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光の抜け殻  作者: 仙道 神明


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2/8

1日目 一本杉の下で

 昼下がりの陽射しを避けるように、夏生は丘の上の一本杉の根元に腰を下ろした。


 何気なく視線を落とすと、木の根の脇にある拳ほどの石が目に入った。彼は特に理由もなくその石を拾い上げ、ぽいと遠くへ投げた。


その下で、土を押し上げようともがく小さな命があることに、夏生は気づかない。


──


 暗い。


 土の重みと湿気に包まれた世界。長い間そこにいたが、時は来た。幼虫は硬い前足で土を掘り上げ、出口を探す。


 だが、その先には動かない壁が立ちふさがっていた。押しても、引いても、びくともしない。出口はすぐそこにあるのに──。


 その時、突然、光が差し込んだ。頭上の重みがふっと消え、土の匂いと共に新しい風が流れ込む。


──誰かが、この壁を退けてくれた。


 幼虫は、そこにいる大きな影を見上げた。太陽を背負った若者が、無造作に石を投げ放つ姿が見える。


 その仕草は何気ないものだが、幼虫には救いの手のように思えた。

 そしてゆっくりと、幼虫は地上へ這い出した。木肌は温かく、ごつごつして、確かな道を示してくれる。


 ゆっくりと地上へ這い出した幼虫は、木肌に手をかけて登り始める。


 夏生は木の下で目を細め、やがて居眠りに落ちた。


 蝉は静かに羽化を始め、殻を脱ぎ捨てる。透き通る羽を広げ、朝の光を浴びながら、ふわりと空へ舞い上がる。


「ありがとう」


小さな声が、風に溶けて消えた。


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