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災厄スキルで人類追放〜しかしそのスキル最強なり!?〜  作者: しゃむしぇる
第一章 変わり始めた運命

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第12話

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 魔物誘引のスキルがある俺に見向きもせずに、ただじっと同じ場所にいたメタルビートルに、俺とアイは近づいていく。


「魔物誘引に反応しない魔物は初めてだ。それにこのメタルビートルは……俺が今まで出会った魔物の中で一番強い。」


 金属のような鈍色の光沢のある甲殻に身を包んだ巨大なカブトムシの魔物、メタルビートル。コイツは大きな魔石を落としてくれそうだ。


「アイ、さっき言った通り、コイツは俺が相手する。」


「はい、ご活躍をこの目に焼き付けます。」


 アイを下がらせて、こちらをじっと見据えるメタルビートルの前に一歩踏み出しながら魔法を唱えた。


「黒雷。」


 大量の魔石を吸収して、かなり威力の上がった黒雷を放ったが、メタルビートルの体には傷一つついていない。そしてこちらが攻撃すると、向こうも俺のことを敵と認識して襲い掛かってきた。


「黒雷を耐える上に、動きも早いのか。」


 槍のように鋭利になっている角でこちらを貫こうとしてくるメタルビートル。攻撃は単調だし、魔法が効かないなら、剣で倒せばいいだけの話だな。

 腰に差していた短剣を抜いて、メタルビートルの角の突き攻撃を躱して懐に潜り込み、唯一刃の通りそうな眼球めがけて短剣を突き立てたが……。


「っ!?」


 予想に反してメタルビートルの眼球もとんでもなく硬く、短剣の方が逆に折れてしまった。


「眼球も硬いのか!?せっかく手に入れた新しいやつだったんだけどな。黒風。」


 黒風を撃ちながらいったん下がる。わかってはいたものの、黒風でもコイツには傷一つつかない。魔法に耐性があるのか、単に防御力が高いだけなのか……。


「確かめてみるか。ダークグラビティ。」


 かなり魔力を込めてダークグラビティを放ってみると、メタルビートルの体がメキメキと音を立てながら地面に磔になっていく。今知ったことだが、この魔法は使っている間ずっと魔力を消費し続けるらしい。自分の身体からずっと魔力が出ていく感覚を感じる。だが、多少なりとも効いているようだ。


「このまま……潰れろ!!」


 一気に魔力を込めてやると、メタルビートルはバキバキと音を立てながら、ぺちゃんこに潰れて魔石へと変わった。


「ふぅ、魔法が効きにくい相手にもこの魔法ならゴリ押しで対応できるな。ただ魔力消費がかなりキツイ。」


 ただ使い勝手がいい魔法なのは間違いない。範囲殲滅もできるし、さっきみたいに1点に集中させて魔力を込めてやれば、硬い相手でも潰せる。相手によって使い方は変えよう。


「お疲れさまでしたゼラ様。防御力が高いことで有名なメタルビートルとはいえ、ゼラ様の敵ではなかったですね。」


「いや、間違いなく今までで一番強かったよ。ダークグラビティを覚えて無かったら、手の打ちようが無かったかも。」


 メタルビートルの魔石に触れると、すぐにそれは俺の体に吸収され、体の内側から大きな力が湧いてくるのを感じた。


「よし、これでまた強くなった。」


 この階層にはもう魔物はいない。サッサと次の階層に進もう。


「アイ、次は4階層に行くぞ。」


「はいっ!!」


 地図を頼りに4階層へと続く階段を探し出し、その階段を下る。情報によると4階層は火山地帯らしいが……。


「あっつ~……あれ本当に火山なのか?」


 4階層にやってきてすぐに、遠くで噴火している火山が見えた。それに凄い熱気だ……汗が噴き出て止まらない。


「アイ、この階層は早く抜けよう。熱で体が焼かれそうだ。」


「そ、そんなに暑いですか?」


 こちらを不思議そうに見つめてくるアイは、俺とは対照的に汗一つかいていない。この環境で暑くないのか?


