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8話 決意と戦闘訓練

本日2話目です。

ブクマと評価頂きました!

すごく嬉しいです!



最後の集会の帰り道、進まない足取りが二人。


僕とマルルは何も言葉を紡げずにいた。


マルルのぐすっぐすっと鼻を啜る音だけがやけに耳に残った。


僕は村長の話を聞いたことである程度固まっていた方針を確かな目標にするべく決心した。

それが二人の帰り道での初めての言葉になる。

脆弱でか細い声だったのでただの独り言のように。



「僕は・・・冒険者になるよ」



「えっ?」


真っ赤に腫らした愛嬌のある丸い目をして聞き返す。



「その為には僕は強くならないといけない」


僕の決意表明は続く。


「魔物を倒せるくらい強くなって・・・僕の目の届く範囲だけでも守ってあげられる人になりたい」



そこまで聞いたマルルは先程の話との結びつきを理解し、「うん」とだけ言って頷いた。



外はもう夕焼けが半分落ちかけている。

直に夜が訪れる。


それがなんだか哀しいことだと僕は思った。

早く明るい陽射しで僕の周りを照らしてほしいと願った。



カレンにとってのビーターはそういう存在だったのかな、と。




家に帰ると両親に話があるとテーブルの椅子に座ってもらい、姿勢を正して冒険者になることを告げた。

もう形振り構っていられない。

そんな意思表示になったこともあり、大きな反論もなくいくつかの確認だけで理解してくれた。


父さんも母さんも僕のことを大事に思ってくれていることが良く分かったし、本当に精一杯育ててくれたんだな、というのが両親の涙を見て心が満たされた。



明くる日、早朝から村の門を通って外に出た。


今日は父さんが非番の日ということもあり、一緒に戦闘訓練をしてくれることになったのだ。

強くなるためには日ごろの鍛錬も大事だがやはり魔物との戦闘がLVも上がって効率が良い。


そして村を出る許可を貰うために村長へ通門証の発行をお願いしてくれるということなので明日からは自由に出られるだろう。



今の目標はまずはとにかくLVを上げて、その次にカレンの父親を倒せるくらい強くなることだ。

どれくらい強いのかは分からないけど今は自分のことに集中するつもりだ。


それを次の冬節までに達成して僕はこの村を出る。


そうなったらみんなともお別れだな。


マルルとも・・・




父さんと草原を進み、1時間ほど小走りしたら森についた。


「いいかポーツ。ここは弱い魔物が多いが群れで襲ってくることもある。まずは父さんのそばで戦い方を学ぶんだ」


「わかった」


父さんは僕がまだ一人で魔物を倒していたことを知らない。

とは言っても倒したのは川から這い上がろうとするウルフと角ウサギくらいだから偉そうにも出来ないので黙っておいた。



森に入ると生物の気配が肌を刺してくるように緊張感がぐんと増した。


いつ魔物が襲ってくるかも分からないので視界に入る全てを注意深く観察して父さんの跡を辿る。


「ぐぎゃぎゃ」


まだ数十メートル先だが緑色の小人が木の棒を抱えてこちらに走ってくる。

それも始めから2体だ。


父さんはミドルソードと鉄の薄い盾を身につけている。


まずは一体に盾で牽制しつつ、片割れに剣を薙いだ。


腕が吹き飛び、痛そうに悶える緑色の生物。



「ポーツ!こいつの止めをさせ!」


「はい!」


父さんの指示のもと、ショートソードで息の根を止める。

僕が剣で攻撃しているうちに父さんはもう一体をすでに制圧していた。


「ポーツ、こいつもだ」


僕は言われるがままに剣を突き刺して(父さんとの)初めての戦闘にケリをつけた。



「この緑の奴は小ゴブリンだ。もう少し大きいと中ゴブリン。その上がホブゴブリンってのがいる。この森でもホブゴブリンクラスが出てくることがあるから気をつけるんだ。こいつの数倍は厄介だからな」


