7話 ビーターと・・・明かされる村の闇
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5日に1回の村長による子供たちの集会。
僕たちの世代にとっては最期の集会だ。
成人になれば簡単には集まることが出来なくなるので成人の儀後の集まりが実質の卒業式であり、決起会である。
「やー、みんな、これで集会がなくなると思うと寂しくなるねー」
いつものようにヘラケラが口火を切る。
「べっつにー。どうせみんなこの村に残るなら今までと大して変わらないだろ」
ネオスはどこか斜に構えた発言で返すが、言葉からは村に残ることが垣間見える。
「別に寂しくはないわね。レイは毎日寂しくて泣くと思うけど」
「別に寂しくなんてないよ。ライがいるし」
「っ!!??」
レイの普段とは一味違う返答にライは驚き言葉を失う。
レイも成人して変わったということなのだろうか。
「私はこの村を出るわ」
自己主張のはっきりしているアネットは未練もなさそうに将来の方針を簡潔に語る。
「なんだとっ!?」
それに一番大きく反応したのはガキ大将のジャングだった。
「なによ。何か文句でもある?あんたには関係ないでしょ」
「・・・そうだな」
いつものジャングなら強い口調で口論に発展するところだがこれまた意外な反応を示す。
「なんかみんないつもと違って面白いね」
マルルは引っ込み思案な性格なので僕にだけこそこそと話してくるのは変わらないな。
「さてさて、今日でお前たちとの集会は最期じゃったな」
村長が僕らの雑談の合間を縫って進行を始めた。
いつもならたわいもない会話が続いてしまうのだが大人の一員となった自覚からか、全員が村長の言葉に耳を傾けた。
「ほっほ、よろしい。おぬしらの世代は確か全部で10人じゃったな。最後まで集まってくれたのは8人かの」
村長は遠くを見つめて少し哀しそうな雰囲気を醸し出す。
そう、ここには8人しかいないのだ。
ビーターが居ないのは寝坊でもして遅れているのか、だれも心配していないが、僕らの世代には実はもう一人いたんだ。
その子はカレンという素朴な女の子で噂では親から虐待を受けていて、いつからか集会にも現れなくなった。
確か集会に来ていたころはビーターとも仲が良かったように記憶している。
もう何年も前のことだし、もともと印象の強い子ではなかったのですこしずつ頭の片隅から抜け始めていた。
「あれからじゃの。ビーターが変わったのは」
ビーターが変わった?
村長は村の世情についてあらかた耳にしているはずなので、僕たちが知り得なかった何かを聞かされるのではないかと身構えつつも知識欲もあったので気持ち前のめりになった。
「成人したお前たちには事の真相を話しておくかの。他言はするでないぞ」
その後に続く村長から聞いた話の内容は自分たちの想像を超えていた。
女子たちは目から涙をこぼし、僕たち男どもは唇から血がでるくらい噛みしめていた。
村長曰く、カレンは小さいころにお母さんを亡くしており、その頃から父親に強く当たられていたそうだ。
それは暴力はもちろん、カレンの尊厳を失うほどのことを毎日のように受けていた。
それでもカレンが折れなかったのはビーターの存在だった。
ビーターは本来明るく優しい性格で、カレンの支えとなるべく毎日助けに行っていたのだ。
そうしていくうちにカレンの父親はビーターを使い勝手のいい子分のように扱い始めた。
言うことを聞けばカレンへの暴力はしない、そう約束されていたので力でも立場でも逆らうことのできないビーターはカレンの父親の言うことを聞くことしかできなかったという。
そしてカレンは今では家に軟禁状態にされており、村人もカレンの父親の粗暴に苦慮していて抑え込むことが出来ないでいるのだった。
ビーターが約束の時間を守れなかったのはカレンの為に動き回っていたからだったのだ。
それを聞いた僕たち8人は神妙な顔つきで重たい何かを背負わされたように肩を落とした。
「俺がカレンの父親をぶっ飛ばしてやる」
ジャングは仲間の為ならば、と立ち上がる。
ネオスはそれを聞いて「やめときなよ」と抑えようとするが、
「お前は悔しくないのかよ!」とジャングに叱咤される。
「ジャング、気持ちは十分だがやめとくのじゃ。カレンの父親はかつて冒険者をしていた。倒すことは敵わんじゃろうて」
冒険者とは魔物と戦うことでLVを上げた存在、つまり冒険者の戦力は村で平和に過ごしてきた僕たちとは次元が違うと村長は説明した。
最後に付け足すように、
「お前たちは村の宝じゃ。むやみに手を出して命を無駄にするでないぞ」
そう締めくくって最後の集会は終わった。
想像していた湿っぽさはなく、どす黒い村の羞恥を知って8人は重い足取りでそれぞれの道へ散っていくのだった。
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