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境界線 2
蒼い光球が
鮮やかに強く輝き
濃密で空虚な常闇を
硝子が砕け散るように
侵蝕した先の光景は
どこまでも
澄み切った蒼空と
果てしなく
無限に広がる碧い海が
ただそこにあった
海鳥の鳴き声と
魚が水面から飛び跳ねる音が
耳に心地良く響いてくる
臨場感を感じさせるように
海特有の磯の香りまで
リアルに鼻腔を
くすぐっている
その光景を観て
私が感じたのは
生命が満ち溢れる
母なる海
それこそが
蒼い光球の持つ意味だと
私は思った
パチン
私が再び
無意識的に瞬きした
すると目の前には
生命が満ち溢れる
この光景には
不釣り合いな
紅い光球が現れた
そのとき、私の身体は
闇の中にいた頃
蒼い光球を
視界に捉えたのと
同じように
私の意識と身体は
乖離した
二度目で慣れていたのか
私は自分の身体が
誰かに操られているという感覚に
不快感は一切感じていなかった
スタスタスタ
私の意識から離れた
私の身体は
蒼い光球に触れるのと
同じようにして
目の前にある紅い光球に
触れるために歩き出した
そして、私の身体が
紅い光球に触れると
蒼い光球が
強く眩い鮮やかな光を発したのと
同じようにして
強く眩い鮮やかな紅い光が
生命溢れる光景を
覆い尽くすように
あるいは
侵蝕するかのようにして
広がり始めた――




