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Guardian・spirit 〜ガーディアン・スピリット〜セカンド!!  作者: きつねうどん
battle6 鮮やかな月
31/45

No.25 僕の妹がこんなに強い訳がない

6月の満月の夜の事、準備を終えニンフスピアリ寮の近くに来た私は困惑していた。


「よし、これで準備OKだよー。カンナちゃんもちゃんと着て来てくれたんだねー、ありがとー」

「…ねぇ、タマミちゃん。何で水着を着ないといけないの」


「だってお兄ちゃん相手だよー?水槽の中に入ったら濡れちゃうし、コッチの方が戦い易いと思うよー」

「というか、肝心のお兄さんはどこに?あっ、いた!!」

湖の向こう側にじっとこちらを見つめるキョウさんの姿があった。

回り込むように私達もそちらに移動するが、気づいていないのか湖をじっと見つめていた。


「お兄さん大丈夫?片目しか見えてないのかな?私に反応してくれないよね?」

「お兄ちゃんなら多分、この湖だったら色違いがいそうとか考えてるとおもうよー」


「何でわかったんだ、タマミ!!というか、何だその格好は!!夏グラ先行実装!!タマミ、空気を読んでくれお前はそう言う可愛い水着じゃなくて競泳水着の方が似合う…etc(エトセトラ)」

タマミ&カンナ(絶句)


「2人ともゴメン。僕は戦いたくないんだ。けい君の物理攻撃の努力値も振ってないし、本気で戦いたいならまた今度にしてくれるかな?ね、いいでしょ?」

『タマミ、久しぶりだね。キョウってやっぱり面白いよね』


「面白いっていうか、変わってるよねお兄さん…」

「ねぇお兄ちゃんー。私達はお兄ちゃんを助けに来たんだよー。パパもママも心配してたよー?一緒に帰ろうよ」

そう説得するタマミちゃんにキョウさんは、悲しそうな切なそうな表情をする。


「それは自分が一番良くわかってるよ。タマミも悪かったね。でもさ、僕にも守りたい物があったんだ。…でも、それは出来なかった。僕が弱かったから、ずっと戦う事を避けてたからバチが当たったんだよ」

「そんな事ないよ。お兄ちゃんは強くて優しい人だよ。じゃなかったらチャンピオンリーグで優勝できてないし、今こんな所にいないもん。それにお兄ちゃんはずっと守ってきた。だってそうでしょ?私達と戦いを交える前までは皆んな無事だったんだもん」


「…そうだねタマミちゃん。あの、どうかタマミちゃんの気持ちを受け止めてはもらえないでしょうか?私達はキョウさんを助けにきたんです」

その私の言葉に反応し、キョウさんはじっと私を見つめてくる。


「タマミ、その子が理事長の娘さん?カンナさんだっけ?タマミとはどう言う関係なの?」

「親友だよー。カンナちゃんは理事長のしようとしている事を止めようとしてるんだよー。私もその手伝いをしてるんだー」


「そっか、タマミお前は気づいてないのかい?カンナさんがこのシャトランスでどう言う存在なのか。けい君、カンナさんを閉じ込めて。そうだね《山吹(やまぶき)》に顕現してくれるかな?」

「お兄ちゃん!?」


その次の瞬間、私を囲むように透明の立方体が現れ一気に黄色の液体に包み込まれる。

(何これ!?…体が痺れて動けない)


