9話 足し算 引き算
本日3話目です。
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ステータスを確認した結果、神様に授かった恩恵『算術』スキルが別のスキルに変わっていた。
これは一体なんなのか。
スキルを確認したいと強く念じてみると、
【 加減算術 : 一定の条件内で特定の数値を加算及び減算することが出来る。変動値=10 】
この説明を見る限り加算っていうのは足し算のことだよな?
それなら今までと変わらない。
じゃあ減算っていうのは・・・引き算?
自分のステータスの数値を引いてどうするっていうんだ・・・
変化があったのになんだかあまり嬉しさを感じなかった。
ホブゴブリンとの戦闘で緊張感があったこともあり、僕は森を出て家に戻ることにした。
道中ウルフとか小ゴブリンと何度か遭遇したので切り倒しながら戻るとカバンの中に納まらないほどの魔物の死体が溢れていた。
LVが上がった効果で荷物は嵩張るが持てない重さではなかった。
雑貨屋へ持ち込み、すでにカウンターを陣取るヘラケラに今日の収穫を渡す。
「ポーツ今日もたくさん持ってきたねー!それにしてもすごいじゃないか」
「スキルのおかげだよ」
間違ったことは言ってないが、ヘラケラにはどんなスキルを貰ったかは伝えていない。
「そろそろ教えてくれてもいいだろー?なっ!誰にも言わないからさ!」
僕は決してヘラケラには教えない。
だってめちゃくちゃ口が軽いからね。
まだ僕たちが小さい頃、「マルルはポーツのことが好きらしいよ」なんて言いふらしたもんだから泣き出したマルルを宥めるにも気まずくって暫く顔を合わせられなかったこともあるんだ。
それだけじゃない。
ジャングの悪戯をジャングのおばさんに口を滑らせて大目玉喰らっていたし、まぁあの時はジャングにパンチ喰らってヘラケラは泣いていたからいいんだけどさ。
おっと、昔の思い出に浸っている場合じゃなかった。
今日はある程度お金が貯まったから防具を買おうと思っていたんだった。
ヘラケラから買取金を受け取ってあまり高くない動きやすそうな皮の鎧を買うことにした。
あとは肌寒くなってきたので全身を隠すことが出来る外套も買っておいた。
「これもおススメだよ、お客さん!」とヘラケラに言われるとなんだかままごとみたいだけど彼はこれでも商売人として真っ当に仕事をしているのだろう。
はぁ、全くやりにくいよ。
とりあえずヘラケラに勧められた回復薬も一緒に購入して帰宅した。
毎日の日課になっているステータスチェック。
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☆ポーツ
☆ステータス
個体LV10(+9)=19
基礎体力 32(+18)=50
身体筋力 28(+18)=46
保有魔力 22(+18)=40
精神知力 15(+9)=24
天運気力 21(+9)=30
創造器量 16(+9)=25
☆スキル
加減算術LV10(1)、剣術LV1、属性魔法LV0、治癒魔法LV1、細工LV0、隠密行動LV1
探索LV0、確認LV0、解体LV1、農作LV1、察知LV1
☆経験練度 53%
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個体LVが10になったからか算術スキルが変化したからか、ステータスの表示が少し変わった。
僕が見やすいように補正してくれたような気がする。
今まではちょっと見にくいなって思ってたんだよね。
それに算術スキル以外にもLVが上がったスキルがいくつかあったのは僥倖だった。
これで経験を積めばスキルLVが上がり、算術で加算しなくても使うことが出来るようになったのだ。
まぁまだ良く分からないスキルも増えてきたから検証するのが追い付いていない感じだ。
あとは経験練度という新しい項目も増えて、確認したところ次のLVが上がるまでの達成率らしく100%に到達するとLVが上がるみたいだ。
僕はLV10という区切りがついたところで次の段階に進もうと考えた。
翌日からの行動のために新たな計画を立てながら夜が更けていく。
◆◆◆
「ジャング聞いた?ポーツが冒険者になるってさ。なんでも魔物と戦闘訓練してるらしいよ」
「そうか。あいつも冒険者になるのか」
「でもポーツよりジャングの方が断然強いし、ジャングならきっとすごい有名になれるよ」
「ふんっ、当たり前だろ!それでネオス、お前はどうすんだ?」
「ぼ、ぼくは領主様の文官様のところで見習いで雇ってもらえることになったよ?」
「おお!すげぇじゃねーか!やるときはやるんだな」
ジャングはネオスの話を聞いて自分のように喜んだが、ネオスは嫌な汗をかくことになった。
それは小さな嘘。
ネオスは文官の見習いではなくただの小間使いとして雇われるだけだったのだ。
それでも村の住人の中ではお給金の高い方ではあるのだが、ネオスの変なプライドはありのまま話すことを許さなかった。
◆◆◆
「ポーツが冒険者か・・・私はどうしたらいいのかな」
家にこもり気味になっているマルルは自室の窓から呟いた。
私もポーツと一緒に冒険者に・・・って無理があるよね。
せめてポーツの行く先の街で働けたりしないかな。
でもうちの手伝いもしないと弟たちが自由に将来を選べないんだろうし・・・
はぁ
大きな溜息が漏れる。
アネットも村を出ていくみたいだし、残るのは私だけだったりして。
「明日ポーツとお話できないかな・・・」
最後の集会でポーツに会って以降、毎日のように同じセリフを繰り返すだけのマルルだった。
余談ではあるが、ヘラケラが村の雑貨屋に残ることなど頭の片隅にも置いていないのは、
かつての代理告白の遺恨そのものであった。
◆◆◆
「ライ、相談があるの」
「レイ、珍しいわね。お姉さんが相談に乗ってあげるわ」
「双子なんだからお姉さんぶるのやめなよ」
「双子でもあたしがお姉さんなの。それで相談って?」
「あのね、村を出て演劇の仕事をしてみたいの」
「っ!!・・・奇遇ね。あたしもそう思っていたところよ」
「ふふ、じゃあ一緒に・・・行く?」
「レイ、勘違いしないでね。あたしにレイが付いてくるんだからね」
「うん、それでいいよ~」
(ふっ、レイはちょろいわね)
そんな顔をしているライを見てレイはほくそ笑む。
ライはわたしの手のひらで踊らされているただの三流役者。
くすくす。
◆◆◆
「カレン、もうすぐだよ。もうすぐボクが助けてあげるからね」
すでに村を出ていたビーターは、実は誰よりも早く冒険者になっていた。
そして早朝から夜更けまで休む間もなく体を酷使して割の悪い仕事をこなしてお金を貯めていた。
「冬になる前にソナニ村に戻らないと。もう少しで貯まるから。カレン・・・待ってて」
◇◇◇◇
「さてと、そろそろ行きますか」
僕は外套で全身を隠してカレンの家に向かった。
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