ニアの実力
ニアと今後の事や村での事を話ながら四時間ほど馬車に揺られながら森の中を進んでいると、突然馬車が止まり体勢が崩れるのを防ぎ外の様子を伺うと、前方に魔物と呼ばれる我々人間達に好戦的な奴が三体現れた。その魔物はポイズンフロッグといい、体内に有害な猛毒を生成しており、とても好戦的で体内の猛毒を空気中に撒き散らす攻撃してくる非常に厄介なやつが進行方向を遮っていた。
「お客さん、どうやらポイズンフロッグが前方を妨げて居るので迂回します。なので何か物に掴まっていてください。激しく揺れるかもしれませんので」
「ちょっとまって、私達が倒せば真っ直ぐに進めるのよね?」
「そ、それはもちろんですが...どうするおつもりで?」
「それはね...私達が倒すから待っててもらえる?」
「だ、大丈夫ですか?私には対抗する術がないので離れておりますが。...どうかお気をつけてください」
「カイ、私が倒すから貴方は手を出さないで」
「あ、あぁわかった」
どうやらニアが処理することになったようだ。敵は三匹のポイズンフロッグ。村に住んでいた頃には稀に目撃する程度の魔物だった。敵との距離は約四十メートルほど先に佇んでいた。ニアは直ぐに戦闘準備を開始する。そして魔法を詠唱しやすい位置に移動した。魔法とは黒悪鬼が出現する旧新生時代と呼ばれる時代から受け継がれている。その魔法は八つの区分で分けられている。まず第一区分から第三区分までは初級魔法とされており、殆どの人は第一九分までは使えるとされている。次に第四区分から第六区分までが中級魔法となり、ここまで使える者は居るには居るが数は多くない。最後に残りの第七区分から第八区分までが上級魔法とされている。この第七区分まで、もしも使えたら大陸で一番魔法に長けた賢者クラスに値する。当然使える者はほんのひと握りしかいない。過去には、第八九分を超える第九区分魔法なるものが存在していたとまことしやかに囁かれている。そして魔法というのは天性の才能の表れで生まれた時から使える魔法の区分は大体決まっている。俺の場合正確に測った訳では無いが、第六区分までは使えるはずだ。ニアの場合は、第八九分まで使えると言っていたので第八九分まで使えるのだろう。
そうこうしている間に、ニアが魔法の詠唱を終えたようだった。それも第四区分の火魔法を。
「あー、これはまずいな。おっさん、俺の後ろに隠れてくれ。そして絶対に動くないでくれよ」
「?わかった」
御者のおっさんはニアが詠唱しているのが第四区分の火魔法メテオレインだとはわかっているのようだった。そして、第四区分の火力を自分なりに想定しているつもりなのだろうが、ニアの今から放つ魔法は第四区分の枠を軽々と超えている。だから俺は被害を抑えるため静かにこの森周辺に第五区分の光魔法ホーリーウォールを展開した。
「メテオレイン!」
ニアの詠唱が完了したその時。空から炎に包まれた隕石が無数に現れ、そのまま地を揺らすほどの衝撃が敵を尽く穿って逝った。そのメテオレインの流れ弾が展開しておいたホーリーウォールに当たるとその威力を減衰させていきやがて勢いを失い消失させた。メテオレインを放った本人もここまで威力が出るとは思っていなかったのだろう、目を白黒させている様子だった。残されたのはホーリーウォールとメテオレインに穿たれた大地だけだった。ポイズンフロッグの姿は跡形も残っていなかった。
眼前の光景に驚愕して固まっていたニアに、向かって第四区分はやりすぎだと伝えると。
「はっ!違うの!最後に使った時より強くなってて!」
「ほんとか?最後に使ったのはいつなんだ?」
「えーと、確か...六年前ぐらい?」
「そりゃ体内の魔力量が上がって、こんな威力になる訳だわ...」
魔力量とは、幼い頃から誰もが体に宿しており成長と共に絶対量は増していく。そしてニアは幼い頃から魔力量が高い水準にあり、十歳の頃には一般の大人の二十倍近くを誇っていた。そんな魔力量を持つニアが魔法を放つ前と放った後では光景がかわるほどの威力となってしまい、その頃から魔法の使用は禁じられていた。そして、魔力量は十歳の頃よりも膨大に増えていき、過去に使った時と同等の割合での魔力量を引き出して放ったという。もしも、あのままニアの魔法の威力に気づかず第五区分の光魔法ホーリーウォールを展開していなければ被害はこんなものでは済まなかったかもしれない。
「こりゃ、第四区分以上の魔法は使用しない方がいいかもな」
「そ、そんなぁ〜漸くカイに勉強の成果を披露出来ると思ってたのに...」
「見せたくなる気持ちも分かるが、こんなもの毎度連発して放ったら世界地図の形が変わっていってしまうだろ?」
「そ、そうだね...これからは第四区分は控えるよ」
「あぁ」
ずっと魔法を禁じられてきて魔法の勉強のみを続けてきて、実践してみたら予期せぬ威力になっており第四区分以上を使うと、この世界の大陸が変わっていってしまうほどの威力となっていた。だからこそ、第四区分以上の魔法は余程の事がない限りは使用禁止にした方がいいだろう。
「こ、これほど威力があるメテオレインは見たことがない...」
どうやら御者のおっさんも、このメテオレインの異常性に気が付いたみたいで口を閉口させていた。しかし問題が一つ。
「でもこれじゃあ、進むことは出来ないな」
「ごめんなさい...」
「気にしなくていい、次から気を付けてくれればいいさ」
そう、目の前の光景がポイズンフロッグがいた頃とは比べ物にならないほど大地が抉れていた。そのまま放置する訳にもいかず第四区分の土魔法で埋め固め、その上を通って行くこととなった。
そんなニアの魔法の威力に驚かされる事もありながら更に馬車に揺られること丸二日。因みにその道中で、遭遇する魔物は全てニアに任せるの事は危険なので俺が片付けていくことにした。そして漸く遠方にリュトラシア王国が見えてきたのだった。
2話目を書き終えたのですが、話の辻褄が合ってない箇所や誤字脱字などがあるかもしれません...。そんな辻褄が合ってない箇所や誤字脱字を見つけたら報告して貰えると助かります!ではまた3話目で皆様とお会い出来ることを楽しみにしております。m(_ _)m




