No.21 唯一の手掛かり
「カンナ殿、相手の隙を作るでござる。そうしなければ勝ち目はないかと!!」
「わかってる!!でも、無限回廊が解除出来ないの。4つ目の鏡はどこ!?」
隠している鏡はこれで4つあるはずだ、最初に破壊した着物の裾にあった鏡と、万華鏡の時に使っていた反対側の裾に隠した鏡、もちさんが持っていたのもそうだ。
あと一つはどこにある?
「娘、どうした?何もして来ないのか?大人しく負けを認めろ。その方が楽になれるぞ」
「いえ、絶対に諦めません!!…あれ?ウサマルさん、バッチはどうしたんですか?私と同じく髪飾りにしてましたよね?もしかして…シュウマ君バッチを破壊して!!」
「やれやれ、カンナ殿は人使いが荒いでござるな。誰に似たんだか!!」
「そうはさせるか、反射せよ!!」
(よし、上手くシュウマ君に気を逸らせた。これならいける!!)
シュウマ君の引きつけもあり、私は見えていないであろう左目側から攻撃を仕掛け首元に剣を突きつける。
「ウサマルさん、もう争うのはやめましょう。私達はただ貴方達を救いたいだけなんです」
しかし、その言葉をウサマルさんは無視し、真っ直ぐ何かを見つめている。
そのあと、顔が青ざめていき鏡を地面に落としている。
「皆さん、こんばんは。お取り込み中、申し訳ないんですが出張用の飛行機に来ていただいているんです。着陸できないので場所を移動していただいても構いませんか?」
その声の方を見ると、何故かペルケレ先生が無限回廊の中におり私達に近づいてくるがウサマルさんだけ遠ざかろうとしている。
「こっちに来るな!!俺を地下に捕らえるつもりだろう、ニホンに帰してくれ!!」
「私としてはどっちでもいいんですけどね。ケンシロウが使いたいと言うので協力しているだけですし。申し訳ありませんが、無限回廊と武器を全員解除させていただきますね。危ないですから、ここは平等にいきましょう。守護霊の皆さん全員戻って下さい」
その言葉の反応し、八咫烏さんも自来也さんも、もちさんも全て霊体に戻ってしまった。
「お前のせいだ。お前のせいで3人を捕らえ損ねたんだ!!お前はここで神様にでもなるつもりか!!ペルケレ校長!!」
「私は神様にはなりませんよ。所詮は人の子です。私の目標はどんな事でもいいから1番になる事ですから。ニホンに帰りたいとおっしゃるなら帰って頂いても構いませんよ。私には守護者にこだわる理由はありませんから」
「嘘だ!!嘘だ、嘘だ、嘘だ!!そんな事を言って俺をバッチで監視するつもりだろう!!あの時何故殺さなかった。貴方なら俺を殺せた筈だろう」
「いえ、殺してしまったら守護霊が霊界に戻ってしまうでしょう?あの時、鏡の中には人がいました。そのまま消えてしまったら困ります。基本的な知識ですよ。それに許しませんよ、私の目の前で人が死ぬ姿はもう見たくありませんから。結構トラウマになってるんですよこれでも」
「あ、あのペルケレ先生。えっと…」
「どうしましたか、カンナさん?ゆっくりでいいですよ、何か話したい事でも?」
ペルケレ先生に近づきパクパクと口を動かすが言葉が出てこない。
もう何を話したらいいのかわからないのだ。
彼のコートの裾を掴み何か訴えようとするものの何も出てこない。
自分の身近にいる人の知らない一面を見てしまった衝撃からだろうか?
しかし、いつも通り優しい笑みを浮かべるペルケレ先生と変わらない。
普段通りの先生なはずなのに何故か恐怖心が込み上げてくる。
言い知れない恐怖を感じた。
「カンナさん、その手を離してもらってもいいですか?私、女性が苦手なもので触れられたくないんですよね。トラウマになってるので」
その言葉に自分とペルケレ先生の間に距離感を感じた。
でも、その言葉に疑問を感じている自分もいた。
もし、ペルケレ先生が豹変した訳ではないとしたらちゃんと答えてくれる筈だ。
「じゃあ何で私を助けてくれたんですか?寮決めの時もクラーケンに襲われた時もペルケレ先生は助けてくれました」
「…何なんでしょうね。体が咄嗟に動いてしまったのかもしれません。カンナさんはレイカさんに良く似ていますし、同じようになってほしくない。失いたくないと思ったからでしょうね」
なんだろうか、この違和感は?