「アイは暑くないのか?」


「どうしてか分かりませんけど、普段と何も変わらないです。」


「……それも大精霊の力なのか?だとしたらちょっと羨ましいかも。」


 まぁ幸いなことに、こっちから出向かなくても魔物誘引の効果で、この階層にいる魔物は全部こっちに向かって来ているから、このまま階段の方に一直線に進みながら倒していこう。


 こんな暑い所とはとっととおさらばしたかったので、特に楽しむこともなく、作業感覚で魔物を倒して魔石を回収し、5階層へと足を踏み入れた。


「っと、情報通りここは魔物が出ない階層。セーフゾーンっていうらしいな。アイも疲れてるだろうし、ここらで少し休憩していこうか。」


 どっかりと床に腰を下ろすと、俺の腹から空腹を報せる虫の鳴き声が鳴った。


「ここらで一回飯にしようか。流石に腹が減った。」


「それでしたら私にお任せくださいっ!!」


 手際よくアイは持ってきたフライパンでオークの肉を焼いていくと、この階層にあっという間に美味そうな匂いが充満していく。アイは調味料をつけて焼いたオークの肉を切り分けると、息を吹きかけて冷ましてからこちらに差し出して来た。


「はい、ゼラ様どうぞお食べください。」


「あ~……むっ。ん~~~っ美味い、幸せだ。」


「喜んでいただけて何よりです。」


 アイと幸せな食事の時間を過ごしていると、6階層に続く階段の方から、何かが上がってくるのを魔力感知で感じ取った。


「チッ……お邪魔虫が来たな。」


 この反応は多分人間だと思う。このダンジョンにいる人間は、例の盗賊しかいないだろう。この至福の時間を邪魔する奴は、何者だろうと許さない。俺が怒りを滲ませていると、俺以上に怒りに満ちている様子のアイが、剣を片手に6階層の階段のほうに歩いて行く。


「せっかくゼラ様に食事を召し上がっていただいていたのに……それを邪魔する不埒者は私が斬ります。」


 アイが仁王立ちで待ち構えていると、階段から3人のみすぼらしい服を着た男達がこの階層に上がってきた。


「うげっ、巡回に来たらマジでここで休んでる奴が居やがった。」


「そんな嫌な顔すんなよ。ガキの方はお望みじゃねぇが、そこそこ美人な魔族の女がいるじゃねぇか。」


「お頭が味見する前に、おいら達で味見しちまうか。」


 アイは自分に下卑た視線が向けられていることに気付くと、目の奥から光が消えた。


「……死ね。」


 一瞬でアイが男達の間をすり抜けた次の瞬間、彼らの首と胴体がおさらばしていた。その死体をアイは炎の魔法で骨まで焼き尽くしていた。


 そして奴らの死体が灰になると、それを水の魔法で階段の下に押し流し、スッキリした表情でアイはこちらを向いた。


「お見苦しいものをお見せして、申し訳ありませんでしたゼラ様。さ、お食事の続きを……。」


「あ、あぁ。」


 そして何事もなかったように食事の時間が再開され、しっかりと休憩をはさんでから6階層へと俺達は進む。


「6階層は……砂漠の階層か。」


「どこを見渡しても砂ばっかりですね。」


「さっきの火山ほどじゃないが、ここも暑苦しいな。早めにきり抜けよう。」


 この階層の魔物は狡猾な魔物がほとんどだった。砂の下に潜んでいたり、砂と同化していたりと、魔力感知のスキルがなかったら奇襲を受けて危険な目にあっていたことだろう。

 

 そして魔石を回収した後に進んだ7階層は、毒の沼地が広がる階層だった。


「あの緑色の沼に足を踏み入れたら……さすがにヤバそうだな。」


「あ、それでしたら先程のお食事に、食べると一時的に毒に耐性のつく薬草を添えていましたので、問題ないかと。」


 アイの発言に俺は一瞬固まった。そしてさっき食べた料理の事を思い出していくと、一つ心当たりがあった。


「もしかしてそれ、オーク肉と一緒に食べさせてくれたあの野菜みたいな……。」


「そうです。森のいたるところに生えていたので、オーク肉の臭みを消すために、少し採取しておいたんです。」


「でかしたアイ。それならこの毒の沼地も問題ないな。」


 アイを仲間にして本当に良かった。俺一人じゃダンジョンの中に潜ろうという発想も生まれなかったし、魔法を扱えるようにもならなかっただろう。彼女が仲間になってから、俺の人生が大きく変わった気がする。このダンジョンを無事に出られたら、改めてお礼を言おう。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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