「タマミ、お前は騙されてるんだよ。考えたらわかる話だろ?理事長の娘なんだから仲間のフリしてお前も一緒に捕らえられる可能性だってあるんだよ」

「なら何でカンナちゃんは危険を犯してお兄ちゃん達と戦ってるの?もし、理事長に協力してたらそもそもこんな事しなくていいんだよ。カンナちゃんを解放して」


「…わかってないけど、戻すよ。けい君、戻って」

そのあと、水槽が解除され地面に突き落とされる。

タマミちゃんと一緒に海水浴に行ってから水辺は恐怖の対象になっていた。

キョウさんの武器は精神的にも肉体的にも相手を追い込むだろう。流石は守護者なだけある。

自分に戦う意思がなかろうと恵まれた武器を持っている事に変わりないのだ。


「やっぱりお兄ちゃんは優しいねー。信じてたよー、カンナちゃんを助けてくれるって」

「うん、お兄ちゃんは優しいからさ。タマミとカンナさんを一緒に閉じ込めておくよ。けい君、《葉(は)》で顕現して。これなら水中で呼吸も出来るし死にはしないよ。水でも被って反省しなさい!!」

と指を刺されてしまった。しかも何故か最後は裏声だし。


『キョウ、全然優しくないよ。もっと2人に優しくしてあげたら?』

「ダメだよけい君。僕はタマミの事を愛してるから厳しくしないといけないんだよ。甘えは優しさじゃないからね。そうだろ、タマミ?」

そのあと、タマミちゃんとキョウさんはお互い睨み合っている。


「カンナちゃん、私に捕まってて。クラゲさん、顕現して。絶対ここから出るからね、傘を回転させるよ!!」

その合図に合わせ、タマミちゃんに捕まり回転する傘を眺めていた。

すると中央に空洞ができ、まるで竜巻のように周りに壁が出来ていく。

それがいくつも重なり、外へ外へと水が押し出されていく。

次第に水槽がガタガタと揺れだし、切れ目が入りそこから水が溢れていく。


「す、凄いよタマミちゃん!!」

「えへへー、こんな時の為にシュン君と一緒に練習しておいてよかったー」

しかし、キョウさんは反対に顔をしかめこちらを睨んでくる。



「どうしてタマミはお兄ちゃんじゃなくて彼女の味方をするんだい?タマミは僕とカンナさん、どっちが大事なのかな?」

「どっちも大事だよー。私はどっちも救いたい。我がままかもしれないけどねー。でもこう言う時は欲張りでもいいと思うんだー」

その言葉にキョウさんはため息をつく。


「タマミはわかってないよ。両方っていうのは中途半端と一緒なんだ。僕はタマミに同じ思いをしてほしくない。だからどっちか選んで欲しい。僕かカンナさんか」

「だから、どっちもって言ってるでしょー。わかってないのはお兄ちゃんの方だよ」


「…そうか、タマミならわかってくれると思ったのに残念だ。けい君、タマミを《藤(ふじ)》で囲って」

『キョウ、《藤》は危険だよ。仲直りしよう?兄妹喧嘩はダメだよ』


「タマミちゃん《藤》ってなに?」

「私にもわかんないんだー、そもそもお兄ちゃんは水中で呼吸が出来る《葉》と通常の水である《藍(あい)》しか使ってる所見た事ないんだよねー。《山吹》も初めて見たし。…ちょっと危ないかもね」


「けい君、お願いだから言う事聞いて。三重の《藤》だよ。

水槽を修復、追加。中身を切り替えて」

その指示に合わせ、水槽が雪のように粉々になり、抜けだした私を無視して、タマミちゃんの元で水槽の破片が再構築されていく。

前よりもさらに分厚く、そして三重に囲まれた水槽の中に紫の液体が注がれる。

見た目から言ってどんな人でも脱出するのが無理だと言う事が一瞬で理解できた。


「何ですか、これ!?タマミちゃんは大丈夫なんですか!?」

「大丈夫な訳ないでしょ?《藤》は毒の効果があるんだ。一定の水を体に取り込んだら致死量に相当する。優柔不断で僕も君も救おうとするからだよ。さぁ、どうするタマミ?降参するかい?」