ペルケレ先生が何か隠し事をしているようには見えない。
むしろここで全部話して下さいと言ったら一から十まで教えてくれるだろう。
しかし、今の自分にはそれができない。
それにまだやるべき事もある。
話を聞くのは今ではないのだろう。
「…ありがとうございましたペルケレ先生。色々と答えて下さって」
「今日はもう無理ですがまた話をしたくなったら気軽に話しかけてくださいね。触れられなければ大丈夫だとは思いますので」
その言葉に苦笑いするしかないが、そのあとシュウマ君の大声が聞こえた。
「ペルケレ先生、カンナ殿、ウサマル殿が!!」
私達から離れるように猛ダッシュで何故か海の方へと向かっている。
「こんな所にいるより死んだ方がマシだ!!この島から抜け出すにはこうするしかない!!」
「確かにウサマルの言う通りですね。島にいてもこうやって戦わせられますし、海に行けばいつかニホンに帰れますからね」
「ペルケレ先生、関心してる場合じゃありません!!ウサマルさんを追わないと!!」
しかしウサマルさんの逃げ足は早く私では追いつけない。
シュウマ君が先頭となって追ってくれているだけありがたい。
半狂乱状態になっているのか、叫んでも何も反応してくれない。
次の瞬間ウサマルさんはフェンスを飛び越え姿を消した。
恐らく海に飛び込んだのだろう。
マルソさんの事もあり嫌な予感しかしない
「ウサマル殿、これに捕まれ!!」
とシュウマ君がフェンスの隙間から手裏剣を投げ、彼を引っ張るようだ。
「ウサマル、それに捕まった方がいいですよ。武器の解除はさせませんから」
「ペルケレ先生は黙ってて下さい!!余計ウサマルさんが怯えますから」
「…そうですか」
ペルケレ先生は本気でウサマルさんを助けようとしているようだが相手はそうではないのだ。
手裏剣を手にするウサマルさんに安堵したのも束の間、悲劇が起こった。
「ありがとう、俺を助けてくれて。俺を救ってくれてありがとう」
その次の瞬間、私達の目の前で片方の右目を抉り始める。
「ウサマルさんやめて下さい!!まだ助かります。上がってきてください、治療しないと!!」
「助かる?治療?あの医者のところに行くのか?嫌だ!!嫌だ、嫌だ、嫌だ!!もうあの教祖と一緒にいるのは懲り懲りだ。頭がおかしくなる!!」
「ウサマル、頭がおかしくなってますね。どうしてこうなってしまったんでしょうか?」
「多分どころか確実にペルケレ先生のせいでござるよ。先生はこのままそこに、救急の手配をお願いするでござるよ」
「私達は海に行ってウサマルさんを救出してきます。行こう、シュウマ君」
そのあと、海へと飛び込み手裏剣についた紐をウサマルさんにくくりつけ救出したが目の傷が深いようで失明は免れないだろう。
「2人ともありがとうございます。ケンシロウを呼ぶのがいいのですが嫌だと言われてしまいましたのでハワイにある病院に頼みましたよ。ドクターヘリも来るようです」
「ありがとうございましたペルケレ先生。…本当にこれで良かったのかな」
そのあとわざわざ仕事をキャンセルしてペルケレ先生はヘリが来るまで待っていてくれた。
父に電話をしながら応急処置をしてくれたようで、目以外の外傷は治療できただろう。
ヘリにウサマルさんは乗せられ病院へと向かった。
ペルケレ先生はついていくと言っていたが私達が止めた。
後日お見舞いをしようと思う。
こうして、不思議な4月の満月の夜が終わりを告げた。
No.21を読んでいただきありがとうございました。
やっとこれでウサマル編は終わりですね。
なんか第2部になってからまともに戦闘描写が出来なくて申し訳ありません。
演出を優先して書いてしまったいるので閃いたシーンをドンドン入れてます。
風呂の中で考える事が多いですね。結構いいアイデアが出たりします。
ペルケレについてですが、最初から男子生徒は呼び捨てで女子生徒は〜さんと言って距離感があったのでペルケレは色々バックグラウンドを考えていますが女性が苦手としています。
作者の中でペルケレは独身だろうなという考えがあったので未婚の理由づけが欲しかっただけです。
ペルケレはお喋りさんなのでカンナちゃんが言っていた通り隠さずベラベラと喋ってくれますが今はここまでです。
思ったより第2部でペルケレを早く出し過ぎてしまったのでちょっと調整したいなと思っている所もあります。
ここでストップをかけてまたプロットを練り直したいですね。ゆうて3部と4部ですけどね。
2部はこのまま行きたいと思います。
勿論過去の話と矛盾しないようにするので気になる人物のセリフはちゃんとチェックしてします。
次はNo.22「決闘」をお送りします。