僕は小ゴブリンなら一人でもなんとかなりそうな気がしたけど油断は禁物だ。

ホブゴブリンってやつは今の僕ではまだ倒せないかもしれないし。



次は斑模様の大きなネズミが現れた。

今回は1匹だけだけど口からはみ出る尖った2本の歯は凶悪な見た目だ。


「こいつは斑ネズミ。噛みつかれなければ大したことはない。手伝うからポーツが攻撃して倒せ!」



普段の父さんと比べれば幾分か厳しい口調で何とも頼もしいことか。


期待に応えられるように僕はその後も必死で剣を振り走り回った。




十数匹という戦果を挙げたところで今日の戦闘訓練は終了した。

父さんの助けもあってか小さな擦り傷くらいで済むことができた。

これなら帰ってから『ローヒール』ですぐに完治するだろう。


村長の家に寄って僕が冒険者になることを話したら何か察するところがあったのか少し目が潤っていた。

冒険者になるという僕の希望に反対するどころか「頑張るんじゃぞ」と背中を押してくれた。


最後は老人のボヤキだと前置きをして、

「命を大事にの」と皺くちゃな顔でさらに皴を作って微笑んでくれた。



家に帰ってから僕はステータスを確認した。



■■■■■■

☆ポーツ

LV5(+2)

基礎体力 18 ⇒ 20

身体筋力 16 ⇒ 18

保有魔力 12 ⇒ 16

精神知力 10 ⇒ 14

天運気力 16 ⇒ 18

創造器量 11 ⇒ 13


スキル:算術LV5(3)、剣術LV0、属性魔法LV0、治癒魔法LV0、細工LV0、隠密行動LV0

■■■■■■



2つもLVが上がっていた。

それに隠密行動という新たなスキルも項目に増えていた。

これはたぶんコソコソと村を抜け出たり雑貨屋に行ったりしていたからかもな。


行動に沿ってスキルが発生していくということで僕の仮説は正しいと思っていいだろう。


とりあえずは全て個体LVに振っておくことにした。



◇◇◇◇



翌日以降は今まで育ててくれた親孝行として朝早くから畑仕事を済ましてから一人で森へ行くことにした。


父さんに聞くとゴブリン系は使える素材もないから持って帰ってこなくていい、その代わりスライムとか斑ネズミの歯やウルフの皮と肉、角ウサギは角と肉が買い取ってくれると教えてもらったので少し大きめのカバンを肩に掛けて魔物退治をすることにした。



数日森での魔物退治をしているとLVの上りが悪くなった。


現在LV9+9の合計LV18まで強くなっている。

もしかしたら父さんのLVを超えてしまっているかもな。


それでもまだカレンの父親・・・冒険者のLVまでは達していないと思う。

本当なら他のスキルにも振っていきたいんだよな。



そんなことを考えながら森の奥地まで足を踏み入れていくと、深い緑色をした大きな塊を見つけた。


あれはなんだろう?動いているからゴブリンかな?


よく目を凝らして観察してみよう、と思った矢先に



バキっ



しまった!木の枝を踏んでしまったようだ。

慌ててゴブリンらしき緑色を確認したがすでにその場には居なかった。


あれ?どこに行った?

思わぬ展開に冷や汗がたらりと流れる。



どんっ!



いつの間にか後ろに周り込まれていたのか完全な不意打ちで攻撃を喰らってしまった。


背中に鈍痛が響く。


だが悶えている場合じゃない。そんな時間があったら目の前の敵に向かって武器を構えろ!

僕は一人で森に入るようになってから、厳しい口調の父さんの幻影を師匠のようにして自分を鼓舞する癖がついていた。


そのおかげもあって、苦しい状況下でも諦めることなく立ち向かうことができた。


剣を構えて相手を見据えると、2メートルはあるかと思われる巨体でガタイもいい。

ジャングよりもガタイが良く見えるなんて相当の膂力を持ち合わせていると推察できる。



しかもその図体のくせして動きが俊敏だ。

両手を胸の前に構えて拳を握る姿はまるで格闘家のようにも見える。



こいつが父さんが言っていたホブゴブリンだな。



幸い刃物は持ち合わせていないので剣を持つ僕に分がある。

それでも腕の長さを鑑みればリーチは五分といったところか。


冷静に状況判断をしてみると中ゴブリンよりでかいだけじゃないか。


そう結論づけた。



相手の動きを良く観察してみると前後左右の動きは素早いが、動き方が単調だと分かる。


拳を繰り出してくるが、横に動けば大した脅威ではない。

僕が仮にLV1だったらすでに高速のパンチで捉えられていただろうけど。


攻撃を躱し攻撃をする。

さすがに中ゴブリンよりも皮膚が固く致命打にはならなかったが、何度も繰り返し切りつけると動きが鈍くなっていき止めを刺すことができた。



ふう、一時はどうなることかと思ったがなんとかなった。


安心して一呼吸つくと体が軽くなった。

これでやっとLV10になったんだと実感し、ステータスを確認すると驚きを隠せなくなったのだった。



続きが読みたいという方はブクマ、評価をお願いします。

誤字脱字など教えて頂けたら助かります。

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