No.16 散る薔薇のように
戦う為、手甲鉤を片手で握りしめるが目の前にいる2人は取っ組み合いになっているようだ。
シャンランさんがルイスさんの襟元を掴み何度も涙目になりながら訴えているのだ。
「ルイス、お前自分が何をしたのかわかってるネ!!取り返しがつかないんだヨ!!」
「わかってるよ!!だが、こいつらのやった事を考えれば俺たちと一緒だろ。俺たちが止めねぇとカンナを失うかもしれねぇんだぞ!!」
その言葉に彼女は目を見開き、武器を持ち私と対峙する。
「…わかった。ルイスお前は強いヨ。中途半端は我よりずっといいネ。仲間を守らないと。失いたくないのは私も一緒ネ」
彼女は自分の意思を固めたのかじっと私を見つめてくる。
「おい、一つ聞いておきたい事がある。ジャンヌ、お前はカードキー持ってんのか?」
「カードキー?えぇ持っていますけど…。もしかして貴方達、地下に行くつもりですの!!そんな事絶対にさせませんわ!!」
地下に行かれたら皆に危険性が及ぶ。
それこそ、これまでの努力も無駄になる。なんとか食い止めないと。
「そ、そんなものここに来る前に捨てましたわ」
「絶対持ってんだろ。おい、シャンラン。カードキーを奪うぞ。協力してくれ」
「了解ヨ」
絶対に逃げ切らないと、片腕だけでは不利だ。
なら戦ってないで、逃げる事に専念した方がいい。
「サフィール戻って、ここから逃げますわ!!」
「守護者様が逃げるなんてな!!シャンラン追うぞ!!」
腕を抑え、地下を目指して逃げる。
相手はカードキーを持ってない、だから欲しいのだ。
それにDr.の治療を受けられるかもしれない。
しかし、腕が無くなった事によって体の重心がおかしくなりいつも通りに進めない。
「シャンラン、相手を拘束してくれ。捕まえる。無理して傷つけなくていい」
「悟空、拡張するヨ!!ジャンヌを押し倒すネ」
不思議な赤い棒に押し倒され、麗しい顔が地面に抑えつけられる。
その痛さと怖さに思わず涙が出てしまった。
痛みが全身を伝い、激痛に変わる。
いや元々腕を無くしているのだ、恐怖を感じた今こうして痛みが現れたのだろう。
「…いやだ、いやだ。怖い、助けて、助けて!!誰か!!」
子供のように蹲り、相手に懇願する。
この戦いをやめてほしいと、助けてほしいと。
その言葉に彼女は武器を収め、私の近くに来て声をかけてくる。
「ルイス、ジャンヌの治療をするヨ。今でもかなり出血してるネ。これ以上出血したら命の関わるヨ」
「おい、ジャンヌ。今、カンナの親父はいるか?カード持ってんだろ。貸せ、お前はここを動くな。俺が連れてくる」
「…ポケットにあります。欲しいなら…勝手に…」
そのあと、ブチンと意識が途切れた。
「やばいよルイス。お前ならあのマッドサイエンティストに会えるネ。頼んだヨ!!」
そんな小さな希望を持ちながらも息が途切れそうになる。
でもいいような気がした。それで罪が償えるのなら。
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「おい、ジャンヌ。意識はあるか。あるなら左手を動かせ」
その聞き慣れた声に安堵し、手を微かにだが動かす。
「Dr.ヤシロ、彼女は助かるか。…すまない。シャンランの言う通りだ。俺は…」
「後悔するなら悪い事ではない。自覚があるだけで十分だ。かなり出血している。良く動けていたな、アドレナリンの影響か」
そんな事をブツブツと言いながらも淡々と処置してくれる。
しかし、Dr.の白衣を掴み止めるように促す。
「…2人は逃してあげて下さい。…命を…助けてくれた恩人…ですわ。ルイスさん…カードは任せます」
その言葉に彼は涙を流しながら私に話かけてくる。
「やめてくれ、もう女性が死ぬ所はみたくないんだ。何度でも謝る。だから生きてくれ」
「…そう」
そのあと、白衣から手を離し全身の力が抜けた。
楽になれたのだ。これでやっと…救われる。
「ジャンヌ、お前は良く頑張った。私が彼女を連れていく。安心しなさい。頼まれたんだ、この子達を母国に返して欲しいと。ご家族は悲しみだろうがな」
『…Bien sûr』
(当然ですわ)
No.16を読んでいただきありがとうございます。
本当はもっと演出入れようとかなと考えていたんですが、ほとんどルイスにヘイトが向きそうな物になってしまったので変更しました。
このスクールの子達は基本的にいい子なのであまり悪者扱いしたくないので難しいですよね。
キャラクターが死ぬ理由とか、逆に殺す理由もですね。
ちなみに初期段階だとルイスにジャンヌの首を切ってもらおうと考えてましたがよく考えればオーバーキルなのでやめました。
次はNo.17「カルテット」をお送りします。




