仕方なく留学する事を承諾し、シャトランスを進学先として決めた。
別に自分の将来の為だし、妹の為じゃないんだからね。勘違いしないでよね!!(裏声)
そんな訳でシャトランスに入学した僕だったが、穏やかに過ごす事を望んでいた僕にはある壁があった。
それが、実技試験や大会など武器を使う穏やかとはかけ離れた行事の数々だった。
実技試験は仕方ないとして、大会そのものに興味のなかった僕だかそれを周りは許してくれなかった。
何か僕みたいに地味な武器だったらよかったものの、けい君と言う大きな鯨の守護霊を察すれば自ずと理解できた。
デカくて、鮮やかで綺麗でしかも強い武器を持った僕は友人を中心に大会参加を勧められていた。
しかもこんな人からも声をかけられたのだから断るにも断れなかった。
そう、シャトランスのガキ大将であるガストン君だった。
燕尾服を着る前はオレンジのパーカーを着てたし、絶対ガキ大将だって。
僕にはわかる。「俺の物は俺の物、お前の物も俺の物」とか言いそうだもん。あれ迷言だよね。
「おいお前、いい武器持ってんじゃねぇか。名前は?」
「スイゲツ・キョウですけど。(小声)何かようですか?あの、パシリなら何なりとお申し付けくださいガストン様」
「お前、大会に出ろ。お前ならあのジェーン・メイに勝てる。2edリーグは俺がもらういいな?」
「…は?いやいや、陰キャの僕が君達みたいな陽キャの人達と一緒の大会の出ちゃダメでしょ。何言ってんの?」
「お前みたいな奴が一番勿体ないんだよ。力はあんのに使わねぇ奴。ヴァンダの奴もそうだ。お前らそんなんでいいのかよ。4年間も日陰にいたらカビ生えるぞ。たまには大会に参加しやがれ。同じメンバーだと張り合いがねぇんだよ」
(うわぁ、ガチのガキ大将じゃん。やっぱり親がここの教師だと違うんかね。まぁ、エリート扱いされてその分プレッシャーに押しつぶされて裏では泣いてるとかありそうだけどさ。ギャップ萌えって奴かー。今度トワコ先生に報告しておこう。同人誌の参考になるかもしれないし。いや生モノはキケンじゃ…act)
「お前聞いてんのか?」
「ごめんガストン君!なんかごめん色々と…。えっと、大会に出ないのは他でもない僕が決めた事だからさ。余計なお世話って言った方がいいのかな?それに君は1stリーグの優勝な訳だしさ。自分で参加して優勝すればいいんじゃないかな?君はそう言うタイプでしょ?違う?」
「確かにそうだな。悪かったな、呼び止めて」
そのあとガストン君と別れるが、久しぶりの長い会話にコミュ症はついて行けず思わずため息をついてしまった。
原因は色々あるのだが、ここまで周囲から後押しされると自分が特別な人間に思えてくるのは何故だろうか?
喜んではいけない筈なのに「僕って案外凄いんじゃ!?」なんて内心では思っているのだ。
なら自分の事を決められない振りをして、勢いで大会に参加するのも悪くないと思った。…しかし、それは間違いだった。
僕は日影にいるべき人間だったのだ。それは決勝でわかった。
前回大会の優勝者であるメイさんとの戦いの最中こう思ったのだ。
このまま優勝したら目の前にいるメイさんと同じ事になると。
観客席に耳を傾けると僕を応援する人はいても、メイさんを応援する人は1人もいないのだ。
同じ生徒である筈なのにメイさんは敵扱い。
それに違和感と恐怖を感じた。
大会に興味はなくても決勝は中継という形で校内で流れていた。僕も見ていた。
その時はきちんとメイさんに対する歓声もあった筈だ。
それが1年の内に無くなった。
どうして人間はこんなにも心が移ろうのが早いのだろうか?
