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22話 Cランクパーティとダンジョン



マルルに全財産のほとんどを浪費して武器を買ったことを話したら、少しだけ驚いていたけど「冒険者としてやっていく為の先行投資だと思う」と言って受け入れてくれた。


一応お互いそれぞれの財布を持ってはいるけれど、僕たちは二人で生きていくことを誓った間柄だ。

だからこそ僕が勝手に散財したり、好き勝手な行動をしたりすることは彼女をないがしろにしてしまうことに繋がる。


それにマルルは今あまり依頼を受けられていないので収入もないに等しい。

その分も僕が稼いでマルルに苦労をかけないように努める思いも同時に芽生えたのだった。


それでもマルルに僕の行動を承認してもらえたことで重圧から幾分か解放された。


Fランクに上がったからというのもあるし、これからもっと稼いでマルルにも贅沢させてあげたいと、また一つ自分の行動指針に理由付けをした。



Fランクの依頼の中にはゴブリンの討伐やウルフの討伐なども含まれており、ソナニ村周辺での経験もあるので気負いなく依頼を受注することができた。


森の中でもすでに何度か遭遇しているので探知スキルの効果を頼りに生い茂る木々の中を彷徨う日々を過ごしていた。


新しくなった武器、炎刃刀を振るうと火の残像が残るように剣線を紅く染めた。

それは見た目も印象的だが性能は金額が張っただけはあり、満足するだけの威力を誇った。


炎刃刀で切りつけられたゴブリンは傷口に火傷を負い、更には体毛に燃え尽き火だるまにして息の根を止めることもあった。


新調した剣は一切切れ味が劣っていく気配もなく、武器一つ変わっただけで体力的にも武器の耐久性でも戦闘にかかる負担は軽減されたといえる。


依頼をこなす効率が上がった為、レベルを上げる為に必要以上に強い魔物を狩ることに時間を費やした。


ギルドに戻って依頼の完了報告と素材の買取を済ませるとGランクの頃よりも1.5倍は報酬も上がっており、これでマルルを安心させられると内心ホッとした。


着実に平穏へと向かっていると実感して心穏やかに日々を過ごしているところでギルド職員からある提案が齎された。


「ポーツさん、毎日Fランク以上の魔物の素材を持ち込まれていますのでご案内しますけど、もし興味がありましたらダンジョンへの探索などはいかがでしょうか」


ダンジョンという新しい単語を告げたギルドの受付嬢は耳打ちするように小声で話しかけてきた。


「ダンジョンってなんですか?」


「本来Dランク以上の冒険者にしか紹介しないのですが、平地・・・町の周辺に比べて量が多く、凶暴性の高い魔物が生息する洞窟のことです。噂では洞窟以外のダンジョンもあるそうですがこのネクトスの町近くにあるダンジョンは洞窟型のみとなっています。興味があるようでしたら別室にてご説明させて頂きます」


本音のところで言うとFランクの依頼では物足りなかったので、昇格を前にこういった特別扱いされるような話に自然と意識が前乗りとなり即答していた。


「よろしくお願いします!」


その有り余る熱量にほくそ笑んでからギルドの奥にある小部屋へと案内され、4人掛けのテーブルを挟んで向かい合うようにして説明が始まった。


「ダンジョンの探索について説明させて頂きます。ダンジョンとは瘴気が溜まった場所に出来た魔物の巣窟とされています。正直なところダンジョンの発生に関してギルドでも明確な原因が掴めていないところなのです。冒険者の方へダンジョンの探索を依頼する理由としてはダンジョンの発生原因となる情報を掴む、ということもありますが恐らくそれは非常に難易度の高い依頼となってしまいます」


「えっと、では他に別の依頼があるってことですか?」


「理解が早くて助かります。原因の探求については特級冒険者や上級冒険者の管轄となり、一般冒険者の方へは魔物の間引き、それに伴う魔石の収集をお願いしています」


「魔石?」


魔石という聞きなれない言葉に素直に疑問がこぼれる。


「魔石というのはダンジョンの魔物を形成している黒く透明な石のことです。ダンジョンに巣食う魔物は町の外にいる魔物とは違い、絶命すると魔石に姿を変えます。これは言葉では説明が不足するかと思いますのでダンジョンで実際に見れば理解頂けるかと」