と優しくキョウさんはタマミちゃんに声をかけるが口を抑えながら首を横に振る。


多分、キョウさんはわざとタマミちゃんに対して厳しくあたっているのかもしれない。

仲間を守れなかった自分と彼女を重ねて自分と同じ思いをして欲しくないと、救うなら確実に助けろと、そう言いたいのだろう。


キョウさんの優しさは甘やかすのではなく、厳しさで出来ているのかもしれない。

だって人のために怒ったり注意しようとする人の方が少ないから。

キョウさんなりのタマミちゃんに対する愛なのかもしれない。

一人っ子の私にはなかなか理解する事は難しいけど、そう言う関係は羨ましいと思う。


「キョウさん、貴方は妹思いの優しくて素敵なお兄さんですね。タマミちゃんの事大切に思っているからこそ厳しくしてるんですよね?」

「…確かにそうだけど、これは独りよがりの行動だよ。タマミも君も周りも僕が悪い奴だと思うならそれでいい。君はどうする?僕を止めるかい?今の僕は丸腰だよ」


「確かにそうですね。でも、少し待ってください。貴方のおかげなんです。タマミちゃんが強くなろうと思ったのは。タマミちゃんならきっとここから脱出してくれます。だから、親友として私は見守ります。だからお兄さんも待っててくれませんか?ほら、甘えは優しさじゃないんでしょ?私を信じてはもらえませんか?」

「ううん、確かにそうだけど…えっ!?」


どこからか、風が吹いてくる。

その方向は水槽の中からだった。

先程の竜巻とは違うまるで大きな台風や嵐のような物が水槽の中に閉じ込められているようだった。

しかし、発生源は彼女だろう。


キョウさんと2人で水槽を見つめていると、厚い筈の水槽が紙のように糸も容易く割れていく。

ヒビを割るのが精一杯だった先程の物とは大違いだった。

「ピキピキ、ガチャン!パリンッ!!」これが3度続いた。

水槽から脱出した彼女は笑顔で優雅に着地をしていく。

風を操れるようになったらしい。


「ありがとー、カンナちゃん。私を信じてくれて」

『グサ、グサ、グサ』


「三重の水槽を破るなんていったいどんな力を…はっ!?」

そう、お兄さんも気づいたがタマミちゃんが握っているのは傘ではない。

お兄さんがきっかけとなり「繰り上がり」を果たしたのだ。


三重の水槽を打ち破ったのは同じく3つの槍を併(あわ)せ持つ武器、三叉槍(さんさそう)それに風や水を操る能力も持っているそれを踏まえてギリシャ神話の海の神ポセイドンがもつトライデントと言った方が正しいだろう。


「カッコイイね、タマミちゃん!!」

「ありがとー、カンナちゃん。これでカンナちゃんとシュン君私、揃って純性の武器になれたねー。ねー、お兄ちゃん。私達と戦ってくれる?新しいこの武器で、守護者であるお兄ちゃんの本当の力を私達に見せてよ」


「ファー!!(^O^)僕の妹がこんなに強い訳がない。(タイトル回収)いや、でも妹、弟キャラのほうが大成するのは確かか。もうこうなったら、ばっちこい2人まとめて相手になってやる!!」

『キョウ凄いテンション高いね。僕も頑張るよ!2人とも負けないからね』


No25を読んでいただきありがとうございました。

キョウのネタ全部わかった方います?作者の趣味で選んだので好き勝手やってしまいましたが大丈夫かな?

まんま出しちゃった物もあるので危ない橋を渡っているかもしれません。しょうがないね。

書いてて楽しかったです。なかなかギャグ要素入れられなくて作者も暗い気持ちになっていたので6のキョウと7ジュリオはギャグ要員にする予定です。

温度差が凄すぎてグッピーが死にそうですけどね。飼っている人はご注意下さい。

次は「クロフネ」の回想をお送りします。

黒船は幕末に現れたペリー提督率いる艦隊や船を示す物ですね。以前にも同じような物が日本にはやって来ていたそうですが有名なのは幕末の物ですね。

その停泊地が水月兄妹の出身である神奈川県です。横須賀市の浦賀なので鎌倉ではないんですけどね。

鯨とも関係があるので選びました。

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