一歩間違えば自分も同じようになると感じた。
僕は怖かったのだ。期待されていたはずなのに大会が終われば見向きもされなくなる自分が、ちょっとでもいいから自分中心に世界が回ってくれたらいいなと思っていた自分が間違いだった。
僕は彼女にバレないように手加減をした。
このままメイさんを優勝させるように仕向けたのだ。
しかし、彼女は途中で気づき動きを止めこちらに近づいてくる。
「お前ふざけんなよ。誰が手加減しろって言ったんだよ。…もう帰る。こんなクソみたいな大会出なきゃよかった。アポロ戻れ、行くぞ」
『メイ落ち着けよ。まだ引き返せる。どんな相手でもお前が勝てば全部一緒だ』
「だから嫌なんだよ。結果しか見てない奴の前で試合しても意味ねぇだろうが!!」
そう言いながらメイさんは退場してしまった。
そのあとも僕はメイさんに酷い事をしてしまった。
自分の為に彼女にバッチを押し付けようとしたのだ。
周りから見れば勝利を譲ろうとした優しい奴に見えるだろうが僕はそんな奴じゃない。最低でクズな人間だ。
怖かった。誰かにこの役割を担って欲しかった。
しかし、案の定断られ視界にも入れたくなかった僕は実家にバッチを預けた。
もし、このバッチをつける時がきたらそれは自分の強さと弱さを受け止められた時だろう。
自分の弱さが招いた結果だ。
断る勇気ぐらい持ち合わせておけばよかったのだ。
そのあと、大会結果から寮長に抜擢され大会に参加する事もなくなった。
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「ん?何これ?」
自分のロッカーに何かが挟まっていた。
プロムの次の日の夜、指定の場所で待っていて欲しいという手紙だった。
場所はニンフスピアリ寮の湖だった。
なんだが胸騒ぎがした。
今になって何かが起こると言う事は、誰かが僕を監視しているのではないか?
今、このタイミングを狙っていたのではないかと、僕は何かに“選ばれてしまった”人間だと言うことを一瞬で理解した。
その指示通り待っていると聴きなれない大砲音が聞こえる。
場所はここではない。シルヴェスタアース寮だ。
嫌な予感が的中し、慌ててそちらへと向かう。
途中ジュリオ君やガストン君と合流し、辺りを見渡す。
すると、メイさんが4人の見慣れない生徒に囲まれていた。
良く見ればもう卒業しているはずの先代守護者の人達だった。
慌てて4人を巨大な水槽で閉じ込め、3人でメイさんの救出する。
しかし、巨大水槽も鏡で水を吸収され戦車や太鼓で打ち破られた。
武器が強力な上に連携が取れているそれ以上に厄介な物はないだろう。
まだ捕まえられそうな悪役令嬢みたいな女性を閉じ込めようとするが人気者らしくイケメン&ショタ3人にカバーされる。
乙女ゲーでもラノベでもありえない光景だ。
僕も応戦するが、あちらと違って僕達は連携が取れていなかった。
ガストン君が前線に立ち、僕が中間に入り皆んなの補助と防御を行う。
しかし、水槽は一箇所にしか設置する事ができないのだ。
中途半端は許されない。僕は全てを守りきる事は出来ない。
そのあと、シェパード先生の前でガストン君は捕らえられた。
僕の武器ではガストン君を守る事が出来なかったのだ。
辺りには砕け散ったガラスの破片が広がっていた。
仲間を守れない弱い自分はいらない。
後悔しかなかった。
でも、過去を変える事は出来ないのだ。
意気消沈する中、僕は捕らえられた。
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「貴方は目にしましょうか。ご婦人と同じ青い瞳ですしね。大丈夫ですよ。片目だけにしておきます」
「人体改造ですか?僕をこれからヒーローにでもなるんでしょうか?それとも魔眼持ちにでもなるんですか?もう特別な人扱いは結構です。…もうウンザリだ」
こうして僕は第二の人生を始めたのだった。
「クロフネ」の回想を読んでいただきありがとうございました。
こう書いていくとキョウのイメージがガラッと変わりますね。
「優しさ」をテーマにキョウと周りが思っている誤解を取り上げたなと思って書きました。
大会の雰囲気が最悪でしたけど、実際のスポーツもそんな感じじゃないかなと思いながら書いていました。
同じ物を見ていても人の反応は違いますからね。熱狂的な人もいればドライな人もいる。
こう書いているとメイが可哀想でなりません。本当に孤高という言葉が彼女には似合いますね。
でもシュンが何年もかけてメイと同じ場所に立ってくれたのでよかったかなと思います。
次はNo.26「パレット」をお送りします。
キョウ編の話数はまだわかりません。下書きもまだなのでね。