「つまりダンジョンに行って魔物を倒して魔石を集める・・・ってことですか?」


少し驚いた表情を浮かべた受付嬢はすぐに表情を柔らかくして、


「ほんとうに理解が早くて助かります。ポーツさんの仰る通りです。ただ現在Fランクのポーツさんにはダンジョンに入る資格がありませんのでCランクの鋼の牙というパーティに参加して同行してもらいたいと考えています」


Cランクと言えばカレンの父親であるネイビスと同じランクだったはずだ。

今でこそ対等以上に思える僕がCランクのパーティに参加させてもらえるというのはなかなか簡単な話ではない。


「Cランクのパーティと同行させてもらえるのは嬉しいですけど何か理由があるんですか?」


「ふふ、物分かりが良すぎて少し怖いくらいですね」

そう言ってたじろいながら説明を続ける。


この話が沸いた理由としては、Cランクパーティの鋼の牙の前衛を務めていた冒険者が怪我をして暫らくの間養生する必要があったこと、僕がソロでD~Cランク向けの魔物を買取に出していたことでの戦力的な評価があったこと、魔石収集は王国へと献上する分を確保しないといけないが現在ネクトスには一般冒険者が減っていて鋼の牙がパーティで活動を休止するとなると魔石の量が足りなくなってしまうことが挙げられた。



「それで・・・魔石って一体何なんですか?」


「当然の質問ですよね。魔石は実際のところギルド職員ですらどのような理由で集められているのかは知らされていないんです。私も知りたいところではありますがギルドマスターからは余計な詮索は寿命を縮めるだけだ、と釘を刺されているんです・・・」


釈然としない回答ではあるが、無理に聞いたところでこの受付嬢は答えを持ち合わせてはいないのだろう。

ギルドマスターへ直接聞けば何かしらの情報は見いだせるかもしれないが。



一通りの説明を受けて、翌日鋼の牙のメンバーとギルドで合流してからダンジョンに向かうように言われ締めくくった。



◇◇◇



「お前がFランクのポーツでいいか?」


熊のように大きな体をした屈強な戦士は、淡白な質問を投げかける。

背中に背丈ほどの盾を担ぎ、腰に長くない直剣を差しており、眉が太く顔には沢山の傷が残っている。

外見のほとんどから圧が放たれているが目だけはしっとりと優しい眼差しをしている。


「はい、ポーツです。鋼の牙の方でしょうか?」


「そうだ。俺は鋼の牙のリーダーをしているデェンウィという。宜しくな」

大きな手のひらをこちらに送り出し、それを歓迎と受け取ってしっかりと手のひらを合わす。


後ろにいたローブを纏った女性は僕の歓迎を良しとしないのか不服そうに自己紹介を始める。


「こんな坊やで大丈夫かしら?私はルーミーよ。ダンジョンで死んでも恨まないでね」


「これから共にする仲間に連れないことを言うのは良しなよ。っと、自分はピノと言います。彼女が魔法使いで自分が弓を使うハンターです」


ピノという丁寧な口調の優男は場を納めるように補足して紹介をしてくれる。


もう一人寡黙な女性がいるが一向に自分から紹介する気配がしない。


しびれを切らしたのかリーダーのデェンウィが頭を掻きながら仕方なさそうに、

「最後にこいつがベル。治癒魔法の使い手だ。聞いていると思うがもう一人剣使いの前衛がいるが前回の探索で怪我をしてしまって離脱中だ。まぁ自業自得な話だからあまり深くは詮索しないといてくれ、な?」


苦笑交じりにそう告げられればこちらから聞くことは野暮というものだろう。


これで今回のダンジョン探索のメンバーが揃ったということでデェンウィはギルドの受付へと依頼の受注を手配した。



受注を済ませたパーティは小さな円を描くように立ち、リーダーが出発を告げる。

「武器は持ったな?保存食は持ったか?生き残る為に出来る準備は出来たか?」


いつものことといったペースで確認をし、


「ではこれよりダンジョンへ向かう。我らは鋼の牙。欠けることなく魔物を狩るぞ!」

そう鼓舞して出発するのだった。


続きが読みたいという方はブックマーク、評価頂ければ嬉しいです。

宜しくお願い致します。

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